何のお祭り?
ひだまり童話館 第32回企画「ふにゃふにゃな話」参加作品です。
とある森の中。そこにはたくさんの動物たちが住んでいます。朝、近所に住んでいる動物たちは井戸端会議をしていました。
「近いうちに、何かお祭りがあるみたいよ」
「へえ、どんなお祭りなのかな」
近いうちにあるお祭り。何のお祭りでしょうか。お祭りがあるらしいということは、動物たちに伝わっているようですが、いつ、どこで、どんなお祭りをするのかわかりません。
そこで、森の長老である、鹿じいさんに聞くことにしました。
「ねえ、鹿じいさん、近いうちにあるお祭りって何?」
「いつあるの?」
みんなが、鹿じいさんに聞きました。鹿じいさんは、言いました。
「一週間後に、森の広場で行われるよ。その際に、屋台を出すことになっている。屋台を出す者たちは、てんてこまいだよ」
『屋台』
一体何の屋台が出るのでしょう。屋台を出す予定のない動物たちは、わくわくしていました。何のお祭りか聞くことすら忘れて。
そして、一週間後。
森の中が、がやがやと賑わっています。たくさんの動物たちがお祭りに来たのです。そこには、色々な屋台がありました。
りんご飴、焼きそば、たこ焼き、おでん、焼きとうもろこし、チョコバナナ。どれも美味しそうです。
お祭りに来た動物たちは、うきうきとしながら、屋台を回っていました。どれを食べようか迷っているようです。
みんなそれぞれ、食べたい物がある屋台へ行きました。「美味しい、美味しい」と、みんなは嬉しそうです。
みんな、屋台の食べ物が美味しくて、顔をふにゃふにゃと崩しています。そして、ふにゃふにゃの顔のまま、みんなとおしゃべりを楽しんでいました。美味しい物を食べることが出来て、みんな幸せそうです。
「ところで、今日は何のお祭りなんだい?」
動物の一人が呟きました。
「そういえば、何のお祭りか知らないわね」
美味しい物を食べて忘れていましたが、何のお祭りなのでしょう。
「ああ、言い忘れてたよ。今日は記念日だよ」
と、鹿じいさん。
「何の記念日なの?」
動物たちは不思議そうにしています。
「今のみんなは知らないかもしれないが、この森が出来た日だよ」
鹿じいさんが言いました。
「え? 森が出来た日!?」
動物たちはざわざわとしました。
「みんなには言ってなかったが、今日は、この森に初めて木が植えられた日なんだよ。ずっと昔にね。忘れていたが、最近思い出してね。お祭りを開こうと思ったんだよ」
どうやら、鹿じいさんは、この日を忘れていたようです。久しぶりに思い出したから、お祭りを開くことにしたとのこと。忘れっぽい鹿じいさんを、みんなは笑いながら、温かい目で見ていました。何年経っても大事な日。そんな日をみんなで楽しもうと、鹿じいさんは思ったのでした。
「さあ、みんな、美味しい物を食べながら、記念日を楽しもう」
鹿じいさんの一言で、みんなは思い思いの屋台で美味しい物を食べながら、ふにゃふにゃと顔を崩して、楽しく過ごしたのでした。