度原の過去
八話目ー
………こんにちは、みなさん。まだ2013年ですね……。この前のあいさつはいったい何だったのか……。
まぁ気を取り直していきましょう。予定より一話多く更新できたと考えます。前回終わりぐらいから少しシリアスな雰囲気でしたが、しばらくそれが続きます。どうかお付き合いください。
では、どうぞー
刈愚山と少し揉めた次の日の放課後。
俺は昨日のことがあったため、早めに反省室に来ていた。そのせいか口崎ですらまだ来ていなかった。さすがに早く来すぎたか。
しかし、
十分後
「あー度原はまだかなー」
そのまた十分後
「口崎も遅いなー」
そのそのまたまた十分後
「誰でもいいから来いよー」
そのそのそのまたまたまた十分後
「…………あれ?もしかしてすっぽかされた?」
なんで早めに来た日に誰も来ないんだ……。あ、もう、その、なんだ……。
「……帰ろ」
「ごめんなさい。少し遅れたわ」
「遅い!でも許す!」
あの状態だったためか来てくれただけでなんか嬉しい。やべぇ……口崎が天使見える。
「いつも悪魔なのに……」
「誰が悪魔ですって?」
「誰がとか言ってなのにバレてる!?」
女の勘って怖ぇ……。
「それよりもお前が遅れるなんて珍しいな」
「ちょっと調べ物をしてたのよ」
「調べ物?」
「えぇ、ちょっとある人物についてね」
おいおいこいつ刑事かよ。高校生が人物調べって……。
怖い気もするが、気にもなるので聞いてみる。
「誰について調べてたんだ?」
「誰だと思う?貴方も知ってる人物よ」
え?俺も知ってる奴だって?
「うーん………分からん」
「一人も挙げられないなんてほんとに馬鹿ね」
「ここで馬鹿にする必要あったか!?」
「その人物というのは」
「無視!?」
「私たちの後輩、度原 空廻よ」
「おい人の話を━━え?」
度原を調べてたって?なんで?
「私は気になったのよ。彼女のことがね」
度原の気になる点って……一つしか思いつかない。
「性格のこと、だよな?」
「まぁ概ね正解ね。私が気になったのは彼女の喋り方よ」
あの少しどもる喋り方のことか。確かに俺も気になるが。
「そこまで気にすることか?」
あの性格だしその延長線ってだけなような……。
「私たちが彼女と知り合ってもう何日も経ったわ。なのに彼女の喋り方は一向に変わる様子がない。いくら彼女が内気でも流石におかしいわ。はっきりいって異常よ」
「いや、お前が言うなよ。異常とか」
「それは貴方もでしょう」
「「……………」」
【欠陥集会】同士で異常とか言い合うのってこんな虚しいんだな……。
「だから私は彼女のことを調べてみたの」
あ、誤魔化した。
「そしたら出てきたわ。色々とね」
「今更だけど犯罪だよな?」
「気にしちゃダメよ。それより聞きたい?ていうか聞きなさい」
「あれ?なんで命令形?俺に拒否権は?」
「あるわけないじゃない」
マジっすか……。口崎姉さんパネェっす……。
「そういう人のことは本人の了しょ━━」
「彼女はね」
「なぁ!今日無視多くないか!!」
「虐待を受けてきたのよ」
「え……」
虐……待……?俺の頭の中でその二文字の言葉が何回も繰り返される。その言葉を理解するのに数秒間かかった。
「あら、急に静かになったわね」
ふふっ、と口崎が笑う。なんでこいつは笑っていられるんだ。
「これを聞いた以上は話の続きが気になるでしょ?」
「………あぁ」
「ふふっ、最初からそう言えばいいのよ。では話していきしょうか」
そして口崎は度原の過去を淡々と語っていった。残酷な過去を。
彼女の家は父、母、度原、二歳離れた弟の四人家族だった。父親は普通のサラリーマンで、母親は専業主婦とわりととどこにでもいるごく普通の家族だった。
しかし、あることがきっかけでこの家庭に変化が訪れる。父親が母親に暴力を振るい始めたのだ。原因は父親のリストラである。
やがてその暴力の矛先は子どもたち、度原と弟に向いた。DVから虐待へと発展してしまったのだ。
そんな中、度原は弟を守るため必死に耐えた。その甲斐あってか弟に暴力が振るわれることはなかった。それと同時期に両親は離婚したそうだ。度原と弟はもちろん母親に引き取られた。
今では度原の母親は彼女の知り合いの店で働いて生活に苦はないらしい。
だが、この虐待があったためか、度原は感情を上手く出せない子になってしまった。だからクラスメイトからの頼みを断れずに引き受けてしまっているのだ。
あの喋り方は相手の機嫌を損なうことを恐れているんだろう。そこまで度原の心には深く刻まれた過去だということだ。
「以上が度原 空廻さんの悲しい過去よ」
虐待があった家ならありふれた話なのかもしれない。だが、普通に育てられた俺からしてみれば信じ難い話だった。
「でも話は終わらないわよ」
「……何?」
まだ酷い過去が度原にあるっていうのか?
「今までは過去の話。今から話すことは未来の話。もちろん度原さんのね」
未来の話、だと。いったいどういうことだ。
「まずはこれを見てもらえるかしら」
渡されたのは口崎のケータイだった。これに何が映って━━
「ッ!?」
「分かったかしら?未来の意味を」
口崎のケータイには驚くべきものが映っていた。驚くべきものとはある一枚の写真である。その写真には度原とある男が映っていた。
「なんで……度原と……刈愚山が一緒にいるんだよ!」
「私に聞かれても答えられないわ。刈愚山 直危が相手だし脅迫でもされたんでしょうけど」
そうか、だから昨日彼女は刈愚山を見て怯えていたのか。
「さっき二人が倉庫の中に入っていくのを見たわ。過去にあんなことがあったのに未来でも似たようなことが、場合によってもっと酷いことが起こるんでしょうね。彼女は本当に不幸だわ」
「なんで……そんな風に言えるんだよ」
「私はね、赤の他人がどうなろうとどうでもいいの。そんな相手に構ってる程暇じゃないわ」
「お前は……そんな考え方でいいのかよ」
「何故いけないの?これが私の考え方なのよ。変えるつもりないし変えたいとも思えないわ」
口崎ってこういう奴だったのかよ……。
「お前度原がどうなってもいいっていうのかよ!あの男に好きなようにさせていいのかよ!」
「だから言ってるじゃない。赤の他人が何をしようと関係ないって。どんなにいい人だろうと赤の他人に感情移入出来る程、私はお人好しじゃないのよ」
「お前それでも人間かよ!そんなんじゃ刈愚山と似たようなもんじゃねぇか!お前にとって度原はその程度の━━」
「関係だと思う?」
「え?」
そこで今までスカしたような表情を浮かべていた口崎の顔つきが真剣なものへと変わった。
「私の後輩になった時点で赤の他人ではないのよ。それにあんな子を助けたいと思わないわけないじゃない」
「口崎……」
彼女からここまで暖かい思いを感じたのは初めてかもしれない。
「よし!そうと決まれば早く助けにいかないと!度原が危ない!」
「少し落ち着きなさい」
「そんな場合じゃないだろ!あの小動物系女子の度原が今悪い男に汚されようと━━」
「落ち着きなさい」
「ぶはッ!?」
いきなり口崎に殴られた。しかもグーで。普通に痛いんですけど。
「おま、いきなり何すんだよ!」
「落ち着きなさいって言ってるのが聞こえないのかしら?私の話を聞きなさい」
「だから!そんな暇ないって!」
「もう一発欲しいのかしら?」
「で、話とはいかようなものでしょうか」
俺は即座に正座した。これぞ落ち着いてますオーラMAXの姿勢だ。
「問題を解決するには準備が必要よ。まぁそれは私の手元にあるのだけれど」
「………あれ?俺殴られる必要なかったくね?」
「準備はものだけじゃないのよ。作戦もその一つ。今から言うこと覚えてちょうだい」
「お前……そこまで考えて……」
「潰すなら徹底的によ。私の後輩に手を出したことがどれ程恐ろしいか教えてあげるわ」
「俺たちの、だろ?」
「……えぇ、そうね」
ここで俺たちの思いは一つになった。後輩を助けたいという気持ちが一つに。
口崎の作戦を聞くため俺は立ち上がった。と、さっき殴られた時に眼鏡が外れたため拾ってかけなおす。
「そういえば……貴方って眼鏡かけてたのね」
「毎日顔合わせてるのに忘れてたの!?」
俺は顔すらまともに覚えられていなかった。
いかがだったでしょうか?暗すぎないようにはしたつもりなんですが……。
いきなりピンチの空廻ちゃんです!果たして救えることができるのか!あと、主人公の眼鏡も忘れないでください。
次回は……このペースでいけば今年中にいけるような気もしますがあまり期待しないでください。ほんと不定期なんで。
では、いつになるか次回もよろしくお願いしまーす。では( ´ ▽ ` )ノ




