【幕間 ロゼウスからの手紙】
『親愛なるル・ルー奥様
手紙で失礼かもしれねぇが、礼が云いたかった。
クロムを雇ってくれたそうで、本当にありがとう。いろいろと迷惑をかけるかもしれねぇが、根性はあるはずだ。なんとかやってくれると思う。
運が悪いと嘆いてばかりだったクロムだが、仕事を始めてから顔つきが変わってきた。やっぱり「必要とされる」ことは大事だよな。おれも、カミさんが死んだあと何度首を吊ろうとしたことか。その節は、あんたにも迷惑をかけたな。
だけど、手のかかる三歳児なんか預かっちまったら死ぬに死ねない。あんたはそれを承知でおれにクロムを預けたんだろう。タチが悪いな。だけど感謝している。
死んだ「母親」のことも、いつかあいつに話そうと思ってる。いまは仕事で手一杯みたいだから、そのうちにな。
そんなわけで、うちの「ばか孫」を頼むわ。
≪追伸≫
以前話したと思うが、クロムに関して気になることがある。
月に数回、夜中にふらふらと出歩いているんだ。声をかけても反応がなく、目は虚ろだ。
本人はわかっていないようだから内緒で医者に相談したが、精神的なことに起因する夢遊病かもしれないと云われた。
しばらく様子を見るようにと云うから放っておいているが、最近頻繁になってきた。それこそ毎日のように夜中に起きては、ボーっと外を眺めている。屍体強奪の犯人に疑われたこともあったから、鍵はしっかりかけているけどな。
本人に自覚がないだけに心配だ。またなにかあれば連絡する。なにもないことを祈りつつ。
ギルマン棺桶屋 ロゼウス・ギルマンより』
ご覧いただきありがとうございました。これにて第二章終了です。
次ページより「第三章 『塔』の葬儀」がスタートします。
新キャラもたくさん出ます。




