七尾円
はっきり言って、どうしようかと思うぐらい怖い。
キラキラと水面に輝く波打つもの。
それはまるで水中に沈められたラメの入った包装紙のようで。
とりあえず、広範囲に広がっている。
どうしてそんな巨大生物と対等に口論ができるのか。
俺とミルドレッドねぇさんはただ、ため息をこぼした。
「ノゾミ」
「ぁああああ! あの子おにいちゃんが優しいのに付け込んでぇえ。こっち見て笑ったー最悪ー!!」
どこかこわれた感じで叫ぶ希。
考えすぎだと思う。
しかも由貴さんには声届いてないし。
「コロス」
えっ!?
そこまで飛躍する?
「ノゾミ。そんなことになったらユーキが悲しむと思うのだけど?」
ミルドレッドねぇさんのもっともな意見。
ぎゅっと握った拳を希は下げた。
何をする気だったんだよ。
『乗っていいよぉ〜』
薄いヒレは意外と頑丈らしく人が一人乗ってもたわみもしなかった。
触れたその背中は硬い鱗がヒレに覆われている二重構造のようで、さかなを名乗る魚の得体の知れなさがあった。
『道は〜?』
「とりあえず声を掛けるまで道なりに真っ直ぐ。外の空気を感じれるようにしてくれれば何とかする」
よろず屋の発言がまじチート。
この間由貴さんは小さな女の子と二人の世界。
この人は本当にこういう人なんだなと思う。




