第4話 領主の影と、巨人の決意
朝の村は穏やかだった。
魚の分け前で、みんなの顔が明るい。
俺は洞窟の入り口に座って、村を見下ろす。
リナが走ってくる。
「ケンタ! 朝から領主の兵士が来たよ!」
兵士か。
昨日の男の件か。
村の広場に、馬に乗った兵士たちが10人くらい。
鎧を着て、槍を持ってる。
長老が対応してる。
俺は近づく。
一歩ごとに、地面が揺れる。
兵士たちが馬から落ちそうになる。
「な、何だこの巨人は!?」
リーダーの兵士が叫ぶ。
長老が説明する。
「この方は村の守護者、ケンタ殿です。昨夜、魔物を操っていた男を捕まえました。あれは領主様の指示だと……」
兵士の顔が青ざめる。
「ば、馬鹿な! そんな話、知らん! 領主様は村の税を徴収に来いと言われただけだ!」
税か。
でも、タイミングが良すぎる。
俺はしゃがんで、声を抑える。
「その男、連れてきたぞ。自分で話せ」
昨日の男を、指でつまんで広場に置く。
男は震えながら白状。
「領主の命令です……魔物をけしかけて村を壊滅させ、鉱山を奪う計画でした……」
兵士たちがざわつく。
リーダーが剣を抜く。
「裏切り者め! 領主様を陥れる気か!」
いや、待て。
これは罠かも。
リナが俺の足元で言う。
「ケンタ、どうするの? 領主の城、行ってみる?」
城か。
俺のサイズなら、一日で着くかも。
長老が頷く。
「巨人殿、力を貸していただけますか? このままじゃ、村が危ない」
「……わかった。行くよ」
兵士たちを無視して、俺は歩き始める。
リナが掌に乗る。
「私も行く!」
「危ないぞ」
「ケンタがいれば大丈夫!」
仕方ない。
リナを乗せて、出発。
道中、森を抜け、平原を横断。
俺の一歩で、数キロ進む。
遠くに城が見える。
中世風の石造り。
俺の身長の半分くらいの高さだ。
城壁の兵士たちがパニック。
「巨、巨人だぁ! 攻めてきたぞ!」
矢が飛んでくる。
でも、俺の皮膚に当たって折れる。
「やめろ。話に来ただけだ」
声が轟いて、城壁が少し崩れる。
領主が出てくる。
太った中年男。宝石だらけの服。
「何だお前は! この領地を荒らす気か!」
俺はリナを地面に下ろす。
「魔物の件、知ってるだろ。村を狙ってる理由を言え」
領主が笑う。
「ふん、証拠でもあるのか? それより、巨人め。お前を倒せば、俺の名声が上がるな」
領主が呪文を唱える。
魔法使いかよ。
「召喚せよ、古代の守護獣!」
地面が割れて、巨大なゴーレムが出てくる。
岩でできた、俺と同じくらいのサイズ。
「ほう、巨人対ゴーレムか。面白い」
ゴーレムが拳を振るう。
ドガン!
俺の腹に当たる。
痛い。初めての痛み。
「くそっ……」
俺も殴り返す。
ゴーレムの腕が砕ける。
領主が焦る。
「ば、馬鹿な! もっと力を!」
ゴーレムが再生。
また攻撃。
俺は前世の知識を思い出す。
ゴーレムって、コアがあるはず。
視線を集中。
胸の部分に、光る石。
「あそこか」
手を伸ばして、つかむ。
ゴーレムが暴れるけど、無視。
石を握り潰す。
ゴーレムが崩壊。
領主が逃げようとする。
「待て」
足で道を塞ぐ。
領主が転ぶ。
「ひ、ひぃ! 許せ! 鉱山の鉱石が欲しかっただけだ! 魔王復活の噂で、武器を作って売ろうと……」
魔王復活?
新しい情報だ。
リナが言う。
「魔王って、何?」
領主が白状。
「大陸の奥で、魔王が蘇るって噂だ。魔物を増やしてる原因らしい。俺はそれを利用しただけだ……」
なるほど。
魔物の増加は、魔王の影響か。
兵士たちが領主を捕まえる。
「領主殿、罪を認めろ」
領主は連行される。
城の住民たちが俺に頭を下げる。
「ありがとう、巨人様! これで平和だ」
リナが喜ぶ。
「ケンタ、すごい! 一撃で解決!」
でも、俺の心は重い。
魔王か。
この力で、対処できるのか?
村に戻る道中、リナが言う。
「ケンタ、魔王のこと、調べる?」
「ああ。巨人の過去もな」
俺の決意が固まる。
この世界で、ただ生きるだけじゃなく、守るものを守る。
巨人の旅が、本格的に始まる。
(続く)




