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第5話

ヒロインのターン。

「お待たせー」


 メニューウィンドウを開いて設定を弄っていたらメニーがやってきた。

 装備も変わっている。

 胸当てとホットパンツにマフラーを巻いたくノ一スタイルだ。いやくのいちスタイルだな。

 リアルな生脚が眩しい。


「すまん、早速だけど、助けてくれ」


「ん?なに?」


「さっきの通話設定どこでやるんだ?」


 弄ることもなかった設定でどこかわからなかった。


「あーごめんごめん。迷宮しかやってなかったんだっけ?」


「そうそう。今回も一年ぶりだしな」


「そんなにやってなかったんだ。えっとね、ランキングはわかる?」


「ああ、これか?」


 スライム君の名前を確認した闘技場上位者一覧を出す。


「それそれ!この右端のコレ!」


 メニーは俺の横にやってきてメニューの中を指差す。

 どうやら開く項目が間違ってたらしい。


 ってか、近い!

 割とリアルなグラフィックだからさすがに照れる。


 メニーも俺が焦っているのに気付く。


「あっ、ごめん。こういうの苦手な人?」


「いや、慣れてないだけ」


「よーし、じゃあわたしで慣れてもらおう!」


「それが最初の教えか?あとで通報したりしないよな?」


「ぷふふっ、しないしない。あっ、勘違いしないでね、誰にでもこうするわけじゃないから!」


「もうちょっとツンデレっぽく」


「か、勘違いしないでよね!って、なにさせてんの!あははっ!」


「ふふっ」




「そーゆーとこ」


「えっ?」


「エニーは面白いなぁって。だからだよ」


「メニーがいい反応するからな」


「それって褒めてる?」


「褒めてる褒めてる」


「ふぅん?まぁいいけど。設定はできた?」


「おっけー!」


「もー真似しないでよー!ぷぷっ」


「怒るか笑うかどっちかにしてくれ」


「だって、キモ――ぷぷっ」


「お前がさっきやってたんだぞ。キモいとはなんだ」


「わたしは可愛いからいいのー」


「確かにそうだけど自分で言うかー?」


「じょーだん。って、わたし可愛く見える?」


「むしろ美少女にしか見えないんだが」


「おおふ、それ本人に言う?」


「褒めてるんだからいいだろ?」


「えへへ、そっかぁ。嬉しい」



「おーい。そんなことより模擬戦するんだろ?」


「もー乙女心がわかってないんだから!」


「メニーは俺と恋愛でもしたいのか?」


「そういうわけじゃ・・・ない、と思う。そうだね、ごめん。模擬戦しよっか」


 そもそもここからメニーと恋愛に――なんて俺も期待してない。

 仲の良い相手が増えるのはゲームが楽しくなるから大歓迎だけどな。

 そろそろ話を切り上げないとずっと立ってプレイしてる俺は模擬戦もしんどくなる。

 かれこれ三時間以上やってるからな。


「悪いな。ずっと立ちっぱなしなんだ」


「あはは、そういうことね。わたしがインしたばっかりだから忘れてた」


 メニーも納得したようで表情も晴れた。


「それじゃあフレンドのとこから模擬戦、っと」


「きたきた。はい、っと」


 俺が対戦を了承すると、リングに飛ばされる。


 お互い武器を抜いて近付く。

 メニーは忍者刀の二刀流だ。

 これは双剣に分類される逆手持ちの武器種だ。

 素早い動きと攻撃が特徴だが、片方でも武器を落としたり武器破壊されるとスキルが出せなくなる欠点もある。


「まずは普通にやってみよう!」


「わかった。いくぞ!」


 まずは『一閃』。

 『居合い抜き』と同じ横薙ぎ技だけど、突進系じゃないというのと、両手持ちスキルで右薙ぎという点で異なる。

 今回は近くからの開始だからこっちを選択。左人差し指のボタンを押す。


「おっと」


 当然躱される。

 まぁ、その武器でそうそう受けたりしないよな。


 本命はその後だけどな!

 俺はVRグリップを落とさないように手を広げ、左手を離す。

 そこから――いや、隙がないな。


 ならば『回し斬り』だ。

 左中指のボタンでスキルを発動し、その姿勢からそのまま回転して斬りつける!


 そして『剣舞』に派生!

 今度は右中指だ。


「うわっ、すごっ」


 メニーは驚きながらも刀の乱舞をスルスルと躱していく。


「まいったな。全く隙ができないとは」


 『回し斬り』からの『剣舞』は訓練場での模擬戦でも割と勝率の高かったパターンだった。

 それを隙なく躱すあたりさすがはフィールドマスターの弟子だ。


「言っておくけど、わたしはまだ上級だからね」


「マジか」


 感心する俺に忠告してくるメニー。

 そして目標の高さを再確認する。


「じゃ、今度はこっちからいくよ。好きなように凌いでみて」


 なるほど、次は防御を見るってことか。

 攻めの欠点はもう見えた?あれだけで?


「ホラ、考えてる場合じゃないよ」


 メニーは遠慮することなく斬り込んでくる。


 とはいえ防御の方は迷宮と然程変わりない。


 あの時と違いがあるとすれば、この刀の耐久力は∞。

 いくら受けても損傷することがないから気にせず防御に使える。


 メニーはスキルも使って攻めてくるが、それをしっかりと見て受け、躱す。

 ただ、なんだろう、スキルの使い方に違和感がある。



「ふー!防御はカンペキ!これなら上級でもそうそう負けないよ。っていうか、その武器壊れないとかズルくない?!」


「ああ、なんか変だと思ったら武器破壊を狙ってたのか」


「そう。上はそれも狙ってくるからね。武器で受けないのは上じゃ常識――なんだけど」


「これか?ネタ武器だよ」


「はぁ!?」


「いや、変えれるもんなら変えるんだけどな」


「なにそれ。どういうこと?」


「なんか上のランク以外に変えられないんだと。今Sランクより上ってあるんだな」


「え?ないよ?」


「はぁ!?」


 さすがに予想外すぎた。

 要求するんだからあるものとばっかり・・・。


「それSランクなの?」


「ああ、今カムバックキャンペーンやってるだろ?それで貰ったんだ」


「ああ!そういえば一年以上だとSランクだったね。ぷぷっそれでネタ武器引くとか」


「笑うな!これでも一応愛着湧き始めてるんだから」


「まぁ、気に入ったんならアタリだよ」


「そういうこと。まさか外しようがないとは思わなかったけど」


「このゲーム、ネタには振り切ってるしねー」


「しかも自動装備だったしな。本来は求めて手に入れるんだろうからいいんだろうな」


「あー、ここの運営ならあり得そう。欲しがったんだから使え、ってね」


「ああ。まぁ、ネタ武器の例に漏れず耐久力は∞だし、そこそこ攻撃力もあるし、なによりネタが面白い」


「あ、そっか。ネタ武器ってことはなにかあるんだよね?」


「まず名前が「逆刃刀」だ」


「え?普通じゃん」


「そう思うだろ?ここ、よーく見てみ?」



「ぷっ!あはははは!こっ、こちら側のどこでも斬れますって!あはははははは!」


 ツボに入ってしまったメニーはしばらく笑い続けた。

 可愛いので落ち着くまで見守ることにした。


「ひー!こんなに笑ったの久々だよ。確かに面白いねコレ」


「しかもこっち側は攻撃力∞だ」


「マジ?」


「マジ」


「わかった。それでわたしを斬ってみて。それでまたトークルーム行こう」


「信じてないな?」


「ちょっと、ね。半信半疑」


「まぁ、模擬戦終わらせるには手っ取り早いか。じゃあ、覚悟はいいな?」


「うん」



 そして、模擬戦を終え、トークルームへ移動した。

お読みいただきありがとうございます。


この二人どうしてくれましょうか。


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