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 さて、仕事、仕事。重力と水圧と単純に海底都市の上に乗り掛かる海水の重量。これらをどうにかしないと単純に不味い。重力を引っ張る力だとするなら、その引っ張る力のスピードよりも速く、その方向に動けば良い。そうしたら重力からは限定的に解放される。とてもシンプルな回答では有るけど……引力とかで敵に自分の場所に吸い寄せられる際には自ら其処に行くことになる。つまり重力を消す能力とはその理屈を動かずに行う能力なのだと思うわ。つまり、その能力の動く事に出来る限界値が能力の限界値に成るのだと思うけど、……身内に似た事をやれる奴が居るわね。まあ重力は問題なさそうだとして、単純な重量、まあそれについては深海生物が大丈夫な事を鑑みるに、重さは分散されると見て良いはず。問題は水圧。深海生物を船に揚げると、目なり内蔵なりが体から飛び出ると聞いた事が有るけど、要は深海の水圧に耐える前提のバランスの身体が、いきなりそれが無い場所に移動させられたから、なのだと思う。要はばねを押さえる力がいきなり無くなった的な感じで。

 まあそれはともかく、見せる事その物が目的なのは間違いない。倒すにも雷を使うなり水を吸収してしまうなり何なりやり方くらいあるはずだし。タングステンですら融点は三千四百二十二度な訳で、ファンタジーの炎や雷を使う奴には溶かせる奴はざらに居るでしょう。その程度のメタで殺せるなら既にやられている気もするのだけど。

「さて、バフを他の物に移すのを試してみますかね」

「実際、アーバーンさんは質量保存の法則が云々と言っていましたが、炎でも雷でも死なないと言う意味ですよね?」

「多分水蒸気も体扱いに出来るか何かで、雷なり炎なり当てられても関係無いだけかもね」

「……酷過ぎますね。完全に蒸発させてしまえば、……だから質量保存の法則、ですか」

「そう言う事でしょうね。仮にも神を名乗れる訳だし」

「とは言え、神を名乗るだけならカルト宗教や創作含みそれなりに居ますけど」

「……それを言い出したら神と言う称号は定義的な物でしか無いわね。何をもって神と言うかの定義もバラバラだし」

「仮に神話生物の能力を持てたら神と言うのはどうでしょうか?」

「……例えば神話の金属系の能力は、そもそもまだ該当金属が造られて居ない的な意味で長い歴史を持つ金属にしか古典神話には居ませんよ」

「……ああ、そう言う。新造神話の物が良く成るなら簡単に神に成れてしまうし、金属生成能力とか、合金系の物を最初から作れる奴の方が金属自体の質良いし……」

「古い神話の方が強い的な物でも無いと、特定金属生成系の神はより良い金属が出来る度にマウントを取られそうですね。全能神とかでカバーされているとは思いますが」

「つまり、兵器開発で技術が進歩する的な意味で後継機の方が強いのを、それでも初号機を最強にしろ……と言う事よね、それは」

「造る技術が有っても乗りこなせる奴が居なくて後継機を劣化させなければ成らないとかも有ると思いますけど」

「そう言うのは新兵器の運用に要求されるレベルが高く成り過ぎて、大抵の人がそれらの運用が無理に成ってからの話よ……」

「一応分身を残しているのを忘れないで欲しいのだけど?」

「……あ、あはは。そうでしたね」

「今居る世界その物に依存する能力は、他の世界に移動させられたら無力。それはそうね。でも別に私が質量保存の法則なり何なりとの物を成立させる為に必要な能力を持って居ても問題は無いのだけど?」

「……それの何処が水なのですか?」

「水の能力をカバーする為の能力くらい私は持っているわよ。それにそのツッコミは、転移を私がした時にするべき物よ?今更過ぎるわ。そもそも貴女達を保護下に置いたのだって、それその物に利点が有るからなのだし」

「……」

「とは言え、今の私は只の分身だし、過度な期待をするのは勘弁ね。緊急時の本体への連絡手段役だとでも思ってなさい」

「……解りました。じゃあ仕事に入りましょうか」

「その前に先に消えたバフを掛け直して貰いに行きなさい……今回の打ち消す力が消せた奴は、消された原因と同レベルの奴が来たら、消される物でしか無いから、仮にそれと同じ理屈で消しに来られたら消えるバフに成るし、別にそのバフを受け直さなくても良いけど」

「解りました。バフの数が膨大な結果消し切れ無かっただけの場合も有り得るのでバフを受けてきます……まあ過信できない物には成りますが、無いよりかは良いので」

「実際創作上、打消し能力が最強なんて理屈を成立させてしまうと、魔法を使い、争う意味とは?と成るけどね。どんな魔法が有ろうが例外なく消えるのみに成るのだし」

「打ち消し系は大抵の能力相手に水掛け論に出来る能力であるのは確かですし」

「それで消されるのを逆用されたら目も当てられないけどね。封印受けている奴がそいつの攻撃を受ける事で封印を解かせるとか」

「そういう所に行かなければ良いし、攻撃対象にそれをしなければいいでしょう?」

「細かい指定を出来る打ち消し能力なんてそれの制御に介入されたら詰むかもね?それの制御の力は打ち消せては居ないのだし」

「他人には出来ない物を制御に使えば介入は無理でしょう」

「そう言う事が言いたいのではなくて、仕様上制御の余地が有る能力なのに、他の人に絶対に制御されない根拠は何処に有るのかしらね?と言う話。少なくとも所有者がそれの制御に使う力は打ち消されないと明確に既に示されている様な状況なのだし」

「……」

「さて、他の国に認可される国を少数で作った例は多分無いけど、国相応の場所を新しく少数で作った例なら一応実際に有るわ。まあ、軽く調べた程度のにわか知識だけど、国際社会が国の建国を歓迎するパターンは、例えば国際問題を解決する手段の一つとしての建国よ。まあ、それについては召喚システムから産まれた人達の受け皿の国に成ると言う大義名分が有れば、恐らくは何とかなるわ。召喚システムで産まれた奴で、上位層の地位を獲得した有能な奴が居るなら、その国と協力やその国に援助を受けるのも不可能では無いし、流石にそう言う奴が沢山有る国の全てで零と言う事はないはず。それについては私が話を付けるわ。人間が交渉に行くと多分協力してくれないから」

「……私達は何をすれば」

「多方面とのコネ造り。後、対多数戦闘訓練と海上と海中での戦闘訓練ね。建造は変わらずやるとしても、後はそれくらい?ああ、いや、国の法律も有るわね。でも人間が決めてはダメよ。そうでないと召喚された奴らの自由な受け皿に成りえないから」

「解りました……召喚者に被害を受け召喚された者達を国の単位で集める……。最早戦争の準備とか言われそうですね」

「要は召喚者と縁を切る様な状況に成った者が集まりやすいのだし、それはまあ、そうね」

「そうなるのは不味いのでは?」

「……。前提条件的に人間に対して、多少なりとも敵意を持つ奴が集まるのは当然の事よ。そうでも無ければ、そもそもこの話に参加する必要も無く、普通に生きて行けるのだから」

「……」

「戦争の準備では無く住み分けの為の物だと主張するのが無難かしらね」

「いやいやいや。流石に不味いでしょう?」

「とは言え、要は国からすれば不穏分子が国外に一斉退去してくれる検案よね?それ自体は良いことでは無いかしら?」

「その結果、敵対組織が産まれるなんてシャレに成りませんよ……」

「要は基本的には個人個人への恨み検案の人達を一括化しただけでしか無いから、それが国への敵対組織、ねぇ?随分な思考の飛躍よ。国その物への怨みを持つような奴を、大量に受け入れでもしない限りは反対する奴自体が怪しくないかしら?別に国への怨みを持つ奴を集めている訳じゃ無いと言える範疇の立ち回りをするならばだけど」

「なら受け入れる奴の選別は必要ですね。でも、それは通りますかね?」

「戦争を起こされる可能性を現実的に考えても有り得ると思う国は反対するでしょうね。そう言う国が居るのはそう考えられるだけの根拠と下地が有る状況なのでしょうけど」

「実利が有れば倫理観は無視される。ですしね。召喚された者達に人権を認めていない国ならそう言うのは余裕で有るはずです。召喚システムで産まれる奴は薬物実験に使うマウスでは無いですけど」

「要は片手間に簡単に幾らでも生み出せる存在に一定以上の価値を認めよと言う話よ」

「……貴女がそれを言いますか?」

「……完璧な全能神が居たとして、その神が世界に介入しない理由って多分実際これよね。この話はその認識を覆させなければ成らない訳だけど。さて、他の分身がある程度話を通せたみたいで、連れて来ると言っているわ。覚悟は良い?」

「早過ぎますよ!まあ仕方ないですね。お願いします」

そして連れてこられた男性は、

「君が代表格と言う事で良いのかな。……帰って良いだろうか。人間が上に居る組織に辟易している奴が集まる様な話に人間が上に居るのじゃ無いよ」

「……この話の利点は解るはずですが?」

「ちっ。解ったよ。君は何時でも殺せそうだしな。見定めてからでも遅くはないか」

「ありがとうございます」

そして一通りの説明を行う。

「要するに此方に資金援助と後ろ盾に成れと……水神が後ろ盾じゃ足りないと思う根拠が欲しいね。面倒事なら乗らないから」

「この話は私から持ち出した物よ。彼女がそれで足りないと言い出した訳では無いわ」

「へえ、水神自ら力不足だと認めた検案か。……まあ人権問題とかはそれなりの政治的な立場が無いと厳しいのは確かか。ふむ。主張としては住み分けを行いたい為の物。でも実際は各国からの徴兵みたいな物、ね。能力持ち達を合法的に集める様な話……普通なら人間は誰でも反対する。言い換えると兵器を各地から無償で回収しますと言う事だからね。でも、冷遇をされている様な奴でも無ければこの話に乗る必要が無いからな。なら人権保護的な理屈を持ち出せば反対する奴はそう言う対応をして居る奴だ。ちゃんと適切な待遇を召喚された奴らに対してしているのなら、その理屈が有ろうが誰も離脱無しで済むのだから」

「そうです。ちゃんとした待遇を召喚された奴らに対して与えて居るなら何ら困る話ではありません。だからこそやる意味が有るのです」

「多くの国を試す検案をやろう。と、言う事か。面白い。場合によって援助を打ち切るが、このリシ・アンギラスが援助をしてやろう」

「有難うございます」

「勧善懲悪とは言うが……悪が有った事で本来なら手に入らない物を手に入れる……要はオンラインゲームで言うならプレイヤーキラーキラーみたいな物だ。つまり、誰かを無制限にでは無く、食い物にしている相手を、悪に限定しているだけ。行為その物だけで言うなら大差無い。行為にどんな主義主張を込めるか?要は其処がそれらとは違うと言える所だ」

「耳が痛いですね。確かにそうです」

「この手法で進みたいなら大義名分は持ち続けろ。そうじゃ無ければ只の悪なのだから」

「……貴方はどんな力を持つのですか?」

「簡単に言えば敵対呪文。攻撃の対象の内容の敵対する内容に成る攻撃を撃てる。打ち消し能力とかの相手の力を潰す能力と言うより、例えどのような能力をぶつけられようが、それに相殺を強制する能力だな。そしたら後は水掛け論だろう」

「……酷過ぎ無いですか?」

「これは別に万能では無いのだが、打ち消し能力と違うのは、単発打ちで能力を使わない敵に当てても攻撃として普通に成立する事だろう」

「でも別に対策自体は可能ね。それは言わないけど、本当クソでしょう?こういう系の」

「……ですね」

 理屈は予想が付くけれど、その能力を何相手でも成立させたいなら相当な種類の能力の攻撃を撃てないと駄目じゃ無いかしら?流石に現実的では無いわよね?それが出来るなら相応の量の能力を撃てる必要が有るはず。後その理屈の場合、初見殺しにやられるし、そう言うのにも対応出来る奴でも無いと攻略出来る奴は結構居るわよね?過大広告?それとも別の理屈でも有るのかしら。……これ以上の説明は無さそうだし、考えてもしょうがないか。

「では、建築現場を見せてもらおうか」

「解りました。では移動を、」

「それは私がやるわ。水掛け論的に、能力の火力を上回らせれば能力を通せる訳だし、私が無理矢理移動させるから」

 そして建築現場へと移動した。

「ふむ。この状態で必要なのは潜水艦と大規模な浄水機器と空調機器、耐水性の高い漏電を防いだ電子機器等……いや、潜水艦でも無いと行けないレベルの海底の水圧に耐えられる電子機器……なんて能力無しでの耐水性が有る奴なんて無理か。手動で大抵の事が出来るタイプの設備構築が必要だな」

「……つまり、自転車で発電する的な奴ですか?」

「電子機器に頼り漏電なんてされたら不味いだろ?手動で全部が操作出来る設備は必要だろうよ。但し、そう言うのでも耐水性はガチの奴が必要だが、災害時に使用する道具辺りの発展形の物が下地に出来そうでは有るけど、相応のレベルの耐水性を付けなきゃいけない的な意味で確実にオーダーメイドだよな」

「潜水艦を貸し出してもらえるのですか?」

「それの話はともかく、セーフティの話について聞こうか」

「では……」

 そしてセーフティについて話した。

「潜水艦が水に沈み、浮かべる理由は、空気が浮く事さえ解れば解る様に、砕いて言うならば、水を潜水艦の中に入れて空気を外に出して浮力を潰しているから。そして浮かぶのは、潜水艦の中に有る圧縮した空気で水を押し出して保持して浮力を再び取り戻させるからだ。それは厳密には違うが、要点としてそれで一応は良い。要は密閉が可能な、大きい動かせるコンテナの中に空気を満たし、その中に入るだけで海上に上昇するだけなら可能に出来る。圧縮空気ボンベ辺りでも用意しとけば其処迄金も掛からんな」

「……そのボンベはそれなりの数が必要ですけどね」

「それはそうだな。後、コンテナ自体の重さも軽く抑えたい。……緊急時に使う物なのだし、頑丈でないと簡単に敵に破壊されかねないし、それなりの浮力を確保するのは必要だろう」

「でも潜水艦を買うよりかはかなりお金を抑えられますね」

「緊急時に浮力のみ有れば良いと言う理屈な以上、簡易的なレベル以上の操作が出来ないから浮上した後がアレだが、まあ海底で溺死するよりかはましか」

「……潜水艦買わないと、ですね」

「空中から海中にミサイルを撃つにはパラシュートを必要とするわよね?まあそうしないと海面にぶつかる時にミサイルに衝撃が掛かり過ぎて海面で爆発しちゃうからだろうけど、つまり、通常の兵器としての海上からの攻撃としての対潜水艦用のミサイルは、海面で迎撃する事がミサイルの進行スピード的には一番簡単なのよね。海中では加速しても問題無いだろうし」

「うわぁ……」

「……ヘリとかの空中からの対潜水艦ミサイルに、パラシュートが付けられているのは調べる限りはガチだが……まあ良いか。さて、特注品の準備は此方に任せて貰っても良いか?」

「良いことは良いけど、しばらくしたらは自分で用意出来ないとね。場合によっては支援を打ち切ると言われているし」

「……頑張らせて貰います」

「そう言う事なら、特注品に掛かった金額のリストは必要かな。それでその額を出せば購入扱いにしよう」

「何から何までありがとうございます」

「なに、この話はそれだけのやる価値が有る事だと言うだけの話だ。もっとも、他の国との衝突は覚悟しろよ?そう言う事に首を突っ込むのだからな」

「……」

「その為に私が居るのよ。召喚された奴らの人権保護。この大義名分は世界がクソで在れば在るほど機能する。私達に賭けて良いと判断させられる最低限の物さえ提示出来たら仲間は増えるでしょう。世界がクソで在れば在るだけ私達の活動に呼応する理由は増えるのだから」

「……解りました。やりましょう」

「よし。では細かい話に移ろうか」

 そして更に色々な事を話し合った。……要するに約一ヶ月後の次の国際会議に参加して、その件を公表すると言う事らしい。根回し期間が一ヶ月程度で足りるのだろうか?それに、そもそも国のトップや、報道機関側は人間ばかりだろうから、そうしたとしても、話を握り潰されないだろうか?生中継する国も有るらしいから、そこを足掛かりにするようだけど。……え?能力使用による討論の誘導等を警戒して、そもそも生中継を広範囲にするように成って居るの……?ああ、成程。公開する事でそう言う不正は有りません。クリーンな会議です。と言うための物かしら。流石に国際社会の目がある場所で能力を使用して云々なんてそれこそ世界を敵に回せる準備が有るところでも無いと、色々と不味いわよね。つまりそれをやるのは、それをやった国に対しては、和平交渉が無価値ですなんて言うような物だし、もし戦争にでも成ろう物なら相当厳しいし、相応な準備が有ろうともやれる国は少ないと思うわ。

 そして準備の為に月日が流れて行った。


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