2/3
キチガイ
はいどうも
俺の日常を紹介しようと思う。
といっても大したことはない。
強いて言えば、一日に三百回くらい絶望するだけだ。
理由は簡単だ。
俺には自由がない。
手も足もない。
いや、正確に言えば“動かすための意思決定権”がない。
目覚めは突然だ。
いつも暗闇の中から始まる。
「……今日も、か。」
誰に聞かせるでもなく、心の中でつぶやく。
声帯なんてものは存在しないが、思考だけはやけに鮮明だ。
俺の一日は、だいたい同じ流れで進む。
暗闇。
移動。
衝撃。
そして、精神の摩耗。
たまに天井が見えることがある。
その瞬間だけ、世界はやけに広い。
(ああ、空ってあんなに遠かったっけ。)
前世では当たり前だった景色が、今は奇跡みたいに感じる。
そして俺は悟った。
人間とは、いかに恵まれていたかを。
自分の足で立ち、
自分の意志で歩き、
自分のタイミングで絶望できる生き物だったのだと。
今の俺は違う。
絶望すら、強制イベントだ。
――それでも。
完全に壊れないのは、
どこかで「いつか終わる」と信じているからかもしれない。
あるいは。
この異常な日常の中に、
まだ俺の知らない“転機”が潜んでいると、
どこかで期待しているのかもしれない。
……まあ、今のところは来てないけどな。
さて。
今日の一回目の絶望が、そろそろ始まりそうだ。
ありがとうございました




