9
さて、今回出した海水の巨人は、実際は只の水の制御で海水を巨人の形に仕立てただけなので、インパクト重視の張りぼて。とは言えないか。一応巨人を創る為に制御している水を攻撃に使えば良いのだし、戦闘性能なら一応はそれなりに有る。実際の話としては、普通に戦って居た方が制御力の無駄使いをしなくて済む為に、これをメインで戦闘行動をするのは、制御力に余裕が有ってインパクトを戦闘で重視する時だけだろうが。そして皆撤収に入る。海水の巨人は暫く出したままにしておこう。さて、撤収が終わったら飯でも食いに行くか……。
「……私が出る必要無く終わったわね」
「アーバーン。君が簡単に前線に出られては困るだろうが」
「……それを言うなら貴方もだけど?そして私を倒す目的なら貴方を倒すのも手段の内の一つなのは変わらないわよね?」
「……此処でする話じゃないな、それは。……アレを使うにはまだ早いだろうし」
「そうね。今回の様な件の場合には普通に敵も能力を使って来るのは気を付けないとね」
「能力を使う奴の使える理由=召喚システム産の奴。の構図が成立する内は、召喚された人々に対しての排斥検案では使って来ないと思いたかったのだがね……何らかの形で大義名分が相手側にもある場合は能力持ちも普通に相応な数出てくるのは……」
「貴方みたいな例もあり得るわよね?」
「ああ、確かに。別にこれは俺だけの専売特許な訳じゃ無いしね。でもまあ、それを強制的にそうさせた奴とかは、細部迄細かく指定出来なければ普通に身体の仕様に欠陥や爆弾的な物を抱える事に成りそうでは有る」
「……細部迄注文したとして、それが寸分たがわず正しくないと何かしらの不足分は出るでしょうね。でも、だからともしも寸分たがわずそれが出来るなら、そもそも召喚された人々に頼らずとも自分でも出来るであろうことを考えると微妙な所だけど」
「……召喚された人々側の知識に頼れば良いだけだが」
「……催眠状態にかけて、完全に主導権を握る形でそれが出来る知識が有るならそもそもそれをやる必要は無いわ」
「……なんか身も蓋も無い答えだが、そう言う物迄カバーした催眠術を用意したら良い……とか言うのは問題を幾ら提示しても問答的には意味が無くなるからな」
「催眠術に耐性を持つ奴がわざとそれをやると言い、意図的に失敗とかされなければ良いけどね」
「……ヒェ……勘弁してくれよ。そう言うのはマジでさ……」
「何無駄に怖がっているのかしら?貴方には関係無いわよ。もしそうだとしても」
「でもさあ、敵対勢力の心当たりと言えば天空都市のだろ?」
「貴方ね……確かに彼方はいくつかの意味で商売敵かもしれないけど、実際に戦争をすると成ると、ほぼ私怨に成るわよ?単に個人的に気に食わない程度の事がそれとはほぼ関係無い人達を動かせる大義名分に成るなら苦労はしないし……」
「私怨も何も無いビジネス的な戦争以外が皆無ならそれでも良いのだが……宗教戦争とか資源を求めての戦争とかも有るしそれらが有効な場合も有る。だが、自分以外の奴が民を守っているのが気に食わない。だから戦争を仕掛けますね。とかを大義名分に出来るなら大義名分とかそもそも要らない状況な訳だがさ……宗教とかアレだよな……」
要は今回の場合ならば、自分が強く成りたいから、他に保護されている民を此方で保護する為に戦争をしよう。だ。……そんなのゲームでも無ければ普通に頭可笑しいだろうが。
「そうね。問題は宗教よね……大義名分を持つことに拘らないなら簡単に処理出来るけど」
「……それだと勝てても先が無いだろ。前提条件を考慮しない反論なんて無意味だけど、例えば途中で植物に作り替えられ、浄化される事を考慮しないなら空気なんてどれだけの奴の中を出入りしているのかね?少なくともそれは四人其処らじゃ無いよね」
「……何故四人かは知らないけど、それは途中で光合成とかで色々と組み変わるから」
「前提条件を考慮しないと言うのはその段階を無視して考える様な物で、事だから」
「……うわぁ……」
「まあ要は食べるのに使った食器を洗ったのを無視して食器を汚いとか言う奴。もうそれだと最早気分の問題だがね」
「……気分の問題は重要では有るわよ。元々は毒性の有る物に他の物を混ぜたから毒性は無いです(但し毒だった物は入りっぱなし)だから食べますか?と言われて食べたい?」
「それはやっぱ嫌だな。除去と中和は違うし。さて、もうここは良いな。俺は少し飯を食いに行きたいから下に戻ろうか」
「そうね。流石に腹は減るわよね。じゃあ食べに行きましょう」
そして飯を食べに行く事にする。海水の巨人は傍目には巨人を召喚した様に見えたのだろう。まあ通常の制御の理屈でやると攻撃や防御に使う部分以外の制御は見栄以外の意味では無駄だろうから、実質俺の制御力に相当余裕ができでもしないと、実戦投入するのは基本的には格下を相手にする時かハッタリか。逆に言えば通常の戦闘行為に使う制御力と、海水の巨人を制御するのを、それと同時に出来るレベルにさえ自分が向上してしまえば、デメリットらしいデメリットは無い事に成る。まあ実際、レベルが上がるまではたまにしか運用しようがないのだが、それは成長すれば済む話だ。それに、幸い水神と言う教師が身内に居るのだし、まあ何とかなるだろう。
☩
……私はろくな事が出来なかったわね。復興くらいは色々とやらないと。
「ケール様、物事には適材適所と言う物がございます」
「……解っているわよ、そんな事。……でも神格個体を作れる奴ってあんなに化け物な訳?」
「神格個体に優先的に師事出来る環境があの人には有るのですから、それで弱かったら、むしろその方が問題ですよ」
「なんか酷いわね。神格個体を用意したのは彼自身でしょう?師事する前にもそれなりに力があったはずよね?」
「ですが、神格個体を創り上げた者がその個体と友好関係を築く事に失敗する例しか無い訳ではないですし、なら何かしら神格個体から貰って居ても別に可笑しくは無いかと」
「ずるいけど、自分で神格個体を作った事が前提なのを考えると……でももやもやするわ。……何か無いか、何か……」
「貴女には極度な耐性が有るのですから、その耐性を前提として、初めて運用が出来る能力をバフで貰うのはどうでしょうか?それならばいわゆる能力的な反動が大き過ぎる系のロマン砲の運用が視野に入れる事が可能なはずですから」
「その手が有ったのね……よし。アーバーンさんに掛けあって来るわ……しかし、ロマン砲、ね……」
そしてアーバーンさんを探す事にする。……超越した火力等のメリットの代わりに大きなデメリットが存在する能力。それがここで言うロマン砲的な能力なのだけど……所持している耐性で耐えられるレベルのデメリットの物なら、私にも出来るかも。……ゲームのステ振り的な概念で言えば、反動等を抑え込む為に割かれて居る力を火力強化側に上乗せする。それで来るデメリットを耐性でねじ伏せる……実力以上の力を振るいたいなら何かしらの無理はしないとね。
飯を食べているとケールハイトが来た。……要は能力が欲しい様だが、俺が能力を沢山持ち過ぎだ?能力を沢山持っていると言うかそのイメージをゲームで例えるなら特定の事をやるためだけの物がセットに成って、扱うのを簡単にして居る物がスキルや、能力だ。まあ俺の場合水の制御を基盤にしてどうこうする奴は全部出来る……可能性が有ると言うだけで、要するに大抵は只の鍛錬の結果な訳だが、沢山能力を持つのはチート?いや専用の能力を持たなくても結構努力次第でやれるのだが、そう言う訳にも行かないので。
「欲しいとして、具体的にどんなのが欲しい?」
「自分には過剰耐性が有るので、それに任せたロマン砲がしたいです」
「……詳しく」
説明を受ける。……ふむ。
「要は自分にも攻撃しながら攻撃する高火力技が耐性有るので、問題なくやれるかもと。ゲームではHPゲージ消費技とか良くある部類の奴だけどさ、ゲームじゃ無いのだから、耐性で耐える前提で自分のガチの攻撃を敵への攻撃にしつつ自分にも受ける形なのだが……マジでやるのか?そう言うのは魔法無効とかの奴が使うとかならともかく、耐性で?」
「実力以上の力を使える方法なので、それくらいの無茶はしたいかと思います」
「……急いで実力を付けたいのは解るが、それなら耐性のレベルを更に上げた方が確実に選択肢は増えると思うぞ。今の案もリスクが更に減るからな」
「……確かにそうですね。ですが、流石にお荷物過ぎるのは嫌なので」
「そう言うのは解らんでもない。が、そうだな。耐久テストでもしないと認められないな。自壊するレベルの奴を渡す訳にはいかないだろ。ご都合主義的な世界では無いのだし」
「耐久力テスト、ですか?」
「渡す物がそう言うのが無いと決められんからな。俺はその結果は見ない様にはするけど。アーバーン。耐久力テストに付き合ってやってくれるか?」
「……解ったわ。それを見て決めましょう。流石にそれを貴方が見るのは駄目よね」
「そうだな」
そりゃあね。此処でそれを見るとか言うと、ケールハイトの身体検査データを見たいと言う様な物だからね。それは流石に、ね。
「あの、弱い威力から強い威力迄出せる奴が有れば良いのでは?」
「そりゃあそうなのだが、ある意味での自爆技が最大火力技とか、自爆しないと勝てないとかの状況が生まれかねないのだが、それでも真面目に欲しいのか?」
「……それでも勝ち目が一切無いよりかはマシです」
「……此方は何処かを攻め滅ぼそうと言う集団じゃ無いのだから戦闘行為をする事は要するに自衛行為……そうじゃないと国連がうるさい事に成るのは解るだろう?だというのに敵が殺せれば良い的な能力とかが有ってもさ……」
「なら他の人にも、貴方の様な水の身体を得させると言うのはどうでしょうか?成功例が既に有るのですから、失敗の心配は然程無い様に思いますし」
「それは断る。結果的に水の身体で得られる耐性以外の耐性を大量に捨てる事に成るし、耐性面で考えるとむしろ君の場合は弱体化するから、止めた方が良い」
「……確かにそうですね……でもどんな感じの身体なのですか?スライムとか?」
「……俺の体がスライムだ。……なんて何時言った?過ぎるのだが。そもそもスライムとか設定次第で強さがかなり変わる奴を元にしています。……とか言うと、悪意的な奴には弱い方基準の方で語られる奴だろうし……」
「いやいや、そもそも衝撃耐性とかゲル状とか」
「……今の身体のベースは別にスライムじゃない。別にだからとスライムと似た事が全然出来ない訳じゃ無いけど」
そもそもの話として、何でスライムではなく、水神に貰った身体をスライムがベースだとされなければならないのかと。別に前提としてアーバーンはスライムでは無いのに。
「衝撃耐性はどれくらいですか?後、転移で飛ばせるのはどれくらい?」
「ああ、そう言うのを言うと、水掛け論的回答される奴だから言わない。まあ飛ばせない重さの爆弾投下、とかされても、それが此方を殺すためだけなら極論転移で逃げれば良いだけだが」
「重さ制限が有ると?」
「……超重量の爆弾とか、掛かるコスト的な意味で実用化を見送られた類いの奴なのだが、そうだな。流石に天空都市をそのまま全部飛ばせる奴は少なくとも天空都市の敵には居ないよ。もし居たら対策破られたら天空都市自体が壊滅するしね」
「……うわぁ……世界観設定自体の崩壊ネタですか……」
「かなりの作品で長距離転移に何かしらの制限が有るのは、それが無いと滅茶苦茶な事に成るからだと思う。ゲームだと戦闘行為中は使用不可とかね。何せ相手側がそれの対策持ちでも無いと余裕で逃げられるし……まあ対策持ちと戦わない前提で居るとそう言うのと戦うと痛い目見るけども」
さっきの戦闘の転移封じなり転移割り込みなりで、さ……。
「短距離転移なら戦闘中でも使う作品はありますよね?」
「それは特殊な使い方を考慮しないなら、高速で動くだけでも似た挙動は出来る範囲だし」
「……それに当てはまらない挙動をそれでしていた人が言う事ですか?」
「……能力を十全に使う事に文句を言われても……」
「ええと」
「っ、全員伏せろ!」
俺は水蒸気を水に変え、操り、辺り一面に満ちるエネルギーを壊す。砂漠とかの場所でならともかく、此処は海底都市。湿度に困る事は基本的に無い。壊し切れなかったエネルギーが周辺の建物を破壊した。ほら、転移とかを制限無しだと滅茶苦茶だ。つまりは遠隔攻撃を転送する。転移の射程圏内全てが自分の遠隔攻撃全ての射程圏内に成る。本当にクソだ。制御力が及ぶ範囲でないと使えない能力ならともかく射撃系のとかなら問題無いし。……追撃があるか警戒するが。暫くは何も無い、か。転移転送系の対策組まないと……。俺は特別なんかじゃ無い。アーバーンを創り上げたのだって、最初は神格個体としてでは無い。拡大解釈が加わった特殊個体では有ったのだけども、強くならねば成らない理由が俺には有り、強く成れるだけの環境が俺には有った。……あの力を使うのならもっと強く成らねば成らない。それこそ、召喚システムを創り上げた奴よりも。
「さて、対策として転移系や転送系に制限を掛けるしか無くなったので、対策の為に皆に一定の不自由を強いる事に成るかも知れない。シンプルに転移転送封じするのが一番早いからな。……だが、そうすると移動が大変に成る。空気汚染要因は減らしておかないとなのだし。なので、此処はゲーム的に行こうか。地区毎に決まったポイントでのみ、転移や転送を可能とする。侵入者に対するセーフティーは別に詰めていこうか」
……こうしないと攻撃転送で市街地大規模破壊が簡単に可能に成るからな……しかし、これでは戦闘中に転移で逃げるのが無理に成るから、条件付きで無視可能にするか?でも、その基準の線引きが面倒だし、仮にカードキーなら盗まれる可能性が有る。登録制で登録した奴以外の使用不可なら、物流に転移転送を使えなくなる。そうでなければ抜け道は有る……うーん。やはり話し合うべき内容だろうな、これは。
そして話し合った結論から言えば、使わない訳にも行かないので転移や転送を使う場合、逐一毎の許可制にするという形で落ち着いた。自分が上層部に居て良かった。許可を出す側の方に入れた。これなら然程自分の戦闘に影響は出ないだろう。……少しは出るがね。
私は外壁の水の制御を常にしているのだから、制御力に制限が有るような物だし、戦ってもし倒されでもしたら不味い事に成るのは解るわ。制御力をかなり常に使っている以上同格以上と戦うのは不味い条件なのだし。でも、戦闘面では良いことなし過ぎてアレね……。自分の能力を嵩上げ出来る手段が有るとは言え、前提的な意味でハンデを受けているのだし、他の神格個体よりも強くならなければハンデ的な意味できついのよね……。でもいくら手札を見せたくないからと転移と水の制御だけで頑張る……なんて縛りを自分に対して課すなんて修行としてもやり過ぎと言う気がするけど、水の生成を何も無い場所でやるなんて、結局は無から有を創れないと無理な訳で、それが出来るなら苦労はしないわよ。周りの物を集めて水にするにしても、エネルギーを水に擬態させるにしても、対価は必要。質量保存の法則を破る為の理論なんて物を用意出来るなら、科学者として大成するレベルだと勝手に思っては居るけども。……魔法とは普通無理な事を出来る物だ?……この世界の魔法にはちゃんと前提となる理屈は有るわ。だから、相手の力のメタを考える時に答えを導き出す余地が有る。自分がその内容の結果の能力を創るならどう作るか?要はそれを考えられればそれなりな答えは出せるのだし。そう言えばどう耐性を上げるのが良いかと聞かれたから、一先ず負荷トレーニングをやるように勧めたわ。要はデバフを受けた状態でステータスを下げた状態を前提としてトレーニングを行うのよ。……駄目だった?……ああ、そもそも身体の質が大幅に変化するレベルで能力エネルギーを現在進行形で受けているのだから、バフ全外しをしないとデバフはそもそも論外……でも全バフ外しが相手に出来るならそもそも能力が使えなくなるので負けている……。そもそもそうなった時点で負けだから考える必要は無い?いやいや、有るわよ。……でも様々なエネルギーが混ざりまくった結果、それ故に魔法が効かない。……いわゆる体に影響を及ぼす、エネルギーの飽和状態と言う事?……ゲームで例えるなら、バフデバフの同時に掛けられる数を超えてしまった的な意味で。それで攻撃魔法をデバフ扱いにして、対攻撃魔法にも作用しているのかしら?……うわぁ……、そう言うパターン……。魔法耐性と言うよりも飽和現象による事象キャンセル。攻撃が完全に防げてないのはバフやデバフが相手の攻撃で潰れているからなのね……。問題なのはバフやデバフ一つ一つにコストを設定した上でのコスト制かシンプルに個数制限か……。自分を媒体とした能力が潰れる事を考えると強い奴に試すのも……。罪人とかにやるのも論外だし。……コスト制だと超強力デバフを手に入れても、コスト的に確実にオーバーするので確実に失敗しまから強すぎる結果逆に産廃性能です……とかも有り得るから、それならありがたいのだけど。そのパターンなのなら、格上の者に超効果デバブとかされても無意味だし……。……んー、フラワシの言っていた事と矛盾するけど、宿るのがバフやデバフ扱いなら、耐性で弾かれたと認識した結果、なのかしら?
「はぁ……高評価されるの自体は良いけど、その結果一部のトップ層しか出来ない様な事を出来ないのに出来るとされて、それを根拠に疑われるとかどうしろと言うのかね……」
「……水霧……それはそれだけヤバイ事を貴方が大量にやった結果よね?」
「もっと凄い事をやれている奴は普通に居るのだけども。能力無しで強いからと、どんな能力にでも勝てると言うのは、身体能力さえ高ければ攻略出来る能力しか無い世界でのみ通用する理屈だし」
「……」
それは能力使用に対して縛りプレイなんてするからよ。……と、言うのは憚れるわね。他にも能力が水霧に有ると明言する事に成るし。……まあ水霧が召喚したのは私だけじゃ無くて、召喚された人々から召喚者は能力を貰うと言う事が可能なら、隠すまでもなく後何個かは持っていると思われても可笑しくは無い……応用性で幾つもの能力を使って居るからそれが個別の能力扱いされて居るならその認識を覆す必要は無い。そうでも無ければ縛りプレイの意味が無いのだし。即物的に即座にそれなりの能力を使えるが、それ以外は出来ない能力か、成長をさせさえすれば可能性が膨大な能力。どちらの方が良いかは状況次第だけど、前提として初期の大変な時期を召喚された人々に任せられる事を考えると、余程ヤバイ状況でも無ければ可能性目的で自分の能力を選ぶのも悪くないわ。でもまあ、そうなると召喚された人々が少ない初期の初期、自分の最初の最初なんて自分には普通の人としての力しか無いだろうから、その選択肢を取るなら自分より強い人を召喚して、仲良く出来ないと不味いのだけど、……召喚された人々の復活手段ツール的な意味で、余程ヘマをしなければ大丈夫だし、そうする事に私側にも実利は有ったのよね……。その結果、召喚された人々が召喚者に対して少しの事なら許す傾向が全体的に出て、で、召喚者側に舐められて……と言うか召喚された人々に対して調子に乗る奴が出て、その結果決裂、と。……そう成る理由を召喚者側が理解したらしたで、それを召喚者側に盾にされて交渉される形に成るし。そういう意味では召喚された側で再召喚のシステム的な能力を持つ奴は、極力敵対したくは無いのよね。そうなった際の命綱の代わりに成るのだし。水霧についてはシステムが起動し、開始した初期の段階で私達を創ったのだから、そう言う事は基本的に無かったけど。……いや、そもそもそう言う情報が世界に揃う前に私を召喚した結果、それを前提とした会話が出来なかっただけだろうとは思うけど、むしろ初期の段階で召喚に踏み切ったからこそ、特殊な立場の存在に私が成れて、いわゆる特殊個体に成れた訳だから、それを責める気は無いけど。……何せ自分の生成物ではなく、世界の物を使う能力なんて、先に産まれた方が所有権を簡単にそれらに対して主張出来る。なら初期に生まれればそれのトップシェアを得る事の難易度はそもそも競争相手がまだ居ない的な意味で、後発の奴よりもとても簡単な訳で、強くなるつもりさえ有れば、そりゃあ自然と強個体に成れるわよ。他の似たような能力持ちとのバトルとか、神格個体に成った理由とかはまた別だけど今は良い。
「なんだ?黙り込んでさ」
「少し前の事を考えていたのよ」
「ああ、海獣討伐戦とかか?アレ、海獣の死亡偽装を疑う様な結果だったし、撃破でなく撃退したと言う事にしていたのに、暫くその後何も無いから討伐に引き上げられた奴」
「まあそう言う事も有ったわね……創作ならそう言うのはフラグ会話だけど」
「……止めろよ。あいつ低次神格個体でも力押し撃破が出来なかった奴だからな?」
「……まああの時私はまだ神格個体に成って無かったもの。他の奴に良い所を持って行かれたのは確かよね。彼方はどんな感じ?」
「……まあ今の所は問題無し。彼方にもある程度の戦力は無いとだしな」
「ちょっと待ってください。低次神格個体がアーバーンさんでは無い様な話し方ですよ?」
「まあ低次神格個体なら確かに他に居るよ。俺が所属していた軍側に今は居るけど」
「神格個体を創れたのに他の奴を追加で創れない特別な理由でも無ければ作らない理由は特には無いですけど、他にも居るのですか……此処に協力させない理由は何ですか?」
「他の奴の護衛役。この状況なら狙う奴は出るだろうし、そう言う人員も必要だろ」
「……まあそれは確かに」
……一応はその軍側の人には海獣討伐戦に参加していた人達も多いから、大抵の奴らはかなり余裕な気はするけど、私達の敵対者の標的に成るなら神格個体が絡んできそうだから、最低限は居ないとなのよね……。まあ常識的に考えて、神格個体が簡単に作れるなら苦労はしないわ。でも低次神格個体を創れたのだから、水霧が神格個体の創り方を握っているのも嘘では無い。事実として私は初期の段階故の先行者利益を十全に活かしただけだから知られた所で他の世界ならともかく、この世界で再現するのは現時点では基本的には無理だけど、低次神格個体ならそうではない。……まあ要は、低次神格個体と言う物が、そもそも只の人間でも成れる物なだけだけどね。神格個体の創り方を握る奴を敵に回す。それは神格個体の創り方の難易度次第では、何体もの神格個体を一度に相手にする構図も有り得る。そりゃあ相手も逃げるわよ。事実として低次神格個体なら創れるから真偽判定系を受けている状況でそう主張しても嘘に成らないし、要は神格個体を創れる。創った。それは事実として嘘では無いのよ。但し自分で創る場合に、創る個体の神格の高さは考慮しないと言うだけで。だから、工作員も所属国を明かさない。……まあ介入して来た国連軍だって、国連軍の振りした敵国だった場合も有り得るし、もしそうなら虎の威を借る狐と言うのは最高な煽りでしょう。シンプルにもう言葉通りだし。……でもまあ、他の神格個体の創り方には出来るだけ早く辿り着く必要は有るわ。神格個体が数十体居ても倒せるレベルの戦力揃えられて戦争を仕掛けられたら、その戦力に対して数的な意味での主戦力が低次神格個体に成るのだし。だから神格個体を新しく私以外にも創るのが出来なければ不味いけど、既に成功例がある以上、他の人がそれをやれる可能性よりかは高い可能性を持っているのも確かで。だから水霧は他より高い可能性と言う面では否定出来ない範囲でのハッタリを通しているのよね。本当では無いにしても、嘘とは言えない範囲での演出迄出来ているし……。……只、アレを使うにはまだ時期が早いのよね。それを使う事で起きるだろう問題への対処が本当にそれなりなレベルの神格個体を自由に沢山創れるくらいには成らないと厳しいだろうし……。其処に連絡が来る。どうやら置き土産で火事に成ったらしいわ。そもそも只の炎なら水を当てれば消えるし、そして水は蒸発する……でも水は消滅する訳ではないわ。ならば、その水蒸気に成った水を制御で水に戻すのを繰り返せば消せない性質の炎でも無ければ基本的には直ぐに消せる。何故なら大量な水を延々とぶつけたのと同じ事に成るし。……それに水の身体だからと蒸発したら即座に死亡するレベルの奴なら単純に雑魚過ぎて神なんて名乗れる訳無いでしょうが。簡単に消火出来たわよ。湿度が高いからなんとかしろ?水に囲まれている海底都市に乾いた環境とか火山地帯とか、砂漠的な環境を求められてもね。海底火山が有ろうが海全体が熱く成る訳じゃ無いし、乾燥機的な物や能力が有ろうが周りに水があり過ぎるのは変わらないし。海その物を蒸発させられる奴が出ても水蒸気操って水に即座に元に戻せるし。としかね。戦闘に使うからその状態を改善する必要も無いし。……さて、海底都市のシステムの再編作業に移りましょうか。