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そして国際会議当日。厳重警備が敷かれて居るが会場には関係者と言う事で普通に入る事が出来た。意外だったのは能力を持つ奴も普通に入れた事。こう言うのは創作では能力を使う道具なんて有るなら全て預かった上でやるイメージが有るのだが、遠隔攻撃をする系の能力対策も必要だし、襲撃をされたら相手側だけが能力を使える……とかは割とシャレに成らない為、攻撃系は緊急時以外では使わない事を条件に、立ち入りが可能に成る様だ。さて、出番迄は待つとしよう。
そして会議が暫く進んだ所で、襲撃が発生したらしいわ。……命知らずの奴も居たものだと思うけど、対策に当りましょう。其処に巨大な衛星兵器が乗っ取られたと連絡が入る。……。えぇ……流石に宇宙迄届く攻撃能力なんて無いわよ……て、は?発射迄後五分?いやいやいやいくら何でも早過ぎ。チャージはこういうのはもっと掛かるのが定番でしょうが。……。えぇ……既にチャージした奴を持って襲撃に来たと?それを繋いだからからチャージ段階は殆どスキップされたと?……。冗談じゃない。逃げるのは無理よね。いや、転移がアーバーンさんは出来るかアーバーンさんの所に行こう。そして場所を移動し、アーバーンさんの所に行く。
「アーバーンさん……転移をしてください」
「そんなことしなくても対処出来る奴は居るわよ。流石に衛星兵器のチャージ時間無視なんてふざけた真似をしてくる奴が来るとは思わなかったけど」
「でもひとまずは移動しましょうよ」
「なら、そうね。衛星兵器の範囲は半径五百メートルの円の範囲。一先ず十キロ離れるわよ」
「解りました」
そして転移をして、時間が来る。衛星兵器が撃ち出されて、辺りは破壊さ……あれ?そんな事は全然起きないわね。いや、そこで光と轟音と爆風だけが来た。でも、遠目から見る限りは何も破壊されていない。……つまり、迎撃成功?こんなあっさり?
「やってくれたわね。衛星兵器を只の一人のろくに威力の無い攻撃で攻略しやがったわ……流石と言って置きましょうか。水掛け論の回答に対する回答でも得たのかしらね。多分、相手に火力で上回られていても問題無く勝てる様に出来る能力とか」
「そんな無茶苦茶な。単に高密度に攻撃を圧縮した結果、はた目には弱く見えただけ、かもしれませんよ」
「火力的な水掛け論は負ける時は相手の火力が上回っているのが前提。要はそれを崩せる能力が有れば良い訳ね……何通りかの理屈は解ったわ。実にゲーム的だけど」
「教えてくださいよ」
「嫌よ。これの使い手が増えると、基本的に相性ゲー的な攻略法以外無意味に成るもの」
「そんなぁ……」
「……連絡が来たわね……は?衛星兵器が攻撃した所で敢えて国際会議を続行する、ですって?……いやテロには屈しないアピールのためなのは分かるけど……ああ、そう言う事」
「テロ現場で国際会議を続行って何考えているのですか……」
「衛星兵器による攻撃が国際会議を潰すためのそれなら、国際会議をやめたらテロリストの思う壺だから、よ」
「流石に場所の移動くらいはした方が……」
「国際社会が一介のテロリスト風情に対して総撤退なんて真似をやる訳には行かないわ」
「……つまり各国のメンツの問題ですか……」
「中継されている物だから、中止は避け無いとね。とは言え、代理人を立てての物に成る様だけど、この流れは都合が良いでしょう?私達にとってはね。メイン目的忘れないでよね」
「……今回の発表をするのを防ぎに来た……とかなのですかね?」
「その場合、今回の話を事前に話した奴らの関係者の中に敵方が居る事に成るのだけど?」
「……」
「まあそうだとしても、今回の衛星兵器を防いだ奴は白の可能性は高いわ。敵方なら防ぐのをやらなくても良いもの。つまり、そいつを仲間に引き込める可能性と価値は十分に有ると言う事ね。それはともかく、会場に戻るわよ」
「解りました。お願いします」
転移をして貰い、会場に戻る。本来なら正気の沙汰では無いが、テロには屈し無いと言うアピールには成るので(止めれば逆の意味になる)国際会議を止める訳にも行かない訳で。まあ、やるしかないわよね。会議を再開し、私達の番に成る。
「わざわざ時間を頂きましてありがとうございます。今回ここに私共が来させて戴いたのは、偏に人権問題についてです。私共は公海のある場所に、現在ムー大陸建造を行って居りますが、其処を召喚システムで召喚された人々の、緊急時の避難場所にしとうございます。避難民の数と規模次第では建国も視野に入るのでございますが、その場所の支援を行って頂けないでしょうか?要は召喚された人々の人権保護をする為の場所なのですが」
会場に沈黙が走る。当然ね。生放送で中継を中止したら不味い状況で、本来なら生中継を止めるべき内容の爆弾をぶち込んだ様な話なのだから、対応をミスすると相当不味い事に成るのだし。
「……なぜそんな話を此処に持って来た?他国の政策に内政干渉する権利等汝らに有るようには見えないのだが?」
要はこの話で亡命するような奴らが此方に来てくれれば僥倖と言う話だもの。
「いえ、私共は召喚された人々の人権を確保したいだけでございます」
「現実問題として、だね、お金は無尽蔵に有る訳じゃ無い。仮に生活保護制度と言うものに召喚システムで召喚された人々を、範囲内にしてみたら解るだろう。その為のお金目的で、召喚された人々を増やす奴が出るのでは?」
「……つまり、彼ら彼女らの人権を一々認めていたら、政治が覚束ない。と言う事ですね。では、今回の話を住み分けの前提基盤の場所にするのは如何でしょうか?払うお金が無い。としてもそれは此方が引き受けましょう。何、召喚された人々には能力が有るのですから、労働義務でも対価に付ければ十分回収も出来るはずですから」
「それを此方がやるのは構わないのだよな?」
「ええ。人員流失が嫌だとしている国が有りましても、人並みにと人権保護がされているのならば、此方に人材が流れはしませんよ」
「つまり、ブラックな職場が多いだろうから、ホワイトな職場を用意してやるので、此方に来ないかと世界規模で宣伝しやがった訳だ。国を甘く見て来ているのじゃ無いよ。福利厚生出来ない国しかないと舐めているのと変わらないのだからな」
「福利厚生がしっかりして無い所は、他国に亡命を許さない国しか無い訳では有りませんよね?でもそれは召喚された人々の個々の意思でしか有りませんよね?」
「少なくともうちの国はしっかりしているさ。他国の国内事情迄は存じ上げないがね」
「ならば貴国は何も問題有ませんよね?」
此処で問題が有ると言うならば国際的に不味いわよね。
「なら聞こうか。その手法は多数決が使えぬ。つまり、選挙が無意味に成る。それをやらず使わないなら階級社会にでもして、貴女方は皇帝なり何なりとのにでも成るつもりか?」
「一定人数を超えたらグループ分けして別国扱いにするつもりです。小国連合の体を取るつもりなので」
「法律を決める権利を独占するなら名目上の物でしかなく、実効支配は変わらないが?」
「……それは調整中でございますが、人権保護の立場を崩すつもりはございません。ですが有ると問題だと言う該当の権利以外の権利を主張することは駄目なのですか?」
「……その場合も決局は選挙権をよこせと成るのでは無いか?」
「有っても問題無い権利迄も与えないのは横暴です」
「……人権問題的に言えば、仮に既にそうして様が似たような批判は来たと思うが?」
「それはそうですね。人間と似た生命体に対して権利の剝奪をしているのですから」
「……此方は別に感情論を述べている訳では無いのだが?」
「既得権益が壊れるのが嫌ですか?」
「なら国の政治の内容が滅茶苦茶に成っても良いと言うのだな?」
「一応そうしない為の対案は出しましたよ」
「それは国の定義や在り方その物の変更が必要だ。それこそ建国でもしない限り無理な類いの」
「……だから建国も場合によってはするのですが」
「これは建国迄して初めて通る理屈だろうよ。政治家は国家の経費削減策を、自分の給料を大幅に減らす形でしようとはしない物だ。それは当然で、タダ働きなんてしたくないからな」
「……それをする人も居るでしょう?」
「政治はボランティア活動じゃないし、一部の例外を全てのスタンダードと同じにするのじゃ無いよ。やるなら建国迄行け。そうすれば国の政策でそうできる。そうでなければ話に成らないだろうな」
「……その努力はさせて頂きます」
代理人の代理人なのにこのレベルに問題点を突いて来ているのじゃ無いわよ。小国連合の問題点は既に創作でやられている。つまりは、連合への超大国の参入。それに対する回答が根本部分の掌握権の独占なのに、それを潰されて堪るかって話よね。……さて、如何にかしないと。
「では、ネット側に私共の、団体名のサイト名のホームページを立ち上げておりますので、詳しくはそちらをご覧下さい。ではご清聴有難うございました」
さてさて、あくまでも此方の大義名分は人権保護とそれに必要な物に付いて。対案無く、それを棄却する、つまり、人権侵害を正義だなんてほざける世界に成るまで腐り切ってない事を願いましょうか。
「アーバーンが関わっているプロジェクトが有ると聞いたから、来てみたのだが、これは余り来る意味無かったかね?」
水霊か何かの男だろうか?
「すみません。どちら様でしょうか?」
「ああ挨拶が遅れてすまない。君のことはアーバーンからよく聞いている。俺は水霧浄土……アーバーンの本来の関係者と言えば良いかな」
「……本人に確認を取っても?」
「彼女なら俺がもう此処に居るのは知っているよ」
其処にアーバーンさんが来る。
「……貴方ね。研究の方は良いの?」
「ああ、そういう話に成っているのだったな。同じものを創るだけなら基本はコピペで良い。まあコピペそのままの物を創るつもりはないが。……まだ途中と言えば途中だが、基礎的な物なら十分出来ているよ」
「なら向こうで話しましょうか。転移をしましょう」
「おう。そうしようか」
そして転移を行い、辺りに防音を行う。
「さて今回の話は聞いている。ムー大陸建造のプロジェクトと人権保護目的を掲げた人員募集、ね。うん。大義名分は悪くない、が、確認だ。途中で有った襲撃を手配してやった……とかならかなり不味いが、やってないよな?」
「そう言う物はやってないわ。まあそれが有ったから過激な方面に主張を変えさせたけど」
「確かか?」
「……ええ。そうです。あの条件で犯罪を手引きなんてとんでもないですから」
「ま、良い。だが、問題はそれを他がどう思うかだ。あの襲撃は妨害なはずなのに、結果的には君らに都合が良すぎる。邪推する奴はそれなりに出るだろう。最低限その犯人の捕まった後の処遇には口出しはし無い様にするべきだ。良い待遇にしようとさせたらグルなのを疑われるからな」
「ですよね……でも、そう言えばアーバーンさんの再生とはどういう原理なのですか?」
「……説明出来る範囲では、そもそも前提となる体を力で水によって成形しているだけだ。つまり、基本的に無形。便宜上人間のような形をしているだけ。傷が治らないと言う力を攻略できないとしても、受けた部分をそもそも体して扱わないだけで無意味に出来る」
「……何か歯抜けの物を感じますが……」
「そりゃあまあ、喋るつもりの無い物の代わりの理屈を言っているだけだし」
「……このレベルの事を話して良いと言うレベルにヤバイと言う事ですか?」
「やだな。完全に伏せると連携も出来ないから、嘘では無いさ。少なくとも言った事は出来るからな」
「……」
「……アーバーンさんは何故止めないのですか?」
「……はぁ。まあそれを話して良いと思うのは解るし、力を隠蔽していくのも水神と成った今ではしても仕方ないけど、……あれはやめてね」
「流石にそれは言わないさ。言うにしても研究が済んで奴を倒してからだ」
「確かにそれが出来た後ならそれを言うのも有りかも知れないけど、……言いふらさないでね?」
「はいはい。……君から持ち出した話だろ?あれは。今更そう言う対応にしても遅いだろうと思うのだが?」
「……あれは状況的に仕方なくだし……」
「……はぁ、はいはい。解りましたよ。なら、あれの理由は話したか?もう戻れない所まで来ているだろ?そこのも、さ」
「なら話して良いかしら?」
「少なくとも、一定以上の関係者には結構話していることだ。今の其処の奴に、此方と手を切れる余裕なんて確実に無い訳だし、裏切る心配も無いだろう?」
「そうですね。手を此処で切られては相当に不味いのは確かですけど、……それは手を切る奴が出るレベルにヤバイ話なのですか?」
「純粋な味方なら何も問題無いさ。それは其方にもメリットも有るし」
「……純粋な仲間でなければ不味いとは、もしかして裏切れなく成る類いの物ですか?」
「いや、此方の君らを保護するメリットの話の内実の開示だな。まだ詳しくは説明されてないだろ?」
「そう言えば、そうですね。でもそんなに不味いのですか?多分ギルド的な何かが有るとは思いますが、それ自体が此方に何のデメリットが?」
「簡単に言うならば、君らを保護するのは、君らが他者の集合体だの結集体だのに参加するのを防ぐ為。だから結果的に他のそう言うのに対しての敵対扱いに成る。これは良いね?」
「はい。それは契約して直ぐに教えられました。でもそれがどうしたのですか?」
「その理屈をアーバーンも出来る訳だよ。君らを対象にしてね」
「つまり、敵対する恐れが無くなったので、それに私達を参加させようと言う事ですか?」
「話が早くて助かる。まあ、そう言う事だ。本格的に彼女に命を握られる形に成るがね」
「……そう言う事ですか……私は違いますがスパイが紛れ込んで居たら内側から滅茶苦茶にされそうなそれですが」
「ぶっちゃけそう言うのが特に理由付けも無く出来る敵が居たらそんな事をしなくても、普通にやられると思うのだが?まあ最強ステータスで敵を殲滅してやった。的な単に強いから勝てましたとか言う奴がやる手段じゃ無いし、そもそもステータスが高ければ何でも倒せるとは限らないだろうと思うのだが、そう主張するだけなら取れてもないマウントを取りたいだけだろうし、相手にはする価値は無いが」
「ステータス万能説の全面否定ですか?」
「そもそも火力が有れば何でも倒せる世界とか、概念系は居らんのか?と言う話だしね」
「それは世界観次第ですとしか思いませんが」
「そう、それな。ゲーム的な世界なら大抵の場合に攻略法は有る。倒されない前提の敵役とかは別としてだけど。そうでも無いと、ゲームが成立しないからね……でも、現実にそんなバランス調整有ると思う?」
「競技なら有るかと思います」
「それはゲームとして言ったつもりだったけど、攻略法が有る事を事前に用意した上での、能力造りなんてしなくて良いからね。現実だし負けるつもりで能力組む訳じゃ無いし」
「……ですよね……」
「さて、で、どうする?」
「デメリットは他には有りませんか?」
「……それはアーバーンの方に聞いてくれ。その方が良いだろうし」
「……そうね。デメリットと言えばデメリットだけど、裏切るつもりが無いなら別段問題に成らない物なら有るわ……創作で言うと、他の人要る?と聞かれる様なそれだけど」
「……何でも出来て他の人の立場が無いとか言わないですよね?」
「いいえ、集合体は集合体の内容の人々の能力を、自分の能力として使用出来る。……まあつまり貴女の力を此方に提供する事に成るのよ。……まあ、貴女みたいな例は、特に此方が回収すべきものは無い訳だけど」
「……それは特筆すべき事ですか?能力の所持者本人が参加して形成する物なのだから、参加者の能力が使える。それは当たり前なのでは?」
「まあ、それはそうだけど、要は参加者に所有能力を貸せと言う訳だから、それが嫌な奴はそれなりに居る内容だと思うわよ。……スパイとか敵なら尚更、ね」
「……私達がそれを断ると敵認定くらう奴ですよね、それ」
「ええ。敵対する気が無い限り、デメリットは……表に出しては不味い能力でも持って無ければ基本的には無いもの」
「……」
「おいおい、言い過ぎだ。少なくとも渡す能力が無い奴にそれを言っても仕方ないだろ……持つ能力を無いとして隠していなければ、だけど」
「召喚システムを私は一度も使って無いわよ」
「ダウト。召喚システムはお手軽に使える物だ……それこそ使わせないようにする規制が無理だと判断されるくらいには。そうでも無いと、会議であんな態度を取る様な国々が召喚システムを潰す為の手法を取らないはずが無いし、かなり良い奴や、強い奴を召喚したければ、相応の手間が掛かるから、確かにまともな召喚はしていなくとも、一切召喚行動を取らなかったとするのは厳しいはず。第一、君らの前提の集まりの理由だって国が一切感知してないはずが無い。でも、君らが対処するまで放置されていたのだから」
「……それを私しか思いついて居なかっただけよ」
「それは国を舐め過ぎ。そもそも国際会議で君の話した相手は代理人の代理人だろうが」
「……百歩譲って仮に召喚をやって居たとして、それに何の問題が有るのかしら」
「問題大有りだよ。その理由は話せんがね。で、どうだ?どれくらいやっている?」
「本当に一定以上の奴は一人も召喚して無いわ」
「……なら良い。今後もするなよ?じゃ無いとあれが出来ないからな」
「何の話ですか?」
「ゲームで例えるならば、持ちキャラを進化させずに育てたら、それはそれなりに専用の技が有る可能性が有ると言う話だ。その可能性を君なら検証可能なはずだ」
……それはつまり、いや待ちなさい。
「そんなものが有るなら、そもそも召喚システムが無くてもそれは有ったはずですが?」
「君は特殊な例な可能性が有る。召喚システムにろくに頼らず、でもしかし、召喚システムの存在のエネルギーを体に受け続けた的な意味で」
「……つまり、特殊な強化ルートに入っている可能性が有る、と?」
「あくまでも可能性の上での話だが、ね。召喚システムが嫌なら、使わないのは解るけど、そうなのにも関わらず、召喚システムで召喚された人々の力を大量に受けまくるのはやる。それは召喚システム自体を嫌う奴の行動じゃ無い。言うならば対価を払うのは嫌だが、貰えるものは貰って置こう的なそれだ。普通やんないだろそんな事。危険だから使うのは嫌なのにシステム自体の否定はして無いのだからさ。なんていうかな。召喚システムが召喚を俺達にさせる上での慣らしを君はやってないのに、それで得られる物には散々触れている訳だ。何か有りそうだろ?そう言うのは」
「……それは死ぬ可能性が有る奴では無いですかね?例えるなら高山病的な意味で」
「まだどうなるかは分からんが」
「無限魔力とか、永久機構とか出来たりしますかね?」
「実質で良いのなら無限魔力は自分の実現可能なレベルの継続戦闘に耐え得るレベルの物が有れば一応は名乗れるぞ。だが、永久機構は、永久機構が作れない理由をクリアしないと無理。要は無から有を創れないと成立しないし」
「……無理ゲー過ぎません?……うう。何か共有されるべき前提が開示無しで喋られている気分です」
「召喚システムについての事は基本的にはノータッチなのは本当の様だな。召喚システムの話は長くなるから要約するが、そうだな、召喚者は召喚手順を踏めば幾つかの判定基準をクリアすると召喚システムは存在を創造する。その創造される本人に召喚する上での注文が提示され、それを召喚される奴はある程度棄却と改編出来る。そしてその結果召喚されるのだが、意図せぬ召喚結果も起きて居るのは知っての通り。召喚される奴らの能力が、エロ目的でも割とガチなのはその審査を騙す為だろうな。その結果ガチ能力を得られている奴も居るのだから割とアレだが」
「……うわぁとしか言えないですね、それは。でも何故其処迄知って居るのですか?」
「研究しただけだよ。仮にも其処のアーバーンの創り主は俺だしな」
「な……」
「其処迄言うのかしら?隠していても良いと思うけど」
……要は神の個体の創造に成功した人、ね。そういう人なら確かにそう言う事を熟知して居てもおかしくは無いわね。
「隠すにも前提条件的に軍関連の奴らには大抵既に知られて居るし、ある程度以上仲間なら別段言って構わん」
「そう言えばアーバーンさんが軍所属なら、創り主も軍所属なのはおかしくは無いですね」
「まあ今の活動についてなら軍は関係無くやっているけどな。後、要は召喚には条件が有ります。召喚される奴側にもその内容にある程度干渉出来ます。更に纏めるなら要はこれだけで済む話では有る。まあそれだと要約しすぎて最早中身の何の説明にも成って無いけど」
「……あはは、まあ、召喚される奴にも召喚内容に干渉出来ますと言うのは良いのでは?」
「それだけだとそれのやり方を変えたら創作の転生時に神に力を貰う的な物に成るが?」
「……本当にアレですね。本当に転生者も中には居そうな気がしてきました」
「それは解らんけども、どうだろうな。干渉出来るレベル次第でクソなのを掴まされるかと思うと結構リスキーだと思うが」
「でもロマンが有るじゃ無いですか」
「……召喚システムが無い世界ならともかく、この世界でなら召喚システム産の奴に新しい体造って貰えば良いだけだろ、と思うのだが?」
「それは流石に怖いです」
「……俺が言えた義理じゃ無いが、そう思うならば止めるべきだ。ついでに転生を自分から望むのも。転生についても、今の方法についても要は元の体を失うのは変わらないのだから、それを怖がるなら自分からの転生も無理だろ」
「……要するに転生は結局、死ぬことで今の体を捨て、新しい体を手に入れる事で、それの死を挟まない物を怖がるのに、死を間に挟む奴なんて尚更やれるか、と……」
「まあ、そう言う事だ。劣化版のも出来ずに、それ以上の物をやれる、やりたい。とか言うのはちょっと、ね。いや、自分の意思関係無く死んだ後に転生出来ました、の、パターンは考慮しない。自分からそれをやりに行けるかどうかの話なのだし、似た意味の事を嫌がる奴がやれると言われましてもね」
「自分から意図的に転生する奴はそれなりに創作では居ますが」
「……はぁ。要約するか。転生したいなら、今の自分の体を捨てる事を怖がってどうする。と言う話だ。うん」
「要約下手ですね?」
「最終的には出来ているだろ。話しながら考えて自分で要約している迄有るけど」
「口に出す前に出来ませんかね?」
「他の人に説明するのは自分のそれの理解を深める上で有効な手段の内の一つだからね。こっちもそれを全部解る訳じゃ無いし。敵対する気は無いと先に断って置くぞ。チェック」
すると私の首回りに水が出現した。
「……やる気は無いなら何の冗談ですか?」
「一先ずこれだけで此方はそちらの首元に手を添えた様な物だ。後はそれを制御したら首を絞められる訳だしな。今回はやらないが」
そして水はそのまま霧散した。
「……私にも対抗手段くらいはありますよ」
「ああ、そうだろう。確かに何種類か有効な対策は有る。まあ簡単な勝ち筋ばかり求める奴に碌な戦闘技量なんて有るはずもないし、これは基本的には使わない奴だ。そもそも対策が有る奴に対してはエネルギーの無駄使いの部類だし……さて、此方を信頼しているようで何より。聞きたいことは聞けた。じゃあ会場に戻ろうか。参加については後々な」
「……つまり、試した訳ですか」
「話す気は無さそうだから別の奴で試しただけさ」
「……何か冷酷過ぎませんか?」
「召喚システムの事か?なら召喚される奴に確認が有るだけマシだろう。それとも何か?最悪な内容にされても拒否権無しで良いのか?」
「でも助けてくれても」
「つまり、個人間の取引に対してシステム側に口を出せと?」
「……」
そして会場に戻った。……これで宣伝は十分。これで後はどうなるか、よ。