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鍛えて、食べて


今日はまじめにトレーニング回。

身体測定して、動いて、ちゃんと食べる。

…シエラはハンバーグとパフェを恋しがってましたが。

強くなるには、それでも我慢!



 トレーニングジムに戻った三人は、フロアの入口で立ち止まった。


 さっき案内だけ受けたときより、

 音も熱気もずっと濃い。


 金属のぶつかる乾いた音と、

 息を吐く声が、空気の底で低く響いている。


「では、お好きなところからどうぞ」


 小田切が穏やかに手を広げた。


「よっしゃ!俺、あれやる!!」


 拓磨は一瞬でパワーラックへ。


(そんな迷いなく行けるの羨ましい)


 シエラはゆっくり視線を巡らせる。


 ケーブルマシン。

 レッグプレス。

 ランニングマシン。

 体組成計。


 どれも本気で鍛えたい人のための設備ばかり。


(んー……どっから始めるかって言われると、逆に困るんだよね)


 立ちすくむシエラに、

 小田切が穏やかな声音で歩み寄る。


「まずは体を測りましょう。

 あなたに合う負荷を設定したいので」


「……うん!わかった!」


シエラは体組成計に乗り、握り手をしっかり掴んだ。


 機械が小さく音を立てた。


(まだかなぁ……)


 じっと立つ数秒のあいだ、

 拓磨がバーベルと格闘してる声が聞こえる。


「っしゃー!いける!いや無理!……いける!」


(あいつ元気だな)


 ピッ、と表示音。

 正面のモニターに数字が並んだ。


 ――体重:52.3kg

 ――体脂肪率:14.1%

 ――骨格筋量:27.8kg

 ――基礎代謝:1,610kcal


「……おぉ」


 小田切が思わず声を漏らした。

 目を細めて数値を確認し直す。


「すごいですね。

 この年齢で、ここまで整っているのはすごいですよ」


「そ?普通じゃないの?」


 小田切は苦笑した。

 シエラの横顔を見ながら、小さく息を吸い込む。


「いえ、普通じゃないです。

 かなり“できる”体ですよ」


「……あ、ありがと」


 シエラは頬を指でかきながら、少しだけ視線を逸らした。


「ではまず、ケーブルマシンを使いましょう。

 全身の動きが分かりやすいので」


「これね。オッケー」


 小田切が案内し、シエラはそのままついていく


ケーブルマシンは三台並んでいた。

 一台は空き。

 他の二台では、利用者が黙々とワイヤーを引いている。


「ここを使いましょう」


 小田切が中央のマシンを示す。

 シエラはそこに立ち、軽く握り手を触れた。


 隣の男が背中を引き締めて、ローイング。

 滑らかな動き。

 ワイヤーが低く鳴る。


「まずは私が」


 小田切がハンドルを片手で掴み、姿勢を整える。

 肩甲骨を寄せて引き切り、ゆっくり戻す。


「力で引かず、背中で動かします。

 肘はぶれないように」


 一連の動きは静かで、ただの説明なのに様になっていた。


「では、同じように」


 シエラは頷き、ハンドルを握り直した。


 表示パネルに“20.0kg”。


「まずはこれで」


「オッケー」


 シエラは軽く引いた。

 ハンドルが滑らかに動く。

 呼吸も乱れない。

 表情ひとつ変わらない。


「……強いですね。

 少し上げます」


 小田切が設定を変える。

 “25.0kg”に数字が跳ねた。


「これなら、どうですか」


「ん。別に」


 同じ動き。

 同じ音。

 まるで負荷が変わっていないかのように引き続ける。


「……えぇ……」


 隣のトレーニーが一瞬だけ手を止めた。


「す……すごいですね。

 ではこの調子で、お昼まで続けてみましょう」


「わかった」


 シエラは淡々と頷き、

 再びハンドルを引き始めた。


 機械音が一定のリズムを刻む中、

 シエラの動きだけが静かに際立っていた。


【12:00 トレーニングジム】


 ケーブルの金属音が、一定のリズムで響いていた。

 シエラは黙々とハンドルを引き続ける。


 ――キンコーン、カンコーン。


 突然、澄んだチャイムが鳴った。

 同時に周囲のトレーニーたちが動きを止め、

 何も言わずフロアの出口へ向かっていく。


「……え?なに?」


 シエラが軽く眉を上げると、

 小田切が近づいてきた。


「今からお昼の時間です。

 お二人とも、食堂に行きましょう」


 言い終わるのを待たず、


「ごはん!!行くぞシエラ!!」


 拓磨が全力で駆け出した。

 汗まみれのテンションのまま。


「ちょっ……勝手に行くなってば!」


 シエラも慌てて後を追う。

 小田切は苦笑しながら、静かに三人の後ろをついていった。


【食堂】


 フロアに足を踏み入れた瞬間、

 シエラと拓磨は思わず目を丸くした。


 体育館ほどの広さに、

 長いカウンターがまっすぐ伸びている。


 色とりどりの料理が並び、

 湯気がほわりと立ち上る。


 サラダ、温野菜、スープ、

 玄米や低糖質パン、

 そして鶏むねや白身魚のメイン料理。


 まるでホテルのビュッフェだ。


「こちらでは、好きなだけ食べても構いません。

 栄養士が管理していますので、

 どれを選んでも低カロリーで高タンパク質が得られます」


 小田切が穏やかに説明する。


「おおっ!最高じゃん!」


 拓磨は即テンションMAXでトレーを取った。

 シエラも続いてトレーを手に取る。


 シエラがトレー片手に料理を眺めていく。

 並んでいるのは、ヘルシーなものばかり。


 鶏むね、白身魚、温野菜、豆腐スープ——

 どれも良い匂いはしてるけど、


(ステーキ……ハンバーグ……

 パフェ……ない……)


「……うぅ……恋しい……」


 つい漏らした声に、拓磨が振り返った。


「そんなもんないに決まってるだろ?

 ここは食事もトレーニングなんだぞ!」


「……わかってるけどさ」


 シエラは少しだけ肩を落とし、

 温野菜をそっとトレーに乗せた。


 席についた二人は、トレーをテーブルに置いた。


 拓磨のトレーは——

・鶏むねの塩こうじ焼き ×2

・玄米 大盛り

・温野菜 山盛り

・プロテイン味噌汁

・ギリシャヨーグルト

・ゆで卵3つ


 盛りつけからして気合が違う。

 完全に“筋肉のための皿”だ。


 シエラのトレーは——

・白身魚のレモン蒸し ×2

・温野菜 大盛り

・玄米 小盛り

・プロテイン味噌汁


「いただきます」


 二人は手を合わせ、同時に食べ始めた。


 シエラは白身魚をひと口。

 噛みしめながら、眉がゆっくり寄っていく。


「……うぅ……

 ハンバーグ……パフェ……」


 小声で、じわじわ滲む渇望。


「重症だな」


 拓磨が真顔のままツッコんだ。



15分後


「ごちそうさまでした!」


 拓磨とシエラが同時に手を合わせた。


「午後からのトレーニング、始めますか?」


 小田切の問いかけに、二人は迷いなく返す。


「もちろん!」


「やる!」


 その声が重なったところで——


 昼休憩は、終わった。

  

         続く

ここまで読んでいただきありがとうございます!


今日はトレーニングと食堂での回でした。

シエラは普通の女の子らしく(?) ハンバーグとパフェを恋しがってましたが、

強くなるためには我慢も必要…!

それでも彼女らしさはちゃんと出せたかなと思います。


次回は、ついに入浴の回!!果たしてお色気シーンはあるのか?

よければ続きも見守ってください!

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