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ここは麺屋異世界  作者: 太田呂馬
3/5

絶叫系は何度経験しても慣れない

初ブックマーク嬉しい…!

家系ラーメンにハマってます。

固め濃いめ多めで。


「ーーーー上空フリーフォールスタートかよやってくれるな女神さんんんんん!!!」



伊吹の性格上、自分よりどうにもならない目上の存在に対しては逆らわないのだが、思わず叫んでしまったのも仕方ない。



転移先が上空だったのだから。



高さ?わからない。

命綱?勿論ない。

落下地点?これは……湖か?



ぐんぐん近づく水面。このまま衝突したらきっと痛みを感じる間も無く、逝ける。幸か不幸かそんな現実的で冷静な思考は、あの夢の国のジェットコースターでさえ苦手な伊吹ができるはずもない。


ふと転移する寸前、あの巨乳女神がカウンターに置いてあったラーメン情報誌を眺めてつぶやいていたのを思い出す。



「ほうほう、"ユキリ"の手法にはこんなものがあるんじゃな……」



横顔でよく見えなかったが、そういえばニンマリと笑っていた。



「天空落としってこういうことじゃねえだろ!!!!!」



伊吹、本日2度目の魂のシャウト。そして、着水による衝撃が伊吹を襲………………わない。両手両足が動く。痛み一つない。ぷかぷかと水面に浮かんだまま、伊吹は三度、女神の顔を思い出すのだった。



「ーーーーそういや、加護がどうのって言ってたな……」



♢♢♢♢♢




「む?おぬし、随分指が傷だらけじゃの?」



「ああ、これですか?仕込みの途中に包丁で切っちまいまして。それと、冬場は洗いものが大変で手が荒れるんですよ」



「うむ、よくわからんが苦労が絶えないようじゃな。案ずるな。ワシの世界では『怪我を巻き戻す』加護を与えておこう」



「巻き戻す…………?」



「そうじゃ。有り体に言うと怪我と無縁の人生を送ることが出来るんじゃ。これでおぬしも怪我などとくだらんことに気を使わず、ワシの世界でラーメン文化発展に貢献できるじゃろ!感謝するのじゃ!」




つまりは、魔法・物理無効……?いや、身体に干渉されない場合は『巻き戻し』は発生しないだろうし、自分から発動することはできないのだろう。受動的な発動条件つきの身体損傷、及び外傷無効ってところだろうか。どうやら俺はとんでもないチートスキルを貰ったようだ。



女神は後にこう語っている。



「イブキは、ラーメンにしか興味がないからの」



伊吹は実質、最強の再生力を持った人間へと至ったわけだが、「この肉体を持って世界を征服してやる…!」などといった支配欲求は持ち合わせがない。


純粋なラーメンヲタクは仕込みの怪我が無くなる!と、大層喜んでいた。まさかこの2,3分後にフリーフォールの衝撃で自分が木っ端微塵になり、記念すべき第一回目の肉塊から再生される展開が待っているとは思いもよらなかったのである。



「痛みさえも感じないとは……ご都合主義ってすごいな」



呑気なことを思いながら全裸で、すいっすいっ、と平泳ぎで湖を泳いでいるわけだが、そう遠くない場所に向こう岸が見える。岸に生い茂った木々の背丈は高く、10m近くあろうか。広葉樹……と思われるが、伊吹は全く木の種類には詳しくないため、曖昧な認識のままだ。



水温、木々の青々しさから察するに、どうやらこの世界は夏真っ盛り!サマー!らしい。木々の根元に腰掛ける、二足歩行の蜥蜴人たちの服装も軽装だ。青い肌に鍛え抜かれた身体。腰巻きのみの立ち姿がよく似合う。ボディビルダーなら「よっ!冷蔵庫!肩にジープ乗ってるよ!」と声をかけたくなる筋肉。



「ーーーー食べても巻き戻っちゃうから美味しくないですよ」



「この人間は何を言ってる?」



うん。どうやら第一印象は変人で固定されたようだ。

リザードマンは無骨ですが恐らく今後出てくる誰よりも常識人です。

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