従軍牧師の見た空
「マイケル、彼に祈りを捧げてくれないか」
軍曹はそう言いながら倒れた兵士の亡骸の身だしなみを整えた。
「しかし私は一介の兵士で」
「君は牧師の資格を持っているんだろう、正規の従軍牧師ではないが今はこんな時だ頼む」
マイケルと呼ばれた兵士はわずかに頷くと胸ポケットから聖書を取り出し亡骸の前に立った。
戦闘区域から離れたところではあるがキャンプまでは遠く、要請したヘリもしばらく来ない。敵が来る様子は無いが何処にいるかも把握出来ていない。敵陣の中にいると言われればこのようなことはのんきに見えるが部隊の士気は落ち始めている。