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四竜の盟約  作者: 瑞樹ハル
01 寒村の少年
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03-寒村の少年-

毎回短くてすみません。

書き溜めができない性格なのでどうしてもカツカツになってしまいます。

短いですがお付き合いください

そのころアレンは少し遅れて山中を登っていた。

村を出ようとしたところで、レナに呼び止められたのだ。


「あれ?アレン今日は一人なの?」

「父さんに一人で行けって言われたからね」

「すごいね、アレンは」

「そんなことないよ。じゃあ行ってくるね」

「行ってらっしゃい、気を付けてね」


なんとなく名残惜しそうな顔をするレナに手を振りながらアレンは歩を進めた。

手には供え物を、腰に短剣を下げて進んでいく。

山は残雪が多く、道を覆い隠してしまっている。

六年前から数え切れないほど登っていたアレンも慎重に歩を進める。

どんなに村に近い見知った場所でもまだ寒い山で遭難しては命はない。


そんなわけでいつもよりいつもより時間がかかって祠に到着した。

先週よけた祠前の雪も、一週間のうちに積もってしまい扉をふさいでいた。

そんなとこを手でかき分けて入っていく。


祠の中は静かで少し暖かかった。

フードを降ろし椅子のある所まで進もうとすると奥から声が聞こえてきた。


「……しかし、われら……とはな」

「……だが、仕方な……ろう」


アレンはそっと供え物を置くと、短剣を抜く。

息をひそめて、じりじりと近寄って行った。


「……。そこの人間よ。剣を収め入ってくるがよい」


突然そう声をかけられたアレンはピタリと止まる。


「恐れることはない。入ってきなさい」

「……あなた方は何者ですか。ここは神聖な祠です!」


ありったけの勇気を振り絞り、そう問いかけた。


「わしらが何者か話す前にこっちに入ってきてくれんのかの。このままでは話にくい」

「……わかりました」


アレンが椅子の間に入っていくと、そこにいたのはローブを纏った四人だった。

それぞれのローブが、赤、青、緑、茶の色で刺繍されている。


「初めまして、アレンです。あなた方は?」

「ふむ、ブレイナンの子か。聡明そうな顔つきだな」


赤のローブを纏った人がフードを降ろした。


「われらは四竜だ」






アレンは何も言わない。

本当に四竜なのか、それとも名を騙る者なのだろうか。


「そう疑うな。アレンよ。四竜の見分け方を教わらなかったか?」


緑のローブを纏った者が優しく問いかけると、アレンは答えた。


「竜にのみ紡がれし歌があると」


「「「「ならば問おう。汝その歌を知るものなり」」」」


「その名はガルドラの歌」


「「「「今奏でようその歌を!!!!!」」」」











アレンがふと目を覚ますと、四人がのぞき込んできた。

水の竜が話しかけてくる。纏っているのは青い刺繍のローブだ。


「目が覚めたか、アレンよ」

「……どのくらい眠ってましたか?」

「一時間ほどだろうな。竜の歌を聞いてよくぞ目を覚ましたな」

「われらが四つとも失念しておったわ。人の身に間近で竜の歌を聞かせるなどなんたる暴挙」


申し訳なさそうな顔をした四人がアレンを起こす。


「い、いえ。大丈夫です」


酔ったような感覚を覚えているアレンに、風の竜が水を差しだしてくれた。


「さあ飲むがよい、魔力酔いじゃな」

「ありがとうございます」


川の水筒に口を付けると一口飲んだ。

少し気分も楽になる。


「四竜様はなぜここに?」

「おぬしはまだ聞いてはおらぬのか、われらは追放されたのだ」

「これこれ、火の竜よ。この村は王都から遠く、アレンもまだ若い。聞いてはおらぬだろうよ」

「そうだぞ、あまり急ぐでない」


水の竜と風の竜がたしなめると、地の竜がゆっくりと口を開いた。


「アレンよ、これだけは覚えておいてほしい。我らはこの地を去らねばならん。そして遥か北にある竜の地へと向かうのだ」

「だが、きっとお前は我らのもとを訪れるであろう。その時を楽しみにしているぞ」


そう四竜たちは告げると、アレンに供え物をもらってもよいかと尋ねる。

アレンは快く了承し帰ろうとすると、火の竜が。



「供え物をもらっておいておいそれと帰すわけにもいかんな。何か贈り物をしたい」

「僕に?恐れ多いです」

「なに、竜の歌を聞かせてしまった詫びも含めてだ。これをやろう」


というと一枚の鱗をだし、どこからか取り出した鎖に通してネックレスを作った。


「「「待て、火の竜よ。我らの鱗もつけてはどうだ」」」


と、それぞれの鱗をもらい4枚の鱗の通ったネックレスをもらい受けた。


「あの、ありがとうございます」

「なに、気を付けて帰るのだぞ」

「はい、では失礼します」


そうしてアレンは天頂に昇った太陽に背を向けて家へと戻るのだった。


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