始まりだぜぇ!!
「国家転覆罪ならびに、ミルナ男爵令嬢に行った数々の悪質な虐めをした事により、マルナ・ミスタ・フォルダント公爵令嬢を処刑する!!」
「はっ?」
私は突然の死刑宣告に何言ってるだこのアホバカ王子?アホでバカでも学校が開く舞踏会でバカげた事を言うなんて生きてる価値あるんですか?っと思いを込めて睨み返す。
「ひぃ!……っ!ふっ、その睨みが貴様の罪を認めてるようなものだぞ!」
「はぁ……」
最近会うことは無くなっていたから忘れていたわ。このアホバカンス王子は自分の都合の良いようにしか事実を捉えられ無かったんだ。はぁ~~
「ふ、ふふ……ふははは!!何も言い返せ無いようだな?それも仕方ない!貴様はそれだけの罪を犯したんだからな!!」
何で生きてんの王子はさらに可笑しな事を言い始めた。私が言い返せない?そんなバカな事を言うアホには私がキッチリとお仕置きしないとね。
「王子様、私は罪など犯してません」
コイツを王子と呼ぶだけで体に虫酸が走る。まったく、困ったものだわ。さっさとお屋敷に帰って花畑を見て癒されたいわ~~
「何を言ってる?!ミルナが証言してるんだぞ?なあ?!」
「えぇ、マルナ様は私を殺そうと暗殺者を仕向けたりしたんですぅ~~!!」
「怖かったんだな、よしよし、私が守ってみせるから安心して欲しい」
「ザエル様!!」
「ミルナ!!」
いきなり二人の空間を作らないで欲しいわ。さらにキスまでするなんて、発情期すぎね。まったく、下らない茶番に付き合わされている私と周りの気持ちを考えなさいよ発情期王子様?それとも、素晴らしい光景だとでも思ってるのかしら?コイツなら有り得るか。あぁ~~何で私はこんなものを見せられてるんだろう?もちろんくそったれ王子とアホ女が原因なんだけどね?コイツらのバカっぷりにイライラしてくる。もういっその事、小屋にでも二人を入れれば万事解決なのに……うん?良いわね、その案。さっそくやりましょう。
「イチャイチャするのでしたら、別の場所でやってくださいまし。お、う、じ、さ、ま?」
「ひっ……な、何を言ってるのだ!!私はイチャイチャなどしていない!!」
「そうですよ!ただ愛の確認をしあっていただけじゃないですか!!」
それがイチャイチャしてるって言うのよ!私はそう言いたくなるのをぐっと堪えて、コイツらにそんな気遣いはしたくないが、公爵令嬢らしく笑みを貼り付けて、公爵令嬢らしく言いましょう。
「ウザいからさっさと違う場所行けって言ってんだよ!」
「「ひぃいい!!」」
おっと思わず口から令嬢らしく無い言葉が出てしまった。ああ、バカアホバカンス王子と花畑女が青白くなっているじゃない。これはイケないわ。公爵令嬢らしく振る舞ってどうにか対処しないと。
「すみません、王子様。思わず心の声が出てしまいましたわ」
「こ、この、、この私を侮辱したな!!!み、皆の者!マルナ公爵令嬢を取り押さえろ!!!これは王太子の命令である!!」
あらあら。怒りに我を忘れたアホ面王子がついに権力を使って私を捕らえるつもりみたい。そんなバカにならないように少しはちょ……教育をしたのだけど、やっぱり無駄だったわ。あんなに努力したのに、私の時間を返して欲しいわ。
「はぁ……」
「何をボケッとしてるのだ!!早くマルナ令嬢を取り押さえろ!!」
「は、はい!!」
大人数で襲い掛かられたら、か弱い私では一溜りもありませんわね~~でも、無策で私がバカ面王子が参加する舞踏会に来る筈が無いでしょう?
「きゃあああああ!!権力を使ってか弱い乙女である私を襲うように命令するカス王子が居るわーーーー!!!」
バァン!!
「か弱い乙女を泣かすとは何事だ!!!」
合図通りに来たわね。ただ棒読みなのが少し気になるけど、これで王子は……ふふふ。胸のすく思いとはこの事なのね。
「なっ、なんだお前は!!」
ストレス王子がまるで物語のやられ役みたいな台詞を言ってるわ。なんとも可笑し……そうでも無いわね。爆発しろ王子は元からそんなキャラしてたもの。
「ふっ。俺は悪役を裁きに来たただのゴロツキだ!!」
色々間違えていますよ?
「な、なんだと!?ただのゴロツキがどうやってこの神聖な舞踏会に侵入できた!!」
「くっ!ここは厳重な警備で守られていたんじゃないのか?!」
「私があの悪者を退治して見せますわ!!」
なんで周りの皆さんは負けイベントみたいな事を言うのかしら?アホなの?バカなの?……でも、今は演技しないといけないね。
「助けて正義のヒーロー!ラウットマーーン!!!」
「ッ!?そ、そうだった、俺はゴロツキでは無く!正義の鉄槌を下すラウットマンだ!!」
言わないけど。正義の鉄槌やら正義のヒーローやら、ラウットマン……ダサいのよ。言う側の気持ちを考えて欲しいわ……はぁ、当の本人が自信満々に言ってるのだから、 文句を言った所で無駄でしょうね……
「せ、正義のゴロツキだと?!」
「な、なんだ……!心が引かれる言葉は!!」
「……止めましたわ。頭の可笑しい人を倒す余裕は私にありませんわ」
「あ、頭の可笑しい……」「格好いい筈だ……」「うぅ!!過去の恐ろしい記憶が!!」「まだ、だ……!まだ終わった訳じゃない!!」
何故、変な名前を堂々と言うマサギと彼等は何に共感しあってるの?円陣まで組初めて何と戦うつもり?何故そこにヘタレ王子も混ざってるの?バカ女は良いの?とっても冷めた目でバカップル王子を見詰めてるわよ?
「皆!!俺達の正義をバカにした……名前なんて言うの?」
「ランリットですわ」
「ありがとう。ランリット令嬢を倒すぞ!!!」
「「「「「「オオォオオオオーーー!!!!」」」」」」
か弱い女性相手に多数で襲うなんて、どちらが悪党か問い質したいけど、相手が悪かったわね。
「ふふふふ!!私に襲いかかる度胸は素晴らしい!!ああ!こんなに愉しそうな闘いはいつぶりかしら?!!アッハッハッハッハッハ!!」
ドゴォオオオオオ!!!
「「「「「「うぎゃあアアアアーー!!!」」」」」」
綺麗に吹っ飛んで行くわね~~~あらあら、発情王子は壁に頭から刺さって可哀相……マサギは首が曲がってるきっと大丈夫でしょう、体が頑丈ですもの。
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ここで解説を入れよう。彼等に何があり、ランリットが何をしたのか。
ランリットは魔神殺しの二つ名を持っている。その異名は魔神を鏖殺したからこそ付けられた二つ名である。
鏖殺と書かれていた通り、魔神に手も足も出させずに一方的に殴り殺したのだ。
そんなランリットが攻撃なぞしたら人溜まりも無いのは明白!!
さて、その情報を踏まえた上で彼等に何があったのか話そう。
まず、拳を放てる姿勢をとったランリットに最初に突撃したのが、正義のヒーロー!ラウットマンことマサギ!!そんな彼の後ろには王子と貴族の子息達!普通であれば多勢に無勢の状況!!しかし、そこは魔神殺しの二つ名を持つランリット!!その人数を見て笑みを浮かべてるぅうう~~!!!おっと、その笑みを見てマサギの頬が引きつる!!しかし!その足は止まらない!!そのまま一直線にランリットの元まで向かって行くぅ~~~~!!!ランリットはそれを見てさらに笑みを深めるとマサギに向けて拳を放った!!マサギはなんとか避けようとするがスビードが乗った足は止まる事を知らず!!拳に向けてそのまま走り走り走り走り!!!……画面に拳を受けた。マサギの顔面は形容するのも憚れる程の有り様になり、吹き飛ばされて行く。もちろん、マサギの後に着いて来た者達はマサギと一緒に飛ばされて行くが、ランリットの力が強すぎて誰も彼もが深い傷を負っていた……
これが全容だ。この教訓から学べるのは、
『ランリットにケンカは売るな』
著作 未来のマサギ
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マルナ・ミスタ・フォルダント
侮辱する言葉のレパートリーの少なさいに悩んでいる。
フォルダントはフォルダーから来てる。
この話が一番面白い