白に溺れる
掲載日:2015/02/05
私の目の前に広げられる白紙。消しゴムの跡どころか汚れ一つない真っ白な紙だ。貴方はなにをかいてくれるの? と白紙が問いかけてくる。
文字を書いても良い。絵を描いても良い。なにかをかかなきゃ。この目の前の純白を汚さなきゃ。かけない私に価値なんてない。でもなにをかけば良いのか分からない。私の中からなにも湧いてこない。中を覗き込んでも空っぽだ。思ったまま書けば良いとか、余白の美とか言う言葉があるけれども、中身ががらんどうではそれすらも出来ない。
白紙が私に迫ってくる。ねえ、早くかいて、と迫ってくる。自分自身の思考に手足を絡め取られている私は、逃げることは出来ない。早くなにかをかかなきゃ。早く! 思うだけで、鉛筆を持つ手はぴくりとも動かない。そうこうしている内に白紙は私を飲み込む。目から、口から、あらゆる穴から白紙が流れ込んでくる。
書いて。描いて。かいて。白紙の思いがなだれ込んで、私を侵す。
白紙に――――白に溺れる。




