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タナベ・バトラーズ レフィエリ編  作者: 四季
2部

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55.黒く染まり始めた空の下

 黒く染まり始めた空の下、太い棒を握ったアウディーが機械仕掛けの敵と対峙する。フィオーネはそんな彼の背後でじっとしているしかなかった。彼女にも戦う覚悟はある、が、今はアウディーと敵の動きを見ていることの方が優先事項だ。


「オヴァヴァノ代表者トシテメイズル、女王ヲココヘツレテコイ。話ハスベテソレカラダ」

「ふざけんな!」


 刹那、敵は目に見えないくらいの速度で地面を滑るようにしてアウディーに接近。片手で握った漆黒の剣をアウディーに向かって振り下ろす。だがアウディーは咄嗟に反応し太くごつごつした岩のような棒で剣先を防いでいて。両者の武器が硬い音を立てて交差した。


「ぐっ……」

「コトバエラビニハキヲツケルヨウニ」


 二人の距離が近くなる。

 緊迫感もそれまでとは桁違い。


 フィオーネは二人から目を離さない――いつ参戦すべきかを考えているところだ。


 経験値はあまりない。少なくとも、戦って生きていた時期のあるアウディーよりかは。それでも、だからといってじっとしてはいられない。未熟だからー、とか、経験不足でー、とか、言い訳する気はフィオーネにはないのだ。


 アウディーは棒を振り距離を取る。

 しかしそこへ迫る黒剣。

 世界の闇すべてを詰め込んだような色のそれに向けて――フィオーネは魔法を放つ!


 敵は想定外の魔法攻撃に一瞬怯んだ。


 フィオーネはアウディーの脇をすり抜け隙ができている敵に接近、扱い慣れた剣で敵の剣を腕部分ごと斬り落とす。


 離れたそれは宙を飛ぶ。

 機械の身体ゆえ、斬ることへの躊躇いは少なかった。


「ッ!?」

「敵には容赦しません」


 至近距離から、放つ、攻撃魔法。それによって敵の金属的な肉体は勢いよく後方へ飛んだ。数秒の間があって。それはやがて、どしゃ、と重力を想わせる音を立てて地に落ちた。それから十秒も経たず即座に立ち上がれないそれの喉もとへあてがわれたのは、フィオーネの剣の先端だった。


「侵略者、答えてください」


 仰向けに倒れた敵、その腕部分の断面からは複数の銅線が見えていて、時折静電気の音を引き伸ばして加工したような音が鳴っていた。


「目的は何なのですか、レフィエリに手を出して何をしたいのです」

「ワガクニハ――ジダイ、ト、トモニ――領土――フヤシテ、キ――」


 敵から発される音声はそれまでより乱れている。

 文章が上手く成り立っていない。

 身体の一部が破壊されたことや魔法攻撃を受けたことが関係あるのかないのかは不明だが。


「コ――マタ、ソノ一環デアリ――地、ヲ、テニ、イレレバ――クノ、ロ、ウ働力ト――ミナ――ミ、ヲスベテ利用デキ――ッ、…………」


 やがて、フィオーネが手を下すまでもなく、敵は沈黙した。

 そのタイミングでアウディーがフィオーネに声をかける。


「フィオーネ、大丈夫か?」


 少し安堵した表情になったフィオーネは、一房の髪を揺らしながら、くるりと振り返る。


「はい、もちろんです」


 彼女の表情は快晴ではなかった。

 けれども豪雨でもなく。

 凛々しさを感じさせる真っ直ぐさが滲み出た顔つきだ。


「なかなかやるな!」

「ありがとうございます、アウディーおじさま」


 近くの道から駆けてきたレフィエリの男性兵士がアウディーに声をかける。


「攻撃がやみました!」


 驚いた顔をするアウディー。


「何だと……」


 その声は震えていた。


「何かありました?」

「い、いや……」

「何か心当たりがありますか?」


 言ってから、男性は地面で沈黙している敵を見る。


「フィオーネ様、これは?」

「敵です」

「そ、それは分かりますけど……襲ってきたのですか?」

「はい。おおよそそのようなものです」

「それで!? ご無事で!?」

「はい、活動停止させました」


 ちょうどその時、神殿からの放送が聞こえてくる。


『敵軍が撤退し始めました』


 フィオーネも、アウディーも、男性兵士も、その言葉の意味をすぐには理解できなかった。


 秋風を連想させるような風が皆の肌を撫でていた。

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