『日本改造計画外電』その拾玖<対談『ピロユキ』>
今日のリモート会議は、参加者からして異質だ。
「どうも、ピロユキです。本日は、お時間頂戴いただき誠に有難うございます。」
「こちらこそ、カメラオフのリモート対談で引きけて下さった事、
感謝の極み。本日は、宜しくお願い致します。」
「では、早速質問があります。日本をどのように改革するつもりですか。」
「民主主義、法治主義共に『欠陥』『欠点』『欠損』が存在します。
それら、『欠陥』『欠点』『欠損』を改修補修していく。
勿論、あくまで私見に過ぎません。まあ、制度ですからね。」
「成程、々々、々々。では、次の質問です。あなたの私見について。
民主主義、法治主義における『欠陥』『欠点』『欠損』とは何です。」
「まず、明らかにしなければならない事があります。
それは、制度そのものの『欠陥』『欠点』『欠損』。
更に、日本の制度における以下同文です。
宜しいでしょうか。」
「はい。仰る意味は分かります。確かに、制度特有の問題点。
それに、日本特有の問題点。どちらも存在しますね。」
「まず、制度そのものの問題点ですが、二つあります。
一つ、政治を自己の利益誘導の道具にしている輩を駆逐できない。
一つ、国民では無く自己の支持者のみの政治を行う輩を駆逐できない。
以上です。」
「あぁ……確かにそうです。が、それってどんな、あらゆる
政治制度でも言える事じゃないですか。」
「ええ。ですから、民主主義になってもまだ人類が、卒業できない。
そんな大問題なのですよ。」
「あぁ……むしろ、民主主義制度を作った人類の問題ですか。
良く分かりました。」
「ええ。では、日本固有の問題点です。これは、一つだけです。
官僚に甘い汁を吸わせ過ぎ。『アマクダリ』に代表されます。」
「成程、これは、分かり易い。で、どう改革するのです。」
「まず、立憲君主制です。これにより、民主的法治国家である。
と同時に君主もいる。法で裁けない悪を、君主様が裁いて下さる。
これこそが、『日本帝国憲法』で定めた社会制度です。」
「分かります。『日本帝国憲法』にそう明記されていました。
すると、選挙区を日本国全土にした事、最多得票者を総理にした事、
全て『国民の為政治を行う』。その補完である訳ですね。」
「ええ。最低でも国民の四割から支持されないと総理にはなれません。
これなら、最大でも四割の国民の為に政治を運営する事でしょう。」
「確かに、大分是正される事でしょう。ですが、そろそろ頭打ちでしょう。」
「ほお……『頭打ち』ですか。何の事でしょう。」
「今までの貴君の支持率の上げ方です。」
「成程、しかし私ならこう言います。『あれが最後の●●だったとは限らない。きっと、次もその次もありえるだろう。』では、折角ですし解説をお願いしますよ。」
「はい。貴君の支持率の上げ方をまとめるとこうなります。
法のスキマを掻い潜って私腹を肥やす輩を、令状も無く逮捕。
裁判も無く無期懲役にし、悪事の内容と刑務所内の様子を公表する。
高級官僚や、人材派遣会社の社長などをこうして『生贄』にしました。」
「確かに、その通りですね。貴方は、それを『頭打ち』と言う訳ですね。」
「はい。あれが、『最後』ではないと仰いますが、終わったらどうします。」
「成程。ならばこう言いましょう。『ありえません。』根拠もあります。」
「伺いましょう。」
「今だに、制度を創る側と、制度の穴を掻い潜る輩の争いは、継続中です。
例えば、仏蘭西の話ですが、舞台の上で、スカートをたくし上げて踊った。
名前は、『ウレンチカンカン』と言いました。ご存じですか。」
「はい。」
「しかし、公序良俗の観点から、取り締まるべきと言う意見が噴出。
結果、舞台の上で、下着を見せてはならない。と言う法律が可決。
警察は、早速取り締まりの為、劇場に赴きました。」
「どうなったのです。」
「舞台は、『ウレンチカンカン』を続行しました。が、逮捕者はいません。
何故だと思いますか。」
「分かりました。スカートの中、下着を身に着けていなかった。ですね。」
「素晴らしい。正解です。つまり、『制度とは悪用される為にある』訳です。
例え、誰かが取り締まっても、制度を悪用する者は後を絶ちません。
何故なら、『自分ならもっと賢い』と思い上がる者が必ず現れるからです。
故に、終わっていません。終わる事もないでしょう。宜しいですか。」
「はい。分かりました。ですが、分からない事もあります。」
「ほお、それは何でしょう。」
「多夫多妻制度です。あれで、何を改革するのです。」
「少子化です。」
「すると、誰それ構わず子作りすれば、少子化を解消できる訳ですか。」
「そうとも言います。が、問題の根本は、そこではありません。」
「つまり、少子化は、問題だと仰るわけですか。」
「少子化は、既に様々な弊害をもたらしています。お察しですよね。」
「そうですね。では、問題の根本をどう捉えているのでしょう。」
「政策の失敗です。産めや増やせで。人口を増やした直後から、
少子化によって人口減少を狙った。これが失敗だったのです。」
「それと、多夫多妻制度の間に『繋がり』が、見えません。」
「今話したのは、『方針』です。具体的な手段と結果こそが、問題なのです。
私見ですが、女性が生涯出産する子供の数が、2.0X人を目指す。
2人を超えていますが、2.1人にならない様に調整しました。
その政策が、三つあります。その前に問題点の洗い出しをしましょう。」
「是非、お願い致します。」
「それは、『教育』です。特に日本国憲法規定が問題です。」
「ほおほお……では、お伺い致しましょう。」
「それは、個人の幸福追求権です。これによって、配偶者や子供が割を食っています。」
「確かに、幸福追求権を盾に自分勝手を押し通す輩がいる。分かります。」
「ですから、その為の政策が、三つあります。
一つ、多夫多妻制度。
一つ、相続禁止。
一つ、結婚を部品化して全てを『権利』とする。」
「では、具体的な話をお願い致します。」
「まず、多夫多妻制度です。これにより離婚の必要がなくなりました。」
「あぁ……すると、結婚後に配偶者が、幸福追求権を盾に自分勝手する。
しかし、離婚となると証拠集めに、訴訟に弁護士費用等負担が大きい。」
「ええ。ですが、最初から複数人と結婚してよいのですから離婚も不要。
別居して、他の女性と結婚しても構いません。」
「成程、分かります。では、次はどうでしょう。」
「次に、相続禁止です。これで、死後財産は国に返還する義務が発生。
そこで、生前贈与や介護費用の貯蓄に回ります。
また、家屋、土地は、借家として格安で貸し出します。
ここで、最後に結婚を部品化して全てを『権利』とする制度です。」
「ほお……具体的にお願い致します。」
「結婚を部品化すると、同居並びに別居、配偶者養育、子供養育となります。
これらを全てを『権利』と定めました。つまり、同居別居を決める権利。
配偶者養育費の金額を決める権利、子供に対しても以下同文となります。」
「権利と言う事は、自分で決めてよい訳ですね。それが何か。」
「ええ。すると、競争原理が、働きます。複数の配偶者を持つ場合、
自分と同居させるには、どうすればよい。と言う観点での競争原理です。」
「成程……そうすれば、自分の幸福追求だけでは済まない。
相手に自分を認めさせる必要がある訳ですか。分かります。」
「ちなみに、第二子までは、ベーシックインカムを支給します。
が、三人目以降の子供にベーシックインカムを支給しません。
また、托卵も浮気も事前の了解があれば、問題ありません。
『多夫多妻』ですから、何人交際しようと誰と子作りしようとね。」
「成程……そうすれば、生涯出産数を2人に抑える事ができますね。
また、事前に一筆あればよい。良く分かりました。」
「本日は、こんな所で宜しいでしょうか。」
「最後に一つ質問があります。」
「どうぞ。」
「『物価半減令』は、いつまで続けますか。」
「私が、在職中は継続する事を私の権限でお約束します。」
「良く分かりました。本日は、ありがとうございました。」
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