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憧れ

みなさん!お久しぶりです!サボっててすいませんでした!!!

ということで久々の更新です。変なところで終わっててすいません。なので今回は一気に三話投稿したいと思います!丁度キリもいいところなので。

では、その一話目どうぞー

度原 空廻という少女は内気な性格の持ち主である。その原因は彼女が経験した過去が原因である。そんな彼女が今、


「そんな暗い顔しなくてもいいじゃないか」


面識のない男性と一緒に歩いているということは驚くべきことだった。

何故このようなことになってしまったのか。


***


原因は遡ること二日前、度原が家でゆっくりと過ごしていた時に起こった。


「ん?なんだろう」


普段あまり鳴らないケータイが鳴った。不思議に思って見てみるとメールが1件。それも知らないアドレスから。この時点で度原の動悸は速くなっていた。

しかし、送られてきた文面を見てることによって、


「え………」


抱いた感情が不安から恐怖へと変わる。

文面は以下のように書かれていた。


『やあこんにちは。いや、今の時間はこんばんはかな。勝手に君のアドレスを調べたことについては謝るよ。

さて、本題に入ろうか。明後日、学園の倉庫に来てくれるかな。君に話したいことがあってね。もちろん一人でだよ。もしも無視なんておかしなマネをしたら………あとは想像にお任せするね。

そういえば、まだ名前を言ってなかったね。俺の名前は刈愚山 直危。よろしくね』


度原は最後に書いてあった名前に心当たりがあった。


「この人って……確か……」


ここで度原の先輩、鹿月と数日前に話したいことを思い出す。


『刈愚山 直危に気をつけろよ』


そう警戒するように言われた人物からメールが送られてきてしまったのだ。

その瞬間、度原の全身がふるふると震え出す。恐怖という感情に全身を支配されてしまった。


「う、嘘、そんな、あ、ああああ………きゅうぅ」


あまりの出来事にそのまま彼女は気絶してしまった。


次の日、度原はずっと悩みながら放課後を迎えた。【欠陥集会】(リグレットグループ)には参加できない旨を鹿月たちに伝えた時も、委員会で行事についての説明を聞いている時も彼女はずっと悩んでいた。

それは委員会が終わっても続いていた。


「はぁ………どうしよう」


校門へと向かいながら彼女は溜め息混じりにそう呟いた。頭の中は昨日のことでいっぱいだったからだ。なので、


「度原ー!」


「うひゃい!?」


たまたま近くにいた鹿月に気づかず、こんな反応をとってしまったのは仕方のないことだろう。

その後鹿月の話を聞き、


(こんなに私のことを思ってくれてる人がいたんだ……)


そう感じた時には、


「先輩は、優しいですね」


自然と口から言葉が漏れていた。度原は思う。こんなに心の底から思ったこと口にしたのはいつ以来だろうか、と。そして、


「とっても……嬉しいです」


自分はこんなにも素直に笑えることができるんだ、と。


「せ、先輩……わ、私の話聞いてもらえますか?」


だから彼女は決心した。彼になら、鹿月になら、打ち明けられると。相談できると。


「!……もちろん!!」


(先輩の目……とっても暖かい。私の好きな目だ)


鹿月が喜ぶ姿を見て度原も嬉しくなる。


(私なんかの相談を喜んで聞いてくれるなんて……)


自分を少し卑下しながらも度原は暖かい気持ちに包まれる。


(私にもこんな素敵な人ができたんだ)


しかし


「先輩、その、実は━━」


その気持ちは


「おやおや?こんな時間にこんなところで遭うなんて奇遇だね」


この一声によって掻き消される。


度原は声のする方に振り返った。そこには一人の少年が立っていた。スラっとした身体にある程度整った顔立ち。上の下といったところか。


(この人誰だろう?先輩の友達かな?)


度原は呑気にそんなことを考えていた。


「お前は……刈愚山」


「ぇ………」


度原は鹿月にも聞こえない声で呟いた。そんな声しか度原は出すことがてきなかった。当たり前である。


(刈愚山って……昨日のあの人だ!)


今まさに鹿月に相談しようとした悩みの人物(げんいん)が目の前に現れたのだ。


「こんな時間まで【欠陥集会】(リグレットグループ)かい?


「あぁ、そうだよ」


「ということは、彼女もそうなのかい?」


刈愚山はニヤッとした表情で度原を見た。自然に目があう。その瞬間、


「ッ!?」


度原の身体をある感情が走り抜ける。


(あの人の目って……)


ある感情とは


(あの時のお父さんと同じ目だ……!)


恐怖だ。


(どうしよう!どうしようどうしよう!!)


度原は昨夜の時のように身体が恐怖で支配されてしまった。

思い出される過去。自分を見下し負の感情しか浮かべていない父の目。それが目の前の同じ目をした刈愚山と重なる。

その瞬間、辛い過去で味わった痛みが走った、ような気がした。もちろん錯覚であるが、今の度原にはそれすらも判断できる状態でなかった。自然と身体が震えてしまう。


「度原!?どうしたんだ!?」


自分の異変に鹿月は気づいてくれた。だが、今はもうこの場にいることは度原に到底無理な話だった。


「せ、先輩……すいません……さようなら」


「あ、おい!度原!!」


鹿月の静止の声も聞かず度原は走り出した。あの場所から、あの人物から、離れるために。

度原が足を止めたのは校門を出た後だった。その直後だった。


「はぁはぁはぁ…………ひっく……うぅ」


今まで我慢していたものが涙なって一気に溢れ出したのは。


「どうしよう、ひっく……どうしたらいいの……」


明日、刈愚山と会わなければならない。あんな目をしたオトコだ。無視などすれば何をされるか分からない。度原には『刈愚山と明日会う』という選択肢しか残されていなかった。


「誰か………誰か助けて……」


その返事が帰ってくることはなかった。


***


結局いい案が思いつかずに度原は刈愚山の元へと来てしまった。


「さぁ、着いたよ」


案内されたのは学園にある大きな倉庫だった。


「あ、あの、なんで倉庫なん、ですか?」


「誰にも聞かれちゃいけない……大事な話があるからね」


何かを含んだ笑みを刈愚山は浮かべた。ビクッと反応してしまう度原。


(あの顔も……お父さんと同じだ……)


虐待した父の顔が脳裏に蘇る。それだけで度原は抵抗できなくなってしまう。

とうとう度原は倉庫へと足を踏み込んでしまった。

倉庫の中にはすでに二人の男子生徒がいた。ネクタイの色から判断すると、どうやら度原と同じ一年のようだ。


「刈愚山さん、そいつが例のやつっすか?」


「なんだチビかよー。俺の趣味じゃねぇな」


一人は小柄な体型をした態度の軽そうな男。もう一人は背が高くがっしりとした身体つきの男だった。


「低井、高井、待たせたね」


小柄な男を低井、がっしりとした身体つきの男を高井、と刈愚山は呼んだ。


「本当っすよー。待ちくたびれたっすよー」


「あんま乗り気じゃねぇがまあいいか」


「おいおい、ちょっと待ってくれるかい?彼女にはまだ話していないんだ」


そこで刈愚山は度原へと向き直った。


「それじゃあ大事な大事な話を始めようじゃないか」


刈愚山はニヤッと笑ってこう言った。


「度原君、君には壊れてもらうよ」


「え……こわ、れる……?」


「そう、君は今から壊されるんだ。俺たちによってね」


「そ、そんな……」


度原の嫌いな目で、度原の嫌いな笑みで、刈愚山は一歩一歩近づいてくる。


「な、なんで、こ、こんなことす、するんですか!」


「ははっ、いい質問だね。確かにいきなりこんなことをされたら、戸惑うのは当たり前か。何故こんなことをするか、か。それはね、藍夜馬鹿月が嫌いだからだよ」


「先輩が、嫌い、だから?」


そこで度原は眉をひそめる。鹿月が嫌われることで何故自分が壊されるのかも疑問だったが、何より鹿月が嫌われていることが疑問だった。


「俺はね、あいつが気に食わないんだ。あんな俺の足元にも及ばない奴がどうして当たり前のように学園生活を送っているのか。藍山 鹿月の周りの人間は優れた奴ばかりだ。陸上部のエースの池ヶ谷雅斗や浅川優子、君の先輩でもある口崎海音なんかがそうだ」


段々と刈愚山の口調が荒いものとなっていく。


「だが、奴だけは違う。藍夜馬鹿月は成績最底辺、これといって特出しているものない。そんな奴が、何故!あんなにも周りに恵まれている!俺はそれが気に食わない!!」


そこで刈愚山はふぅと一息おき一旦落ち着きを取り戻したかと思えば、


「だからその繋がりを一つずつ壊していくんだ。俺のこの手で。その最初の犠牲者となるのが度原君、君だよ」


ニタァと笑った。


「いやー、楽しみだよ。藍夜馬鹿月の、その周りの人間の、絶望する顔が!」


「………ゃな……すか」


「ん?何か言ったかい?」


「う、羨ましいだ、だけじゃ、ないですか」


ビクビク怯えていた度原だったが何故か黙っていることができなかった。自分で驚きながらも話をやめようとは思わなかった。


「君は何を言ってるんだい?羨ましい?誰が?誰を?」


「あ、あなたが……せ、先輩をです」


「………本当に何を言ってるのか分からないよ」


刈愚山の目に鋭さが増す。しかし度原は怯みながらも話を続けた。


「わ、私もそ、その気持ちは、分かります。先輩はや、優しいですした、たくさんの人に慕わ、れてるとお、思います。そ、そんな先輩を羨んであ、憧れる気持ちもわ、分かります。私もせ、先輩みたいになり、たいですから」


「俺があいつに憧れる?そんな馬鹿げたことが━━」


「いえ、あ、あなたは先輩に憧れています」


その瞬間、度原の目に確かな意志が宿る。


「せ、先輩はあなたに無いものをたくさんも、持っています。そ、それが羨ましいんです。で、でもあなたが先輩にい、抱く感情は羨望ではなく嫉妬です」


「…………」


「だ、だからあなたは……先輩を越えることは一生━━」


「黙れ」


言葉とともに、刈愚山は度原の胸ぐらを掴み上げた。


「黙って聞いていればくだらない話をペラペラと。俺が嫉妬などという醜い感情をあんなクズに抱くわけないだろ!」


言葉が荒くなると同時に刈愚山は拳を振り上げた。


「ひっ!」


暴力、という過去のトラウマが度原の身体を駆け抜ける。


「おいおい、さっきまでの勢いはどうした?そんなにこれが怖いのか?」


ビクビクと身体を震わすだけで何も答えることができない。何も反応のない度原をつまらなく思ったのか、刈愚山は無言のまま度原を壁に打ちつけた。


「ひぐっ!?」


小さな悲鳴を上げそのまま床へと座り込んでしまった。


「おい、そろそろ始めろ」


「はーい。ていうか刈愚山さん。キャラ違うくないですか?」


「いいから早くしろ」


「へいへい。それじゃあ俺から楽しみますかね」


名乗り上げたのは低井だった。座り込んでしまった度原へと近づいていく。

恐怖のあまり度原は立つこともできず、ただただ怯えることしかできない。


「ひっ!こ、来ないで!」


「そんなに嫌がらないで。ほら、二人で楽しいことしようぜ」


必死に逃げようとする度原。しかし、低井はそんなことを許すはずもなく、度原の腕を掴みあげた。


「い、嫌!触らないで!」


「あぁもう、いろいろ邪魔だなぁ。そらよっと!」


低井は度原の制服を掴み上げ一気に引き裂いた。度原の華奢な肢体が露わとなる。


「い、嫌!離して!」


「へへっ、それじゃあ楽しみますか!」


「いやぁ……」


その時、度原の瞳から一筋の涙が零れた。


「いやぁぁぁぁぁああああああああ!!!」










「カシャリ」


「「「「え?」」」」


「ふぅ、キレイに撮れたわね。女子生徒に群がるケダモノの姿が」


四人しか居ないはずのこの場に響く五人目の声。そして、


「こちら『ocean』。聞こえるかしら?『umashika』。こっちは準備かんりょ━━」


「だーかーらー!『umashika』じゃなくて『moon』つってんだろうが!!」


六人目。


「貴方の場合、その方が分かりやすく覚えやすいのよ。あと似合ってもいるしね」


「それならお前は『poison』だろ!毒舌的な意味で!」


「女性に対して毒だなんて失礼よ。それより貴方、今の状況忘れてないかしら?」


「あ」


この場にいなかった二人が度原たちの方へ振り返る。


「さぁ行くのよ『umashika』。彼女を取り戻しに」


「お前ちょっと黙ってろ!!」


二人のうち男性の方が駆け出した。彼が向かう先にいるのは度原………ではなく彼女の腕を掴む低井だった。そして、


「とう!『女子に乱暴するやつは死んでしまった方がマシだ!』キック!!!」


「ぐへぇ!?」


低井の顔を思いっきり蹴り飛ばした。長々した名前だったが、つまりただの蹴りである。

しかし威力は十分だったようで、低井は軽々と壁へ飛ばされてしまった。激しく打ち付けてしまったせいか、低井はそのまま気を失った。


「よーし雑魚一人終了ー。大丈夫だったか?度は━━ら!?」


そこで男性の声が上擦る。理由は簡単。突然度原が男性に抱きついたからだ(上半身下着姿で)。


「度原!?その格好で抱きつくのはまずい!何がまずいって俺の俺が大変なことに━━」


「せんぱい、かづきせんぱぁい」


度原は自分の姿など気にしてはいなかった。いや、気になどならなかった。ただただ安心したかったのだ。

その意図を汲み取ったのか、男性もとい鹿月は度原の頭を撫でた。


「もう大丈夫だぞ、度原。ごめんな?助けに来るのが遅くなって」


「だい、じょうぶ……だいじょうぶですぅ」


途端に、度原の瞳から大量の涙が溢れ出す。その涙を鹿月は指で拭い取る。そして自分の制服を度原に着せた。


「ちょっと待っててくれ。今全部終わらせてくるから」


鹿月は立ち上がり、事の元凶、刈愚山へと視線を移し睨みつける。


「なんだい?その目は」


刈愚山は意に介した様子はない。むしろ、その視線を受けて不敵に笑っている。


「いやー、もともと嫌いだったがここまでに嫌いになるとは思わなかったからな。自分でも驚いてんだよ。これで思いっきりぶっ飛ばせる」


「ぶっ飛ばす、か。果たしてそんなことは出来るかな?こちらは二人いるんだよ?」


「上等だ」


キッと先程よりも強い視線で高井も含め睨みつける。


「俺たちの後輩を泣かせた罪は重いぞコノヤロー!」




すぐに二話目を投稿しまーす

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