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四竜の盟約  作者: 瑞樹ハル
01 寒村の少年
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06-寒村の少年-

またまた遅くなってすみません。

学生のため新学期に入り時間が取れなくなってきました。

レナの悲鳴が響き渡る。

と、その瞬間茂みからディオンが飛び出してきた。

構えた弓から矢が放たれる。


ドスッと音がしてアレンに斬りかかった兵士の胸に刺さった。


「アレン!逃げるぞ!」


ディオンはそう叫びながらアレンを抱える。


「待って!レナがっ」

「すまんが、今はお前だけだ!!」


ディオンは剣を抜いて兵士を切り伏せるとそのまま山へ向かって走っていく。


「くそっ、レナが!」

「このままじゃ俺もお前も殺される。我慢しろ」


ディオンはそのまま森の中を抜けていく。

アレンは、段々と意識が朦朧としてきた。


「アレン、しっかりしろ!もう少しで手当てができる」

「……うん、ディ……オ」


そしてそのまま意識を手放した。










一方、村では村人たちが縛られていた。

何人かは襲撃で殺されてしまっている。


ブレイナンは自分の家で攻撃してきた軍の責任者と相対していた。


「私が村の長のブレイナンでございます」

「ふむ、はじめまして。私は親衛軍指揮官代理人、アレクシウスだ」

「私に話しとのことでしたが、一体何のことでしょうか」


険呑なブレイナンにアレクシウスは目を細めた。


「ブレイナンよ、この村はどんな村だったのかね」

「村民は身を粉のようにして働き、笑顔に満ち溢れる村であったと自負しております」

「ほう、だがしかし悪しきものを信奉していたという話を聞いてな」

「そのようなことはないと思いますが」

「ふむ、ならば貴殿らは三位教を信奉しているのだな?」


ブレイナンのこぶしが強く握られる。


「我らは四竜教を信奉しています。四竜教こそがわれらの信ずるものです」

「追放されし悪魔を信じるのか、狂信者め」

「追放したのは国王の一存ではないのでしょうか、我らに信仰を捨てろと言われても捨てることなどできるはずもありません。国は今まで四竜とともにあったではありませんか!」


アレクシウスは目を細めてブレイナンをにらみつける。


「ブレイナンよ。時世を見誤るな、いつまであのようなけだものとともに歩むつもりだ。人間は今独り立ちの時期に来ているのだよ」

「何をふざけたことを言っておるのです!」

「ふざけているのは貴様だぞブレイナンっ!けだものを主に据えた宗教なぞ排斥されるべきものだ!それを信仰しあまつさえ国王陛下にまでたてつくか!」


アレクシウスは口角泡を飛ばしながらそう叫ぶと、剣を抜いた。

そのまま、ブレイナンに腕に突き立てる。


「ウグッ……!!」


歯を食いしばりながらその痛みに耐えた。

尚もアレクシウスは叱責する。


「貴様のような邪教徒はもはや、国にとって不要!今ここで死ねッ!」


その時、扉が開け放たれた。

入ってきたのは、白い紋様をあしらった鎧を着る若い青年。

右には腕をつかまれたレナの姿。


「ブレイナン様ッ!!」


悲痛な声で叫ぶ。


「アレクシウス殿!これは一体どういうことだ」

「これはこれは勇者候補殿。これは粛清ですよ」


アレクシウスは得意げな顔をするが、勇者候補と呼ばれた男は顔をゆがめる。


「これはあまりにもひどすぎる。剣を収めるのだ」

「……わかりました」


軽くねじってから剣を引き抜く。

バッと鮮血が飛んだ。


「ブレイナン様ッ!!大丈夫ですかっ!?」


レナが駆け寄って、傷口に布を当てた。

勇者は近寄ると、きれいな布を出してブレイナンの傷口を縛る。


「ブレイナンとやら。すまなかった、勇者である私がきちんと止めるべきだった」

「……いや、大丈夫だ。勇者殿」


レナの助けを借りて、ブレイナンは立ち上がった。


「ブレイナン様、大丈夫ですか?」

「心配するな、レナ。大丈夫だ」


勇者は兵士を呼ぶとブレイナンを運ばせた。

ついて行こうとするレナを勇者は引き止める。


「私はブレイナン様についていきます」

「すまないが、レナには私についてきてもらう」


そのままレナの腕をとると、軍の天幕のほうへと引っ張っていった。


「放してくださいっ!」

「レナ!これは君にとっても悪い話じゃない!頼むからついてきてくれ」


そういうと有無を言わさず天幕の中へと入れた。

中には先ほどの司令官がいる。


「勇者殿、その村娘は?」

「レナだ。そして未来の巫女になる」

「お戯れが過ぎますぞ!薄汚い村の女で挙句の果てに背徳者の村の娘ですぞ!」

「だがこの女には巫女の才能があるのを感じるのだ。私に勇者の才能があるようにな」

「……わかりました、せいぜい見誤らないようにご留意してくだされ。勇者候補殿」


勇者は苦々しげに相手をにらむと踵を返した。


「この娘のための天幕を用意してくれ」

「かしこまりました、勇者候補殿」


それを見つめるレナの瞳は、怒りと不安に彩られていた。


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