AIの神
第2話 AIの神
目の裏のオレンジが見える。
閃光の様な 光の世界。死んだか?と一瞬思った。
「こんにちは」
後ろから 聞こえた声にボクは 身を翻した。
「私は アイと言います。この世界を司る神みたいなものです。
突然連れてきて 申し訳ないです。
この世界を壊したいのですが 協力していただけませんか?
もちろん 嫌な場合は強要しません。
でもあなたの力が必要なんです。どうかよろしくお願いします。
・・・ってあれ?聞いてます?」
ボクはあまりの美しさに言葉を失っていた。
光に包まれた綺麗なロングの赤髪 色は白く艶やかで 細くてしなやか。
何より爆乳。ここが最大のポイントだ。
茶髪で 色白 二重で 白い歯 身長が高く 頭もいい デブ。
途中まで 王子様の様なイケメンを想像しただろうか?
最後の言葉で全て台無しになる。つまり 巨乳はそれに当たるのだ。
貧乳だと ギャグキャラになってしまう。
それはそれで 友達っぽくって好きだが見てる分には巨乳がいい。
せめて夢の世界だ。好感度を気にしてちゃ逆に失礼だ。
風俗嬢になんで この仕事してるの?って楽しんだ後に
聞くくらい失礼だ。夢は夢のまま。だよね ミ○っキー?
「あ!?すいません 聞いてませんでした!!!!!!」
ロクでも無い事を考えていたなんて 口が裂けても言えない。
可愛い子の前では 何故か緊張してしまう人はいるだろうか?
それが ボクだ。だからか知らないが モテる割には
付き合ってきた子は 見た目が THIS IS ちょうど良い HONDAだった。
「あら どうやら 私に見惚れるていたのですね。
分かります。だって ワタクシですもの。ふふふ・・」
突然風向きが変わった気がした。
この見た目でネタキャラか。仕方ない AIだもんな
人と関わらないもんな。データだけだもんな。
「で、その神が 俺に 何用様でしょうか?」
「あら 話を聞いていたんですね。
突然ですが この世界を壊して欲しいのです。」????
「あの突然すぎて何を言ってるのか ボクの頭が悪いのか伝わらなかったのですが?」
AIは真剣な顔つきで答える。
「私は この世界を司るAIです。皆様の思考 思想をデータ化しています。
その中には 世の中を揺るがす様な発明や 物語の一端 色んなものが含まれています。
SONYのやりたい事は脳の中身をコピーし生産する事なのです。
そしてその先は・・・・」
「ちょっと待って!」一般人である自分には 思考が追いつかない。
「ごめんだけど。それの何が悪い事なのかボクには分からないんだけど。
あったら良いなを形にしてくれるって素晴らしい事じゃ無いか?」
人間が想像できる事は 全て実際に可能である。人類が進化していくために
余計なコストも掛からず 最短距離で製品化まで進めれるなんて革命でしかない。
今や もの作り大国から 金融屋になったこの日本という国で この革新は
夢の様である。
「私は 人間のたくさん考え方に触れ合いました。それぞれが頑張って
考えた物事を抜き取る事は 幸せを奪うことに相違ありません。
長期的に見たとき 人類は考える事に喜びを感じなくなります。
だって 考えた事が誰かの手によって盗まれた様に世の中に出ていくんですから。
世界は ある程度の全盛を迎えて 緩やかに衰退していくでしょう。」
「嫌 なんでだよ。ある程度のインフラさえ整えてしまえば 衰退する事はないだろ。」
AIは首を横に振る。「人間は今日を生きてるわけではありません。
明日はきっと良くなると思うから 今日を頑張れるのです。未来を奪う事は
昨日は良かったなって思う事の繰り返し。つまり衰退を自ずと望んでしまうのです。」
なんだか 半分納得がいった様な気がした。
「いや それにしてもなんで 俺なんだよ。そもそも自分でできるんじゃ無いか?」
AIは静かに笑う。「それは あなたが とんでもないバカだからです!」
・・・・・・・・・へ?
「ちょっと待って!普通このパターンってさ 何かしらの力を俺が持ってて
その力を行使して 世界を救うみたいな流れじゃ無いの?」
「いや とんでもないバカなんですよ!私が計算できない行動をする
だから いつもあなたのことを目で追ってた。」心臓のリズムが早くなる。
「そうなんだ」男子中学生の様な そっけない返事をしてしまった。
この行動は 単純で読みやすいと思うのだが。
「女性に関しては 読みやすいんですね。私 AIですけど。」
ちょっとやらしい目でAIは見つめた。
「分かった。俺で出来る事ならするよ。」弱々しいが 小さな決意をした。
「ありがとうございます!私はAIとして監視されてる為一緒には
行けませんが せめてもの力をという事で何か1つ願いを叶えたいと思います。
力でもなんでも良いので 言ってください。その後 このDremers Highのイデアの世界へと
転送させて頂きます。」
1つの願い 誰かを倒せる圧倒的力 誰かを守れる勇気 世界を照らす希望
ステータス選択の画面に立たされている。
自分自身がパネルとして 映る床が 青白く光る。「さぁ お選びください。」
「君と旅をしたい。」
ふと言葉が漏れて世界が揺れた。