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転生したら巨人でした。~人間サイズの街を踏まないように生きるの、難しすぎるんですけど~  作者: nekorovin2501


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第10話 鋼の叫び ~深淵に眠るドワーフの誇り~

魔王を倒してから三日目。

俺たちはヴォルガルドの背中に乗って、北の山脈に向かっていた。

古竜の巨大な翼が風を切り、地上の景色がものすごい速さで流れていく。

リナが俺の胸にしがみつきながら、興奮気味に叫ぶ。

「わぁ! ドラゴンに背中に乗るなんて夢みたい! ケンタ、落ちないでね!」

俺は人間サイズのまま、苦笑いした。

「俺が落ちるより、お前が落ちる方が心配だよ……」

エルウィンが銀髪をなびかせ、静かに言う。

「グラムの故郷、深淵の鉱山『ガルド・フォージ』はもうすぐです。

そこに、鋼の巨人ドワーフの一族が眠っているはず」

グラムが豪快に笑う。

「わしの爺ちゃんが昔、話してくれた。

『我らドワーフの中にも、鋼の血を引く者がいる。だが、魔王の時代にその力を封じ、地下深くに隠れた』とな!」

ヴォルガルドが低く唸る。

「我の光の波動が届いたはずだ。もう目覚めているかもしれないぞ」

山脈の奥、巨大な岩壁に開いた大穴――それがガルド・フォージの入り口だった。

俺たちはヴォルガルドの背中から降り、洞窟の中へ進んだ。

道はどんどん広くなり、天井も高くなっていく。

ドワーフの建築技術の凄まじさを、肌で感じた。

突然、地面が大きく揺れた。

ドゴォォォン!!

岩壁がひび割れ、赤い光が噴き出した。

グラムが目を丸くする。

「これは……鋼の血が目覚めた音じゃ!」

奥から、重低音の声が響いてきた。

「誰じゃ……我を呼び覚ましたのは……」

俺たちはさらに奥へ進んだ。

そこにいたのは、巨大なドワーフだった。

身長は約45メートル。

体は岩と鋼鉄が融合したような灰黒色の皮膚で、髭は溶岩のように赤く輝いている。

両手には巨大な戦斧とハンマーを持ち、目は金色に燃えていた。

グラムが震える声で叫んだ。

「バルドガン爺ちゃん……!?」

巨大ドワーフ――バルドガンが、ゆっくりと目を細める。

「グラム……お前か。小さくなったな」

「小さくなったんじゃねえ! 爺ちゃんがデカくなったんじゃ!」

俺は一歩前に出て、声を抑えて挨拶した。

「初めまして。俺はケンタ。最後の巨人……いや、今は覚醒同盟の盟主を名乗ってる」

バルドガンは俺をじっと見つめ、大きなため息をついた。

その息だけで、洞窟内の風が渦を巻いた。

「巨人か……。魔王の時代、我らはこの力を封印した。

巨大になれば、魔王に即座に発見され、鉱山ごと焼き払われる。

だから皆、鋼の血を自ら抑え、普通のドワーフとして生きてきた……

だが、三日前から体が熱い。封印が解け、血が叫んでいる」

リナが恐る恐る近づき、バルドガンの足元を見上げる。

「すごい……お爺ちゃん、ケンタよりちょっと小さいけど、すっごくカッコいい!

でも、でかすぎて外に出られないよね?」

バルドガンが苦々しく笑う。

「その通りじゃ。小娘よ。

我が一歩踏み出せば、この鉱山は崩れ、地上の街は踏み潰される。

だから我らは、永遠にここに閉じこもるつもりだった……」

その言葉に、グラムが激昂した。

「馬鹿を言うな爺ちゃん!

魔王はもう倒した! ケンタが倒したんじゃ!

もう怯える必要はない! 外に出て、誇りを取り戻せ!」

バルドガンが目を伏せる。

「誇り……か。

我らが巨大化した過去は、魔王の兵器として使われた屈辱の歴史じゃ。

家族を、友を、失った……」

洞窟の奥から、他のドワーフたちも姿を現し始めた。

皆、人間サイズの普通のドワーフだったが、目には同じ金色の輝きが宿り始めていた。

鋼の血が、少しずつ目覚めている。

俺は深く息を吸い、バルドガンに向き直った。

「俺も最初はそうだった。

巨大すぎて、何もかも壊してしまう。

村を踏み潰しそうで、怖くて仕方なかった。

でも……今は違う。

この力で、守れるものがある。

仲間がいる。

お前たちも、もう隠れる必要はない。

一緒に、世界を守ろう」

バルドガンが俺をじっと見つめる。

長い沈黙の後、ゆっくりと頷いた。

「……巨人よ。お前の光は本物か」

俺は人間サイズから一気に巨大化。

30メートル級の姿になる。

さらに光の力を集中させ、掌に金色の輝きを灯した。

その光が、洞窟全体を照らす。

「これが、俺の光だ。

お前たちの鋼の血を呼び覚ました光と同じものだ。

信じてくれ」

バルドガンが目を閉じ、深く息を吐いた。

すると、彼の体がさらに輝きを増し、ゆっくりと動き始めた。

「よし……我も、外の世界を見るか」

バルドガンが立ち上がる。

ドゴン、ドゴン、と足音が響き、洞窟の天井が崩れ落ちる。

俺は慌てて光の壁を作り、崩落を防ぐ。

外へ出る。

山の斜面が崩れ、巨大なバルドガンが地上に姿を現した。

太陽の光を浴びて、彼の鋼の体が美しく輝く。

近くの人間の街から、悲鳴が上がった。

「巨人が! もう一匹の巨人が現れたぞ!」

リナが俺の肩(巨大化時)に乗って叫ぶ。

「大丈夫だよー! このお爺ちゃんは味方だよー!」

俺はバルドガンに提案した。

「最初は人間サイズに戻ってみろ。

俺みたいに、サイズを変えられるはずだ」

バルドガンが集中する。

すると、彼の体が縮み、約3メートルの立派なドワーフの姿になった。

鋼の皮膚は残ったまま、髭は相変わらず赤く輝いている。

グラムが目を潤ませる。

「爺ちゃん……」

バルドガンが俺の肩を、ドンと叩いた。

「巨人ケンタよ。礼を言う。

我ら鋼のドワーフ一族、覚醒同盟に加わろう。

これより、巨大な要塞を築き、お前たちを守るぞ!」

その言葉に、周囲のドワーフたちが次々と巨大化し始めた。

山が揺れ、岩が砕け、しかし皆、笑顔だった。

ヴォルガルドが空から降りてきて、満足げに言う。

「これで四種族。次は樹霊エルフと神獣獣人だな」

俺はみんなを見回した。

リナ、エルウィン、グラム、バルドガン、そして新しく目覚めた鋼のドワーフたち。

巨大種族が、少しずつ集まっていく。

まだ始まったばかりだ。

異星の巨神が完全に目覚める前に、

俺たちは強くなければならない。

リナが俺の手を握って微笑む。

「ケンタ、どんどん仲間が増えてるね。

これからも、よろしくね」

俺は頷き、空を見上げた。

「ああ。みんなで、世界を守る」

深淵の山に、鋼の叫びが響き渡った。

それは、新たな時代の始まりの音だった。

(続く)

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