悲しい個性を持った者たち
四話目でーす。
さて、今回は新メンバー登場!と言ったところでしょうか。まだまだ初めなので真新しさはあまりありませんが(笑)
それでは、どうぞー
「あ、あの、私は、えと、その」
目の前にいる少女と会って、
「わ、わた、私の、な、名前は」
十分以上になるが、
「え、えと、あの、その、あうぅ……」
まだ名前すら聞けていない。なんでこんなことになったんだ?先生と一緒に来たところまで遡ろうか。
***
「え、えと……あの……」
先生と一緒に立っていた気弱そうな少女はとても小さかった。
身長は150cmあるかないかで水色のおかっぱのせいで気弱そうに見えるのかもしれない。口崎と正反対の印象を受けてしまう。
「わた、私は、その、こ、ここで、あ、あの」
まだちゃんと話せない少女。そんな様子を見てか、坂下先生が説明しだした。
「この子は新しいお前たちの仲間だ。つまり、今日からこの子も【欠陥集会】のメンバーだ」
「え?この子がですか?」
見た感じ問題があるようには見えないが。
「あうぅ……」
うん、なんだか見てたら癒されるな。
「そんな汚れた目で彼女を見るのはやめなさい。可哀想よ」
「そんな目で見た覚えはねぇよ!」
「ごめんなさい。常に汚れていたのを忘れていたわ」
「目そのものが汚物ってか!」
「えぇ」
「即答⁉」
コイツは新しい子が来たのにお構いなしか!絶対引かれてるぞコレ。
「お前たちは相変わらずだな。まぁ今は置いておくとしてだ。気になることはこの子から聞いてくれ。ていうか力尽くでも聞き出せ。それが今日の【欠陥集会】の活動だ。じゃあな」
そう言うと、坂下先生は部屋を出ていこうとした。て、
「ちょっと待て!情報が少なすぎだろ。一通り終わってから帰れよ」
「黙れ藍夜馬。お前が俺に意見していいのは馬鹿が治ってからだ。つまり一生俺に従え」
「遠回しに馬鹿が治らないとか教師が言ってんじゃねぇよ!」
「俺は嘘が嫌いなんだ」
「オブラートに包むべきところはあるだろ!」
「肝に命じておく。じゃあな」
「おいコラ!戻ってこい!!」
俺の叫びも虚しく、坂下先生は面倒ごとだけ置いて帰りやがった。面倒見がいい教師で有名なはずだろう。
「はぁ……仕方ないか」
俺は少女と向き直った。口崎には任せられないしな。
「えーっと、まず自己紹介から始めようか」
***
そして話は冒頭に戻る。
「え、えと、あの、その、あうぅ……」
「あー、無理しなくていいぞ。なんなら俺たちから自己紹介するから」
「は、はい……」
シュンと落ち込んでしまう少女。なんか悪いことした気になってしまう。だが、今は話を進めよう。
「俺は藍夜馬 鹿月だ。好きなものは料理、かな。嫌いなものは勉強です。よろしく!」
「よ、よろしく、お、お願いし、します」
なんだろう。これだけで凄く嬉しいんだが。
「次は私ね」
お、なんだか積極的だな。こんな口崎は珍しいな。
「私の名前は口崎 海音よ。呼び方はなんでも構わないわ。好きなものは特にないわね。嫌いなものは自意識過剰の勘違い馬鹿かしら」
「それ前回で終わったはずだろ⁉しかも前よりひどくなってる⁉」
「前回?いったい何のことを言ってるのかしら」
「え、あ、いや」
まずい、何かいきなり口から出てしまった。
「自分で言ったことの説明も出来ないなんて悲しい人ね」
「くっ……」
コイツはいちいち毒を吐かないと生きられないのか?こういう時は勘弁してくれ。
「ま、まぁ、俺たちの自己紹介はこんな感じだ。次は君のをお願い出来るか?」
「は、はい!」
俺の言葉に少女は勢いよく応えてくれた。お、今回はいけそうな雰囲気か?
「えと、わ、私は度原 空廻ってい、いいます。好きなものは、えと、読書で、き、嫌いなものは目立つことですぅ……えと、あの、よ、よろしくお願いしましゅ!」
……惜しい、ものすごく惜しい。見てる分には楽しいが。
「よ、よし。とりあえず自己紹介は終ったな。ということで、改めて【欠陥集会】にようこそ!これからよろしくな!」
「入ること自体おめでたいことではないのだけどね」
「お前は空気を読め!!」
こいつは後輩にまで気を配れないのか。もういい、さっさと話を進めよう。
「次は【欠陥集会】について説明しておこうか。度原も知ってると思うが【欠陥集会】は悲しい個性を持った奴らが集まる場所だ。その悲しい個性をメンバー同士で改善していくのがここでの主な活動なんだ」
まぁ現状を見ていただければ効果があったかどうかなんて分かり切ったことですけど……。
「ちなみに俺の個性は『学問』で口崎の場合は『態度』って感じだな。度原は何なんだ?」
「わ、私が先生から言われた個性は、えと、ど、『度胸』だそうです……」
「あぁ……なんか納得した」
つまり度原の悲しい個性は度胸の無さってことか。
「けど、言い方は悪いがそれだけでここに来たのか?」
言ってしまえば度胸の無いヤツ、気の弱い奴は探せばこの学園にもたくさんいるだろう。なのに何故度原だけがここに来たのか。
「あの、たぶん私はその気が特に強いみたいで……」
「特に?」
「は、はい。あ、あの委員会決めってあ、あったじゃない、ですか」
「一年はもう終わったのか。俺のクラスはまだだな。度原はなんか入ったのか?」
「は、はい、全部、です」
「………は?」
今この子なんて言った?全部?
「悪い、もう一回言ってくれるか?」
「は、はい、全ての係りが私、なんです」
「はあぁぁぁぁあああ!?」
ちょっと待て……全ての係り?
「この学園の係りって何があった?」
「確か、代議員・生活員・体育員・文化員・保健員の五つのはずよ」
口崎が何があったかを説明してくれた。そんなにあったんだな。でも、度原はこれを全部任せられたのか?
「なんでそんなことになったんだ?」
「えと、その、断れなくて……」
「ここの教師は基本生徒のことに関して手を出さないからな」
「あ、あの、す、すいません……」
「別に度原が………悪いところもあるがクラスの奴らもどうかしてるな、これは」
さて、まずは何をするべきか……。
「私にいい案があるわ」
スッと口崎が手を上げた。今日は妙に積極的だな。
「なんだ?いい案って?」
「私が思うに度原さんには慣れが必要だと思うの。だから、シミュレーションをしてみるというのはどうかしら?」
シミュレーションか。案外いいかもしれないな。
「どうだ度原、できそうか?」
「は、はい!お、お願いします」
よし、やる気はあるようで何よりだ。
「で、でも、いったいどういうシ、シミュレーションを?」
「そうね、簡単にナンパなんてどうかしら?まずは私と藍夜馬君でやってみるわ」
おいおい、こいつ本当に口崎か?こんな頼れるところがあったなんて。
「では、やっとみましょうか。藍夜馬君がナンパしてきてちょうだい」
「あ、あぁ」
何故か少し緊張してしまう。ていうかナンパってどうやるんだ?やっとことないから分かんねぇよ。とりあえず俺のイメージやってみるか。
「そこのお姉さ━━」
「黙りなさい害虫」
「色々早すぎだろ!!」
「先手必勝よ」
「先手にも程があるわ!ナンパして来た奴の方が可哀想になってくるだろ!」
見た目はいいコイツをナンパする奴がすごく不憫になってきた。みんな!見た目なんかに騙されちゃいけないぞ!悪魔が潜んでいるからな!
「今変なこと考えなかったかしら?」
「な、何のことかなぁ……」
「何か腑に落ちないわね」
「そ、それよりもだ。これはちょっと度原には難易度が高い気がするんだが、な?」
コクンコクンと首を縦に振る度原。目の前で起こったことに圧倒されて声も出ないようだ。これやれって言われたら俺でも戸惑うしな。
「仕方ないわね。ならもう一度最初からやりましょう」
「おい、普通にやれよ?普通に断れよ?」
「分かってるわ。何回も言わないでちょうだい害虫」
「おい!まだ引きずってるぞ!」
「あら。ごめんなさい、つい心の声が出てしまったわ」
「ナンパ関係無く俺を傷つけないでくれ!ほら見ろ!度原放心状態じゃないか!」
度原を見てみるとぼうっと目の焦点があっていなかった。ヤバイよこの子早く元に戻さないと!
「なら早く始めましょうか」
「鬼かお前は!早く保健室に連れていかないと!」
「いえ、逆にこんな状態だからこそ出来るかもしれないわ」
「なんだよその根拠ない可能性!」
「度原さん、このまま続けてもいいかしら?」
俺の言葉を無視して、口崎は応えられるかも分からない状態の度原に問いかけた。すると度原は、
「だ、大丈夫、です……頑張れ、ます」
はっきりとそう言った。
あれ?まだ何もしてないのに頑張りが伝わってきたぞ?涙無しでは見られない!
「よ、よーし!見とけよ度原!」
俺たち、【欠陥集会】は一つになり動き出した。
「ねえ、そこのお姉さん。今から俺と遊ばない?」
「ごめんなさい、約束があるので」
「いいじゃねぇか、ちょっとだけでいいからさー」
そこで俺は口崎の腕を掴んだ。
「ち、ちょっと離してください!」
「ほら行こうぜ。いいことしてやるからよぉ」
「と、ここで止まってもらえるかしら?」
何故かここで口崎がストップをかけた。何か俺に問題でもあったか?
「度原さん、ここで一つアドバイスよ。こうやって強引にしてくる輩には反撃に出る必要があるわ。今から実践してみるから真似してみてちょうだい」
反撃?女子が出来ることなんて限られてると思うが。
「まずこの技は不意打ちじゃないと成功しないわ。そして思いっきりやらないと効果を発揮しないの」
技だって?武道かなんかの技なのか?口崎がそんなこと出来るなんて聞いたことないが………口崎ならなんか出来るような気がする。
「最後に一つ。これは男性にのみ使ってちょうだい。それじゃあ行くわよ」
は?男性にのみ?
「お、おい、それって━━」
「秘技・【金的襲撃】!」
その時、俺に無慈悲な一撃が下された。主に下半身に。
「~~~~~~っ!!!!」
俺の言葉にならない叫びが響くと同時に、そのままうずくまってしまった。ヤバイ……久しぶりに泣きそうだ。
「これを使えば大抵の男性は撃退できるわ」
「お前は世の男たちを殺すつもりか!!」
「このぐらいで死ぬ男なんてそんなものよ」
「これめちゃくちゃ痛いんだからな!!」
「女の私には関係ないことよ」
「冷たすぎるだろお前!!!」
そもそもなんで俺がこんな仕打ち受けてんだ?ただシミュレーションしてただけなのに……。
「さて、度原さんにもやってもらいましょうか。まずは【金的襲撃】から」
「おい!何ふざけたこと言ってんだよ!!」
「は、はい!」
「度原!お前もか!目を覚ませ!!」
ダメだ、度原は完全に自分を見失っている。気の弱い彼女なら仕方ないかもしれないが、今はそんな場合じゃない。俺が生きるか死ぬかの問題なんだ!
「お、おい。お前ら。落ち着け、な?」
俺の言葉を無視してじりじりと二人が迫ってくる。そしてとうとう壁際まで追い詰められてしまった。
「さぁ!今よ度原さん」
「待て!落ち着け!ここは一旦冷静になってまた違う方法で解決策を━━」
「え、えいっ!」
その日、俺の息子は二度死んだ。
いかがだったでしょうか?男性には少し痛かったかもしれません(笑)
次回は………どうしましょう?考えがあるようなないようなで上手くまとまっていません。まぁ次回のことは次回を書く自分にお任せしましょう(投げやり)
感想・誤字・脱字報告などよろしくお願いしまーす。
では( ´ ▽ ` )ノ




