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僕の場合  作者: とにあ
19/34

星を見上げる


 ふんわりとオレンジのヒレが開く。




 星明りがキラキラと夜空を彩っていて美しい。


 外はこんなにも煌めいていたのかと思う。

 元の世界で空を見上げても見える星は僅かで。

 水没都市タフトも雨が多く、夜空を眺めるには向かない。



「さかなぁ。キレイなお星様だねー」

『そぉだなー。キレイだなー』











「て、天井が、……ない」







 ノイが呆然と空を見上げ呟いた。


 いつの間にか移動したのかな?

 魚はすごいもんなー。


 あ。


 それとも実は開閉式?


「開閉式?」



「この街にそんな技術があるわけないじゃない!!」

 ノイが声を荒げる。


 じゃあ、いったい何が起こっているんだろう?


「えっと、さかな?」

『なぁんだぁー?』

 可愛らしく間延びした声が返る。

 ナデナデとその華やかなウロコとヒレを撫でる。


 嬉しげに揺れるヒレ。


「なんで、天井がないの?」


流星明滅(めておらいと)が天井に激突・破砕、その穴付近に鏡明反射(ねばみーす)による反射作用が働いて破砕片が天井全体を巻き込みつつ、飛び散ったんのー。落ちてこなくてなりよリダなー』


 僕は首を傾げる。

 そんな威力があるはずのない魔法だった。

「僕の魔法で天井に穴とか無理じゃないかなぁ?」

 オレンジの鱗を撫でながら呟く。


 ひらりひらりとヒレが揺れ動く。


『ユーキはすごいぞー。自信もてー』


 さかなは意味なく僕を持ち上げようとする。


『ぅうんと。ユーキの役割はスイッチだなー』

「すいっち?」

『さかなが流し込んだ魔力を魔法技術で変換して、出力する。だーから、変換発動スイッチだな』


 えっと、なにそれ?

『だーから、さかなとユーキがすごいのー』



「ふざけないで!!」


 ノイが声を荒げる。


『ふざけてないぞぉ~』

 さかなが返す。

『ユーキとさかなはすごいんだぞぉー』

 ひれが大きく揺れてうごめく重い音が耳につく。




 ひらりひらり


 オレンジが舞う。


 きれいだと思う。


「さかな」


『ん~?』



「あんまり壊しちゃダメなんだよ?」





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