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第8話

ソシャゲのランク戦追い込み感。

「楽しかったよメニー」


「うん、わたしも」


 そろそろいい時間、ということでトークルームから出てきた。

 さて、ここからは切り替えて闘技場だ。


 あのワンパターンで中級なら行けるだろう。

 そして、可能なら上級の雰囲気も見ておきたい。



 今、上級一位のメニーは152勝。これがダントツ一位で、かつ一週間で参加できる回数が35回ということを考えれば、いかに勝つのが大変かわかるだろう。



 ちなみに五位で83勝だ。誰かに勝っても別の誰かにすぐに負け、その誰かもまた更に負ける。


 相性や運で勝負が決まることもあり、大型連勝もなかなか厳しそうだ。



 上級がそんな状況で、その上の最上級ではそのランカーの半数に連勝しなくてはフィールドマスターに挑戦できない。


 更に一週間で10勝しないと上級に落ちる。これがなかなか厳しく、現在の最上級ランカーは18人。


 ランキングの勝敗数を見ると、10勝に届かないどころか5勝以下が6人もいる。

 まだ今日一日で届く可能性はあるが、今週ここまで勝ててないのだ。


 5人が昇格するので来週の最上級の人数は然程変わらないだろう。


 つまり、来週は9連勝すればフィールドマスターのスライム君に挑戦できるということだ。



 なにが言いたいのかというと、今日の参加一度目で上級に上がれれば、残りの4回で20連勝とちょっとを繰り返して今週中に最上級への昇格を決められないかとちょっと考えていたのだ。


 さすがに舐めすぎだという自覚はある。

 だけど、メニーとの訓練で行けそうだとも感じた。



 その根拠。


 確かに上級で勝つのは難しい。

 ただし、そこには通常時なら、という注釈が付く。


 メニーにも確認したけど、昇格圏ギリギリの5位と6位の差は8あり、どちらも昨日から参加していないらしい。

 つまり、6位の方がもう諦めたということだ。


 そして、それに合わせるようにそれより上の4人も変動していない。メニーも俺に付き合っているくらいだ。


 ということは現状上位陣がおらず、本気で昇格を狙っているわけでもなく惰性でやってるプレイヤーだらけ。


 ――だと思うんだけど、実際にそうかどうかを見ておきたい。



 おそらく5位のプレイヤーも迫ってくれば動くんだろうけど、終了間際に一気に抜けば気付かれない可能性は高い。

 上級で20連勝とか想定してないだろうからな。


 ちなみにメニーにこの話をしたら、


「ほんとエニーはとんでもないことしでかすんだね」


 と笑っていた。


 まぁ、確かに誰もしないようなことをするのは好きだ。


 まずは中級20連勝。そこからだ。

 20連戦というのがどれだけ疲れるか、それも把握しておかないとな。

 これから今日100戦以上やろうってんだから。



「じゃ、またわたしは見てるからね。頑張って!」


「ああ、ありがとう! 行ってくる。」


 メニーの声援が嬉しい。

 初級に向かったときのように「つまらないから」なんて言わない。


 メニーに今日の俺を見ていて欲しい。



 ピー!《戦闘開始!》


 初の中級戦開始の合図が鳴る。


 やることは一つ。

 初級をクリアした『居合い抜き』からの斬り返し。


 やはり、スキルで攻め込まないのが常識となっている今のプレイヤーは対応できていない。

 初級ではそうするやつもいるかもしれないが、中級以上となればみんな戦術というもの学んで使い出す。


 そういう相手には俺の考えがマッチした。


 そしてこれは上級でも対応されるまで続けるつもりだ。

 その見極めをメニーとの訓練でもやってきた。




「おつかれー! ほんとにあっさりだったね」


「思ったより疲れなかったな。時間も1時間くらいか?」


「そだね。てゆーか、途中手抜きしてたでしょ?」


「最適化と言ってくれ」


 繰り返していくことで、楽な振り方、峰を向けるコツみたいなのを掴んでいた。


「あーなるほど。上手く力抜けたってことね」


「そういうこと」


「このあとどうしよっか?」


「またトークルームでちょっと休憩して上級やるよ。今なら一気に行けそうだ」


「えへへ。エニーも休憩モード気に入ってくれた?」


「メニーと一緒だからな」


「!! もー! 急にそんなこと言わないでよー」


「ほら、行くぞ。すぐに招待送るから」



「あー! 行っちゃった。ズルイよ、もうっ」




 そして、メニー分をたっぷりと補給した俺は上級で35連戦を成し遂げるのだった。



《現在参加申請中のプレイヤーはいません。このまま待ちますか?(いいえ を選ぶと今回の参加は終了となります)》


「いいえ、っと」


 さすがに疲れた。

 ちょうどいいタイミングで連戦が途切れたので終了する。



「すごいよエニー! 上級でこんなに勝つなんて!」


「いや、相手が予想通り本気じゃなかったのと、戦術が上手くハマったおかげだ」


 大興奮のメニーに対してだいぶ冷静な俺。

 通常時の上級ならここまで上手くいかなかっただろうしな。


 だけど、予想は当たっていた。

 これなら今日中の最上級到達も可能だろう。



「それじゃあ、また寝て次はお昼だね」


「そうだな、11時くらいでいいか?」


「うん! もし起きて来なかったら・・・待っててくれる?」


「ああ。俺もメニーに見てもらいたい。というか、ログアウトしたらVRメールでケータイの連絡先送っておく。そっちも送ってくれたら起きた時に連絡するよ」


「いいの!?」


「もちろん。だって――いや、こっから先はスライム君倒してからにしよう」


「わかった! じゃあ、メール待ってるね! すぐこっちも送るから!」


「ああ、またあとでな」


 そう約束してログアウトした。


 メニーにVRメールを送ると、すぐにスマホにメニーの連絡先が届いた。


 お互いまだエニー、メニーっていう名前しか知らないけど、スライム君に勝てたら全部伝えようと思う。


 俺もこの感情を誤魔化すつもりはなくなっていた。


 メニーに返事をして、俺はまた眠りに就き、目覚めた時に初めてメニーとゲームを介さず会話をした。




「さて、やるか!」


「やりすぎ注意だよ。また35連勝とかやっちゃうと五位の人も動き出しちゃうから」


「ああ、20〜30ってとこだな」


「六位から下もちょっと離れてるから、20くらいがいいよ」


「わかった」


 メニーも俺が連勝できないとは思っていないようだ。

 夜とはまた相手の動きも違うかもしれないけど、またワンパターンから始めよう。


 上手くいかなくても、前回多めに勝てたおかげで余裕ができてるしな。


「じゃ、行ってくる!」


「がんばー!」


 メニーの声援を受けてまた上級のリングに入るのだった。


お読みいただきありがとうございます。


スライム氏の弟子は男女一人ずつ、そしてメニーが女だとは本人は言っていない。

あとはわかるな?



なんてことはありませんのでご安心?を。


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