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地下の楽園

前回はちょっと日常回でしたが、

いよいよシエラと拓磨が新しい場所へ……!


カフェの地下にある“秘密のジム”、

どんな環境なんでしょうね。


筋トレ好きな拓磨はウキウキです。

シエラは……まぁ軽く引いてますが、彼女的には楽しんではいます笑。


少しだけワクワク、

ちょっとだけ不安。


そんな空気と一緒に、

物語の“地下”へ。


 

住宅街の奥。

 古い瓦屋根の大きな家が、カフェに改装されて佇んでいる。

 白壁には朝の光が淡く滲んでいた。


 引き戸の前。

 シエラはキャリーバッグの取っ手に指をかけたまま、


 小さく足先を鳴らす。

 袖をまくった黒いジャージが、風にふわり揺れた。


 スマホの画面——10:30。


 息をひとつ。


「遅い……」


 その言葉に合わせるように、

 向こうの道端が騒がしくなる。


「シエラぁぁーーっ!!」


 視線を上げると、

 拓磨が筋トレ器具の塊を抱えて突っ走ってくる。


 落ちそうなダンベル。

 揺れる金属製のフレーム。

 背中のバッグは千切れそう。


「ごめんお待たせ!」


 靴底が地面を擦って止まる。

 息が空気を荒らす。


「拓磨遅い!!ってかなにその荷物!?」


 シエラの声が、古民家の壁に弾いた。


「ダンベル、折りたたみ式懸垂セット、腹筋ローラー、プロテイン!」


 拓磨は自慢げに並べ立てる。

 汗で、彼の額が光っていた。


「店の使いなさいよ!!」


 短く鋭いツッコミに、

 拓磨は肩をすくめ、荷物を抱え直す。


「行くよ」


 シエラはそれだけ言い、

 引き戸へ手を伸ばす。


 カラン、コロン。


 鈴の音が、広い敷地の静けさに沁みた。


店内に入ると、店長の小田切がすぐこちらに気づいた。


「いらっしゃいませ……あっ、お二人ともお待ちしてました」


「今日もたくさん荷物持ってきたんですね」


小田切が苦笑いしながら言う。


「はい!やっぱ自分のが1番やりやすいっすから!」


拓磨が目を輝かせながら答えた。


 笑顔でカウンターを出て、奥へと案内してくる。


「では、どうぞこちらへ。ついてきてください」


 シエラが前、拓磨はそのすぐ後ろ。

 荷物が少し揺れるたび、金属の音が小さく響いた。


 前に来たときの引き戸の近くだ。

 その手前で小田切がしゃがみ込み、床に手をかける。


「では失礼します。」


 ガコン。

 鈍い音。

 床板が持ち上がり、下から厚いコンクリート壁。


 シエラが視線だけを落とす。

 拓磨はそれを追い、何があるのか確認する。

 胸の奥がざわつきはじめた。


 店長は壁の取っ手を掴み、ためらわず引く。

 重い音とともに、隠された扉が開いた。


 階段。下へ続いている。


「こちらです。ご案内します」


 小田切は淡々とした声のまま。


 シエラは一歩踏み出す。

 拓磨も遅れずに続く。

 

 照明の光が段ごとに揺れ、

 二人の影が壁に伸びた。


 コンクリートの階段を三人で下りていく。

 壁はむき出し。足音が乾いて響く。


 階段を抜けると、広い通路。

薄暗いが照明は整っている。


空気は少し湿り、低い機械音が一定のリズムで響いていた。


 拓磨は前のめり気味。

 荷物が揺れる。


 小田切が通路の先の扉を開くと、視界が一気に広がった。


 最新型のマシンがずらり。

 ラックの金属が光を返す。

 床はプロ仕様のゴムマット。


「やべぇ…ここやべぇよ!!」


 拓磨の声が反響する。


 隣で、シエラが小さく鼻を鳴らした。

ほんの一瞬、目線を横に逸らす。

 (……汗くさ)


奥で数人が振り返った。

鍛えられたスタッフたち。

視線が揃って、声が飛ぶ。


「師父!お疲れ様です!」

 「師父!お疲れ様です!」

 その声を受けて、小田切が軽く手を上げる。

 視線がこちらへ向いた。


「今日から新しい仲間が加わります」

「シエラさん、拓磨さんです」


 シエラが一歩前へ出る。

 照明を受けて黒いジャージが少し揺れた。


「シエラ・ヴァルキュリアだよ!よろ〜!」


 明るい声。

 スタッフたちの表情がわずかに緩む。


「俺、青木拓磨っス!よろしくッス!」


 荷物を抱えたまま、勢いよく頭を下げる。

 声が反響する。


「よろしく!」


 スタッフたちが一斉に応じる。

 広い空間に声が重なった。


「では、お二人のお部屋をご案内しますね」


 小田切が廊下へ歩き出す。

 シエラと拓磨が後ろに続いた。


 白い壁。

 規則的に並ぶ扉。

 まだ生活感はない静かな空気。


 一つ目の扉を通過。

 二つ目を通過。

 三つ目の扉の前で小田切が止まる。


 扉を開けると、その先は大きな部屋だった。


 天井が高く、照明が均等に届いている。

 その広い空間の中に、仕切りで区切られた扉付きの小部屋が並んでいた。

 すべて同じ作り。

 扉の上に番号プレート。


 小田切が一つの扉の前に立つ。

 135 の数字。


「こちらです」


 扉を開けた先は、

 ベッドと小さな照明、ロッカーがまとまったシンプルな空間。


「おおっ、広いっすね!」


 拓磨がキラキラした目で中を覗き込む。


「へぇ〜いいじゃん」


 シエラも入って、壁に貼られた紙へ視線が止まる。


1.食べて鍛えよ

2.笑って鍛えよ

3.迷わず鍛えよ


(……え?ヤバ、ウケる)


 無言で肩が小さく揺れる。


「やば!この施設ほんと最高す!!」


 拓磨はロッカーを開け閉めしながらはしゃぐ。


「こちらがあなた達の部屋です。荷物置いてから、次大広間を案内しますね」


シエラと、拓磨は一度自分の荷物を部屋に置き、小田切と大広間へと向かった。


 廊下の一番奥。

 大きな扉の前で小田切が止まり、押し開ける。


 空気が広がる。


 体育館みたいな広さ。

 白くて清潔な壁。

 床は滑りにくそうな素材。

 何かの集会でもやれそうな空間。


「めっちゃ広いぞ!シエラ!!」


 拓磨は興奮が抑えられず、軽く跳ねた。


(なにここ……体育館?)


 シエラは淡く眉を上げながら中へ進む。

 視線を奥へ向けた瞬間——

 大きな額縁に入った小田切の写真が飾られているのが見えた。


(……自分の写真を飾ってるとか、ウケるんだけど)


 肩がわずかに揺れる。


「ここでは朝の会合と言って、皆さんと体操と モットーの確認 を行います」


 小田切は説明を続ける。


「ではお二人とも、今からトレーニング受けてみませんか?」


「もちろんっス!!」


「オッケー!」


 二人の声が重なった。


         続く


読んでいただきありがとうございます。


実際に地下にこんな宿泊付きのジムがあったらみなさん行きたいと思います?

自分は秘密基地感があっていいなと思います笑。


次回シエラと拓磨が実際にトレーニングしたり、ご飯食べたりなど、合宿みたいな楽しい時間を過ごします!


お楽しみに

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