The Velvet Veil
街の片隅、ネオンの灯りも届かぬ裏路地に、その店はひっそりと存在している。
店の名は《The Velvet Veil》。
外見はごく普通のバーのようだが、そこでは不思議な“キャンディ”が売られている。
その売り子は、この店のオーナー、ホズミ ルカという名の男。
ホストのような笑顔を浮かべ、迷える若者たちに甘い声でこう囁く。
「これ、ひとつ舐めてみない? ——無料だよ。」
ただの飴じゃない。
その一粒は、心の隙間を埋め、現実の痛みを忘れさせる魔法。
そして、次を求めたときにはもう、戻れない。
金がなければ、仕事を。
居場所がなければ、部屋を。
ホズミのもとには、似たような孤独を抱えた少年少女が集まり、やがて店の“スタッフ”として働くようになる。
だが、その飴の正体は?
ルカの真の目的とは?
これは、甘くて毒のある夢のような物語。