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Mission:06 「OK,把握した」

「――なぁ、いい加減に吐いちまえよ。アンタ、自衛官なんだろ?俺達を救出に来た?」


「違う。私は、森山普通兵科学校第3118中隊に所属する学兵――」


「あぁ、そうかい。ま、どうでも良いんだよそんな事。どうせ、この世界から出て行く事はできやしねぇしさ」


「――どう言う事だ?」


「教えてあげても良いけどさぁ、意味無いよ?だって、アンタ今から俺達の慰め者になって死ぬ運命だしさ?」


「お前達如きに、私が犯せるとでも?」


「いいね、いいね?そういう、気の強い女は好きだよ、本当に――」


『――動くな!国防陸軍だ!両手を頭に乗せ、その場に跪け!』






異世界学兵奮闘記

Mission:06 「OK,把握した」






「な、何だ!?何なんだよ、これは!?」


あー、ウゼェ。何で7人も居るんだよ。一人、仕留め損ねたじゃねぇか。


「クリア!……やるねぇ、進藤ちゃん。全員、ド頭と顔面に必中してるよ」


「安西、生死確認なんてしてないで、梅沢の所へ行ってやれよ……鬼の様な形相して彼氏待ってんぞ?」


「うぞ!?」


おうおう、安西の野郎、ド派手に蹴られてんなぁ……

まぁ、眼の前で縛られたままの彼女が居るのに無視して死体眺めてりゃ、怒るわなぁ?

……それはともかくとして、だ。

逃げ出そうとしたクソ野郎の後頭部に銃口を押し付ける。


「――おい、小僧。逃げられると思ってるのか?」





「ほら、さっさと知っている情報を全部吐きな!早くしないと、その萎んだ金玉抉り出すよ?」


「ハルちゃん、それじゃ甘いよ?ほら、拷問ってのはこうやって――ボギ『あぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!』――指を折る所から始めないと?」


ガクガクブルブル

やべぇ、マジ怖ぇようちの女性陣。

梅沢さん、なんで笑顔でサバイバルナイフ取り出してるんでしょうか?

斉藤さん、どうして貴方はそんな楽しそうに小指から順に指を折っているのでしょう。


「斉藤ちゃん、両手足の指が終わったら次は耳をそぎ落とそうか?」


安西、お前もか!?

いや、まぁ梅沢を拉致って暴行した挙句、犯そうとしたクソ共は死ねば良いのにーって思ってるがな。

しかし、喋らなねぇな、こいつ。さっきから悲鳴ばかり上げやがって……って、もしかして喋る暇も無く襲い来る傷みで自供所じゃないとか?

――仕方ねぇ、また脅すか?


「貴様等は下がってろ、これ以上やっても無駄だ。さっさと殺して別の奴に聞いた方が早い」


既に残弾数ゼロの9mm拳銃の銃口を、クソ野郎の口の中に突っ込んでやる。


「どうだ?嬉しいだろう?俺が引き金を引くだけで、その痛みから解放される――引いてほしいか?」


涙、鼻水、涎、そして血でグチャグチャになった顔を必死で横に振る男。

――やっぱり、予想通りこいつ等は軍人じゃねな。





「――つまり、お前等は修学旅行に向かう途中にバス事この世界に迷い込んだと?しかも、謎のステキ能力をその中の何人かが手に入れて"勇者"って崇められてる訳?お前はその一人で、他にも20人近く居るって?OK,把握した」


なんてこったい。こいつの話した内容は、俺の予想の遥か斜め上を鼻歌歌いながらかっ飛んでやがった。

まず、此処は"ライジング大陸"と呼ばれる大陸の最南端の都市、"ロメリア"から50km南にある"下級種"と呼ばれる者が住む集落らしい。

最も、あの加藤太郎とか名乗ったロリペド騎士が、"幼女が言うことを聞かなかったから"とか言うステキ過ぎる理由で地図上から姿を消したわけだが。

つまり、簡潔に説明すると――


ロリペド騎士が幼女を手篭めにしようとした

幼女、逃走。騎士、追跡。

残った奴等が"勇者"に逆らうとどうなるか、見せしめとして村人虐殺


こんな訳の分からん事がまかり通る世界ってのが、マジで怖いよ。

そもそも、こいつ等がこの世界に現れたのが3年前。修学旅行に向かう途中、高速道路の上から行き成りこの世界に召還されたらしい。

当初は、50人近くいて団体行動を取っていたが、数ヶ月もしないうちに内部抗争が発生。

特殊能力を得た奴等は、少人数ごとにグループを組んで、この大陸の各地を転々としているそうだ。

こいつらもひとつのグループらしく、リーダーはこの男――銅谷とかいうらしいが、こいつを中心に王家の紋章と勇者の力を盾にやりたい放題していたらしい。

しかし、ある日突然、その王家からお達しが出て、「新たに召還した者達を連れてこなければ、皆殺しだ」と言われたそうな。


まぁ、要するに子供が権力持つとどうなるかっていう最高のお手本だったわけだ。





「……なるほどねぇ、それで?内部抗争の理由ってのはなんだ?」


――内部抗争の原因、それは王家にあった。

そもそも、この世界に現れた原因は、この王家が召還魔法とやらを使ったかららしい。

理由は至極単純で、王家の力が弱まってきたから。

だから、その象徴として強大な戦力を呼び出す召還魔法を使用して反抗する者に圧力を加え、権力を維持しようとしたわけだ。

故に、王家はその力を手放したくないからこいつ等に"勇者"の称号を与え、自分達の庭の中でなら何をやっても見逃してきた。

その結果として、加藤や銅谷といった連中は暴走し、それに巻き込まれた奴等は反発し始める。

ギスギスし始めた所に、第三の連中が火種を放り込んだ。

第三の連中?この世界の現地住民と仲良くなって、王家のやり方に反発を覚えた厨二病患者達だよ。

奴等は、町に、宮殿に、城に、駐屯地に噂をばら撒き、暗殺し、策略を練って国家転覆を図った。

――が、上手く行かなかった。当然だ、相手は政治の――いや、独裁のプロだ。なんの経験も無いアマチュアが勇者(笑)の力なんかで太刀打ちが出来るはずも無い。

仮に成功したとしても、まともな政治運営が出来るとは考えられんからな。直ぐに武装蜂起した民衆に囲まれて終わるだろうよ。


クーデターは失敗し、勇者軍団はこの大陸の各地に散らばっちまった。

そこで、自らの力が低下した王家はどうしたか?

再び召還魔法を行い、自らの権力基盤の強化として俺達を召還した訳だ。




――まったく、本当に泣けるぜ。




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