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今回と次回の更新は説明回なので説明が面倒な人は見なくて良いかと。
私はケールハイト=スプリングス。しがないオカルトマニアだった者よ。……まあ、もっともそう言うのに傾倒していた結果、召喚システムが世界に発生した際に速く世界に順応出来た。人生何が役立つか解らない物ね。でも、本来なら出来なかった事が出来る様に成るシステムが実質の無償提供なんて何か有ると思ったの。だから私はいわゆる召喚者から何らかの理由で脱走した者達を保護する会社を創る事にした。……まあ、女が高い比率で増えたわね。理由なんて召喚者がそう言う事を彼女らに無理矢理求めた結果、なのでしょうけど、召喚システムで召喚される者は入力された召喚テキストがそのまま反映される訳じゃ無い。なら反撃行動が不可能な制限を食らわせられて、反撃出来ない様にされままひたすら犯してくる……。と言う事を考える奴が居ない訳も無いけど、召喚される奴がそれを望まない限りその制限が機能してない奴が召喚されるのよね。逃げる奴もそれなりには出る。ならそれなりな数が確保出来ると言う寸法ね。強い奴隷を隷属的にさせるつもりだった奴も不愉快な事にそれなりに居たから、それなりに強い奴も居る。……まあ、問題が有るとしたら彼女達は初手に肉欲をぶつけられようとした人達な訳で、人類に対して良い感情を持つはずも無いのよね。まあ全員がそうではない事は解って貰うしか無いけど、そしてその活動をし続けて暫く経った頃、元素系の召喚された人達が相互協力をしようと言う話が有ると来たのね。支配能力を持つ奴が出始めたのは知れて良かったから場合によっては合流する日見より意見を出して貰い私達は私達で動く事にした。他人が簡単に来られない場所で、大量に人が生活出来る場所……何処の国でも無い土地と言えば南極大陸だけど流石に其処には住みたく無いわね。大義名分は何が良いかしら?……ああ、そもそも誰も来られない土地なんて有るかしら?国でも建国して入国規制でもする?……調べたら金で買うには普通は無理な金額を要求されるわね。数百億って何よ。未開の地を買って誰も入れない様にした方が安上がりよ。経済水域を買うのが高いのよね……なら公海は……土地が無いわ。巨大な船に住めで終わるわね。……なら海底は?海底に土地を捻出すれば良いのじゃ無い?……調べるにもそんな前例は流石に無いわね。あ、これなら行けるかも。レムリア大陸を私達が創る。それなら金が掛かるとしてもクラウドファンディングでもそれなりに集金額は見込めるわよね……。レムリア大陸を創るだけ創ってトンズラとも行かないから観光客を受け入れる為の設備投資も必要だとして、考え付くのは巨大なパイプラインを創るのと、海中エレベーターを創る事。技術的な意味ではパイプラインを創る方にしたいけど、国側から公海迄伸びたパイプラインを創るなんて面倒事の匂いしかしないから、海中エレベーターを創る方にせざるを得ないわね。何処の場所に創るかで変わるかも知れないけど、流石に通常の強化ガラスで耐えきれるはずは無いし、能力依存の仕組みにするのは仕方無いか。それにそうした方が乗っ取りをしようとする奴をその環境を維持する力を止めるだけで海に簡単に沈められるし。そうなっても私に付いては皆からのバフなり何なりが有るし問題無いとは思うけど。因みに同種のバフは一種類につき、最高の効果の物だけが反映されるわ。もしそうじゃないなら、とにかくバフの数を盛れば、ステータス的な意味での個人の絶対強者なんて基本的に存在しない。そいつを超えるだけのバフに成るように相応に数を集めれば良いだけだから、相手基準でステータスが変わるのでも無ければ要はバフの数さえ揃えてしまえば上回れるのだし。まあ、それが無理でも別方面のバフなら普通に重ね掛けが可能なのよね。要はその力を掛ける部分が違うからだけど。水系の人達にでも打診して、レムリア大陸に防壁を創るのは良いとして、海獣にそれを抜かれたらどうするか?……そうなるなら能力に頼っても頼ら無くても同じ事よ。そうなった際の対処のしやすさは変わるけど、海底都市で周りを完全に硬い金属で全部覆うのでは危険要素が増えただけの只の地下室に居るのと変わらないもの。それだとロマンも何もないわよね。能力依存にするにしてもそう言う能力持ち達と何とか交渉を成立させないと……。必要な予算案はどれくらいに成るのかしら?返礼品の事も有るから早めに知る必要が有るわ。協力してくれる能力持ち達の所有能力で削れる予算は削らないとね。……幾らロマンが有るからと大国の一年間の国家予算並みの額をクラウドファンディングで集められるとは流石に思えないし……。でも、最低限海底迄伸びている海中昇降機だけでも創る予算は欲しいわ。観光客に能力を使う所を何回も見せたくは無いし、一億有れば足りるのかしら?海底迄届くそれを創る奴なんて聞いた事も無いし、恐らくは特注に成るわよね?不安だわ……なら最低限クラウドファンディングをする時に開示する情報として、水中に安全域を創れる事は開示しないと駄目ね。金を出させる根拠が無いと一見詐欺みたいに成りかねないし。これらの事は能力者の協力をどれくらい得られるかで資金繰り的な意味で難易度が変わるわ。……まあ、何でもかんでも出来る奴にしてみれば、そんなの片手間にやれる事だよ、とか、主張してきそうだけど、金の力でやるにも、そもそも通常の建国に必要な数百億は国とか一部の大企業とか大富豪とか辺りにしか出せないレベルの額なのだし、削減出来る予算は出来るだけ削りたいのよ。簡単にやれると言うなら創ってよ。但し、建国したと主張するだけではなく、実際に無償で。としか言わないわ。予算が大量に必要なのを馬鹿にするなら、予算関係なしに創って見せなさいよ。……はあ。出来る奴は出来るでしょうね。自分では召喚システムを使わない縛りをしているせいで、必要な人材補給が他者依存なのは如何ともし難いけれど。……複製能力とか欲しいわ。それが有れば高価な素材を建築に大量に投入出来るもの。例えばCFRP……つまり、炭素繊維強化プラスチックが大量に使えるのに。魔法的に未強化で、航空機に車に耐震補強材等の建築材にも成る……但し生産のコストが高過ぎるのよね。何かいい手は無いものかしら。単純に物質生成は消える可能性が有るのじゃねぇ…………あ、別にエレベーターみたいに専用の空間を先に準備している必要は無くて、極論最低限の支柱と、それを使い上下する中に入れる機械が有れば良い。うん。それなら大幅に掛かる資金を削減出来るわ。さて、考えるのは此処まで。動くとしましょう。
「倍手招来。聞いている?」
「何でしょうか」
「方針を決めたから聞いてほしいのだけど」
「つまり私達があの獣共に嫌悪感を持つのは仕方ないから、別の場所を創り、其処に住もうと」
「要約するとそうなるわ。もっとも、先立つものは必要だから完全には無理だけど」
「それでも今よりはマシです。では皆に伝えますね」
そして彼女は空間に幾つかの力を放つ。
「聞こえますね?倍手です。」
放つ力から様々な声が返って来る。彼女の力は要約すれば力を配置した場所に干渉したら他の場所に配置している力の場所に再現。要はコピペする能力。但し再現するサイズと威力は自由に設定出来る。なら何故倍手か?理由は簡単。作り主の目的が力を二つ設置した上で片方に攻撃を加えれば攻撃が倍に成ると考えたから。恐らくは遠隔操作のレイプ狙いの能力だったのでは無いかしら?後、ブラフよ。そう言う能力持ちでも無ければ名前が力と直結している奴しか居ないなんてルールは無いし、強さの描写が一切無い奴に勝てるとか言うのは後出しでどんな強能力を出されても良い奴だけがするべき。
さて、それはさておき、皆に計画を話していく。この話の肝は国を創る事で、入国審査を公式にやれる事。やばそうな奴は入国拒否をするのを国の単位で行える。それは大きな利点に成る。……まあ、本来なら其処迄するの?レベルだけど、前提条件的にそうしないと問題が起きる気しかしないのよね。
「獣共の資金を頼るなんてまっぴら御免よ」
……そうなるわよね。でも。
「じゃあ何処から資金を調達するかの対案が欲しいわね」
「……私達にだって能力持ちなのだからそれでどうにか……」
「言い難い事では有るけど、ここは言うべきだから言うわ。泡姫や風俗嬢になりたいなら止めないわよ?」
「……他の事も出来る奴だって居るじゃ無い」
「それでも基本的にはそう言う意図が前提に有る能力ばかりなのよ?それをするための手法が拡大解釈可能な物なら、他の事も出来るだろうけど」
「……普通に強い人もそれなりに居るじゃ無い」
「強い女を隷属させ、好き勝手してやりたいと言うつもりで作ったら、その隷属設定部分のみを棄却されたパターンの人も居るもの。でも、それは全員に当てはまる訳では無いわ」
「……気絶耐性はなんだと言うの」
「……それを説明しろと言うのかしら。……そう言う行為で快感の大きさに脳が耐えきれなく成り、気絶するのを防ぐためよ。用途的に他の人にも付与出来る様にしないとそいつを作った側だけが気絶する形になるから、他の奴にもそれを付与出来る様にされた。それだけの話よ」
「……じゃあ」
「待ちなさい。能力の質問は数的に切りが無いからそれ以外にしなさいよ?」
「なら、これを大半は女ばかりの環境に成りそうなのは解りますが男性が皆無な訳では無いのは解りますよね?彼らがそう言う行為に走らない保証は無いのでは?」
「……つまりその男共を私達から隔離しろと言う事かしら?……それは、男性用のエリアを別に創れと言う事で良いのよね?資金が足りないから削減しようと言う話の時に?」
「クラウドファンディングに一定以上払ってくれた人に定住権を与えるチャンスを与えれば良いのよ」
「……それは一見良いように見えるけど、ある程度の人数は受け入れる必要が有るわよね?大金を払いなのに受け入れ無かったなんて、詐欺扱いにされてもおかしく無いわよ?精々、規定期間ムー大陸の観光が出来る程度が限界じゃ無いかしら?」
「金を出してくれた人達から更に金を搾り取るの?」
「レムリア大陸を観光地として扱うなら、それは良い実証実験に成るわ」
「……」
「……さて、平行して一部の例外の人の金稼ぎも考えないと駄目よね。それに、そうね……予定地の整地もしないと、海底都市を作るのに浅い所で創ってもしょうがないし、だからと深い所に創るなら作業環境を創れないと不味いし……ええと、例えば、エアラッチ=ハンズ、能力は一定空間上の他の物を掴んだ事にして動きと重さに関係なく動かせる能力だったかしら?……なんか遠隔逆レイプ能力な気がするけど、ムー大陸の予定地点が決まったら、邪魔な岩を取り除く作業をやって欲しいのよ」
「解りました。予定地点は何処に成るでしょうか?」
「それは追々ね。ええと、次は……」
そして皆に仕事を割り振り始める事にしたわ。二人とも手に関する名前なのは偶然……とも言えないか。本来ならそう言う行為目的の名前なのだし。海底の整地が前提に有るのだし、それに使える能力の目星くらい付けていて当然だけれど、……問題は空気よね。地上なら大量に有るけど海底には無理よね。空気を創れる奴に、空気を根本的に清浄する能力持ちも欲しい。流石に酸素ボンベ等で持ち込んだ空気だけでやるには暫くしたら空気が汚く成りそうだし。しかし、動きと重さに関係なく掴めて、掴んだ物を動かす能力……ね。掴める物の数と掴み方の方法を増やして強化出来れば化ける能力なのは予想付くのだけど。空間上への遠隔攻撃を掴んだ扱いにして停めるとか、逆方向に同時に同じ奴を持つ形で展開して、引き千切るとか。遠隔物理殺しに成り得るから速くもっと成長して欲しいわね。裏切りとかされてもあれだし、酸素が星に産まれた理由は……ええと、シアノバクテリアで、ストロマトライトだったわね。一応細菌類扱いらしいわね。元は藻の分類らしいけど、これをある程度揃えたいわ。そうすれば海中から空気を抜き出す形でもそれなりに空気を創れるはず。能力で済ませる事が出来る場所はそれで済ますけど、……一部の場所は金属で全部囲う場所も必要よね。主に能力が無効化された際の脱出手段として。クラウドファンディングで集める奴はむしろそう言うセーフティーを造るのがメインに成りそう。必要な能力持ちが暗殺されて崩壊なんてされちゃあ困りますから。
さて、先ずは何処かの深いプールでも借りて、水中に安全域を創れる証拠を提示する為の物を創るとして、それとも海の方でやる方が良いかしら?でも実地で見せやすいのはプールの方よね。……設備が整えて有る場所を二時間貸し切りするとして、プールの貸し切りをするには幾らくらい……。……はぁ。クラウドファンディングで回収出来るのだから、多少高くても払うべき。とは思うけど、ある程度の船を借りるか、能力で沖に出て、海中でやる方が安上がりね。でも、実地で直接的に見せるには向いて無いから、……証拠を見せろと言う奴はそれなりに出るわよね?見せたとしてそれの持続性も要求される。……何回も証明の為に同じ事をするのもだし、プールの貸し切りを何回もするより、最終的には買う方が安上りかしら?でも、借りる回数が十回二十回程度なら借りる方が安上り……うーん。説明会を開く?あ、いい案が有るわね。要はプールを借りなくとも大穴を掘って水を入れて其処でやれば良いだけじゃない。コンクリート舗装されてないある程度広い土地が有れば実現可能ね。後はそこを借りるお金が有れば良い。大穴を掘るのは能力でやるとして、大量に水を用意するのと、空間の中に他の物を入れない能力、物質生成は駄目として……いや、駄目じゃ無いわね。どうせ金属で囲う場所も造るのだし、能力が消えた場合の対策もするのだから。……よしよし。事前実験は現実的な範疇に出来そうね。
そこに倍手から連絡が来る
「ケール様、こちらでも話し合いをしたのですが、問題点として深海環境で光を大量に展開するのはチョウチンアンコウ的に誘蛾灯の様な状況に成るのでは無いでしょうか?」
「通常の魚なら気にする必要は無いけど、問題は一部の召喚された奴のはぐれ個体よね。定期的に駆逐しに行く事にするのはどうかしら?」
「では海獣と不規則的に事を構える気ですか?」
「そんなに大物が頻繫に発生して堪るものですか。そんなに頻繫には成りませんよ……誰かに意図的に用意されない限りは」
「そうされたら不味いではないですか」
「地上に創ったとしても外敵が獣をせかして来る可能性は有るわよね?敵が居るなら場所を変えても敵の手法が変わるだけよ」
「緊急時の海上への脱出はどうやるつもりですか?」
「……潜水艦に頼るのは無理ね。【個人】用ですら物によっては買うのに一千万以上掛かるわ」
「それじゃあ何隻も揃えるのは無理じゃ無いですか」
「そもそもそれは能力が機能してない状況が前提に有るのだから、本来は水に浮かぶ浮力を金属で囲う場所に用意しておいて、それを能力で押さえつけて居れば良い。能力が消えたら後は勝手に浮上するわ」
「……それを潰されたらどうするのですか?」
「当然全力でセーフティーを張るし、それでもそれが出来るなら実力で負けている相手でしょうから、問題無いわ。そうなるなら要は死に方が変わるだけよ」-
「開示するような物では無いかと思いますが」
「当然の疑問だけど、セーフティーが万全です。なんて言うのに企業秘密ですなんて言えない部分よ。救命ボートの代わりに何かを載せます。でも、それは開示しません。そうされてその船に乗りたい?」
「……なら他にも方法を用意してください。開示しないで済むように」
「……考えとくわ」
「てっきり考えているかと思って居たのですが」
「……それが無効化環境の話なのだから、異能は考慮せず。潜水艦は明らかに大量に買える予算は無い。脱出経路として人が通れる他国に繋がるパイプラインを創るのは不法入国のルートに成るから有事ですら公には確実に出来ない。公にしたら建国したと言いつつ、結局は繋げる国側に上前を取られる。つまり実質上の属国に成るわ」
「……入国審査の検問所をその入り口に設置すれば良いのでは?」
「不法入国や亡命のルートに成る場所をそんなに簡単に許諾するかしら?」
「入場料をその国が徴収出来る様にすればどうでしょうか」
「……うーん。一国に拘るからダメなのかしら。何か国かに繋げて、入場料を何処も同じにさせるとか。法外に高くする所が出たら他が……駄目ね。入国料を皆に激高にされたらそのルートが死ぬわ。パイプラインを創る手間を考えるとね」
「大陸を海上に創るとかはどうでしょう?」
「出来るか出来ないかは別として、それが有りなら、埋立地を創れば領海を増やせる事に成るわよね?それが有りなら既存の国がやらない訳ないわよ。億単位でお金が浮く訳だし。でも海底なら埋立地では無いから問題無いけど」
「……さっきの物と同じ理屈で他の案を出せば良いのでは?」
「ああ、つまり、能力の効果が消える事をトリガーに海上への道が完成(復元)する仕掛けを用意すれば良いわね。うん。それなら何とかなるわ。そちらは伏せて置きましょうか」
「最後に、仮に国土の陸地は海上しか認めないとされたらどうしますか?それでも構わないとするなら海上に埋立地を創る方が安全ですが」
「……海割りでも目指してみる?要は一部の土地が海中では無ければ良いのでしょう?」
「それは屁理屈では無いでしょうか?」
「空中に有る大陸でも無い限り、要は海中も含めれば海の中から一部が出ている山の上の国よ。最悪その部分だけを国判定にさせるわ。岩の一部が海上に出ているだけで島判定にして領海得ているパターンも実際に存在するからね」
「流石にネタですよね?」
「ガチよ。但し、岩のみが海上なだけで、それより下にはそれなりの物は有るけどね」
「……ええと、その件に付いては今調べると護岸工事で二百八十五億円程掛かったと調べれば出ましたし、岩の件は元からサンゴ礁で出来た島が潮の満ち引きの関係上での満潮の場合で、引き潮の時には普通に島が出るそうですよ」
「……工事費用が掛かる工程は能力で補うとして、なら海の浅い所に巨大なサンゴ礁を創り、足場として成立するくらいに急速に成長させるとかどう?」
「それはどうなるか解りませんよ。それを只の盛り土とどう区別化するか、です」
「……どうせ住むメインの場所は海底だとは言え、既存の国の定義が海底の国に対応しているはずも無いのよね。でもそうだからこそ数百億の金を使わずにやれそうな話が成立出来るのだけど、国判定の体裁上海上に土地は必要よね……海を割る事を常時やる場所を創るか、海の浅い場所を確保して、そこにサンゴ礁で土地を創り、そこを国とした上で、海底に土地を確保し、展開するか。能力者の負担的な意味では海を割るのは止めた方が良いのだけど……」
「一先ず両方やるべきかと思います」
「そうよね。あくまでも国としたければ人造の場所を土地扱いにするのが問題と言う話なのだから、海底上に何を建てようが問題無いのよ。あくまでも海が頭上に有る状況で無ければ、だけど」
「そもそもクラウドファンディングでお金は集まりますかね?」
「……あなた達の前提条件的に妨害行為される可能性は高いわ。そもそもの意訳での性奴隷を創ろうと言う連中が敵なのは前提条件なのだし、それが高官と連携でもされていたら銀行に借りるのでは融資を止められるかも知れないし、他国の国からの借りたお金で建国なんて属国でしか無いわ」
「制限を解除して、召喚をすれば良いのでは?必要な能力の奴をそれで用意すれば良い」
「前も言ったけど、召喚システムには何か裏が有りそうで、自分ではそれを使いたくないのよ」
「もう、そうは言ってはられないのでは?」
「クラウドファンディングで色々な国に宣伝も出来て人材募集も同時にやれる。それでいい人材が来てくれるのを願う……いや、大物との面識が有ったわね。水神のアーバーン=ウォーターとか。水精霊の件での共同体名で、彼方からコンタクトが有ったし、彼方からコンタクトがまた有るかも知れないし、此方から接触しても良いはず」
そして話を通した結果。
「今回の話とその目的に付いては解ったわ……けど、そうね。協力をする事による相応のメリットを提示されないと協力をするには無理がある内容よ。何せ国土の広さに比例してどかす水量は増える訳で、其処迄広い国土を創る場合、負担も相応に成るわよね?」
「そこの居住権を進呈しようかと思うのですが……」
「……本来なら一千億を超える予算を騙しくらまして能力で代用してしまい創る土地の居住権。確かにその居住権は、此方がそれを自分で創るつもりなら相応の価値が有るかもしれないわね。でも、町のディティールを気にしないなら水の力だけでも此方でも似た事は可能な訳で」
「……そこを何とか出来ないでしょうか?」
「そちらに協力するのは相応の面倒事が予見されるわよね?ただでさえ此方はやることが有るの。更に面倒事を増やすなんて……」
「……其方に私達も協力しますので」
「まあ、それが落としどころよね。でも此方のそれは聞いたら戻れない類いの検案だけど、それでもそうする?」
「……少し考えさせてください」
「ああ、そうそう。念のために、予定地はプレートの境目とハリケーンや台風の発生の通過範囲や海底火山や大陸棚付近は避けるべき。洪水で土砂なり瓦礫なり何なりと、が流れ込むのが嫌ならね」
「……う……どちらにせよ私達に選択肢は有りませんね」
「そうね。此方は簡易的に直ぐにやれるもの。貴方達より弱い奴らを大量に味方に付けるか、貴方達がそれを出来る程に強く成るか、強い奴を召喚するかのどれかをやればまだ道は有ったはず。もっとも狙い的に強く成る時間は競合相手に先んじられるリスクが増える訳だからそんなに大きな余裕は無かっただろうし、召喚で良いのを召喚出来るならそもそもこう言う話に成るはずも無いし、貴方達より弱い奴らを大量に味方に付けるのも居住権を報酬にするなら限界が有るし、まあ、こうなるのは仕方ないかも知れないけど」
「……なら」
私は彼女に向かい、雷を放つ。只の水の塊だと言うのなら、これで。
「はいはい。そう来たのね。口封じね。その手段の問題点は二つ。一つ目。そもそも前提条件的に貴女達には出来ない事をやれる相手、つまり、特定項目で大幅に格上な相手に特に準備無しでそれで勝てるなら苦労しない事。二つ目。そもそも私達は貴女側の解釈で言えば共同体で、其方にもう伝わっている場合がある事。そしたら私を仮に殺せたとしても、もう全面戦争よね?」
「……ならどうしろと言うのですか」
「払う対価総量的には格上と協力した方が安上りなのは確かね。でも、場合によっては裏切る相手と手を結ぶのは普通なら難しいわよね?」
「だからそれでどうしろと言うのですか」
「貴女達は催眠術対策なんて出来ているかしら?」
「な……」
「つまりは裏切らない確約として、此方の催眠術を受けろと言う事よ」
「……他の手段をやりませんか?」
「つまり貴女達は催眠術対策をまともにやれていませんね?催眠術対策が完璧なら、要は効かない催眠術を受けるだけで話が済んでいるのだから、これは本来なら美味しい話なはず」
「……」
「そもそも代替案も無いでしょう?私を説得して見せなさい。で無ければ貴女達の海底都市計画は全力で潰しますからね」
「防げないとでも?」
「他の協力者の事が話に出なかったもの。対抗馬なんて居ないでしょう?」
「……」
「はぁ……駄目ね。これじゃあ商売相手としても無理よね。そもそも私は水の神な訳で、海底都市=水の中の都市。つまり私に敵意を持たれるのは?……なのにまともな対抗策も出せないなんて……」
「……対策をしろと言うのですか?」
「これくらいは答えてくれなきゃそもそもアレだもの。水から遠ざかる系の策は貴女達の計画には則さないでしょうし。何せそうしたら海底都市と言うコンセプト自体が潰れるもの」
「……結界を張れば良いのでは?」
「只の地下室と同じにしても海底都市と言う売り込みは成立するかしら?」
「……驕るのはたいがいにしてくれませんか?」
「散々レクチャーされている立場でよくもまあそう言えるわね。これらは只の事実でしか無いわよ。そもそもやるつもりなら今これを言う必要なんてないわよね?」
「だとしても、言い方と言う物があるのでは?」
「あのねぇ、此方は口封じされそうに成ったのをスルーしてあげて商談続行しているのよ?商談が潰れても良いならもう帰るけど、良いのね?」
「……なぜ、なら共同体を創ったのですか?力が足りないからでは無いのですか?」
「つまり、私の実力が過大広告だと言いたい訳ですか?そう思うのは勝手ですが、……そうですね。それは相手も違う手段で神格を用意してくるかもと言う状況でしたし、実際に下級神格なら戦う事には成りました。……詳細はともかくとして、前回の交渉時に軽く説明はしましたし、事前に流石に事件に付いてはニュースくらいには成りそうな物ですが?」
「……災害のニュースが殆どでしたよ。無知ですみませんね」
「……はぁ。良く今迄上手くやれましたね……ならこう言いましょうか。力の詳細の説明を受けたいなら不可逆的な方法で私達に協力すると示しなさい。契約書を此方が用意するから、……駄目ね。“貴女”はそれで縛れても、“貴女達”は一枚契約書を書くだけでは縛れないのだし、全員に署名をさせる契約書を書きなさい。そうしなければ貴女達のレムリア大陸建造計画は事実上の頓挫とさせます」
「……説明をしたくないのですか?」
「場合によっては裏切りますとして来ている相手にそうしない確約も取れずに喋るものですか」
「……ごもっとも」