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メインヒロインの視界に入ったら即死? ~ギャルゲーの背景キャラに転生したので、魔法を極めてログアウトを目指す~  作者: 沼口ちるの


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第39話:VS 処刑人デスサイズ ~透明な少女と、勘違いの神~

「……兄様、最後の一人は死神の二つ名を持つ暗殺者だそうです。ですが、あのような不浄な刃が兄様の視界に入るのも不愉快……。ミナ、貴女が行きなさい。兄様の『静寂』を汚した罪、その身で贖わせるのです」


「えぇっ!? 私!? ……う、うん、分かった……。ロランくんがゆっくりお掃除できるように、頑張ってみるね……」


裏山の影。ついに現れた四天王最強の刺客、「処刑人デスサイズ」。彼は姿を消し、空間そのものを切り裂く鎌を手に、ロランの背後へと忍び寄っていた。


「ククク……。この俺の気配を察知できる者はいない。さらばだ、名もなき少年。お前の命、ゴミのように刈り取って――」


デスサイズが漆黒の鎌を振り下ろそうとした、その瞬間。


「……あの、すみません。そこ、ロランくんが今から掃き掃除するところなので、どいてもらえますか?」


「なっ……!? 貴様、いつからそこに!?」


デスサイズの真後ろに、いつの間にかミナが立っていた。彼女は攻撃の意図すらなく、ただ掃除の邪魔にならないよう、親切心で声をかけただけだった。


「(……ミナ、お前、そのままだと危ないぞ)」 俺はホウキを持ったまま、内心ハラハラしていた。だが、デスサイズの目には、ミナの「ただ影が薄いだけ」の存在が、「極限まで練り上げられた神域の隠密」に映っていた。


「バカな……。俺の背後を、呼吸一つ乱さず取っただと!? ……おのれ、消えろ!」


デスサイズが狂ったように鎌を振り回すが、ミナは「あ、危ないですよ?」と、そよ風のようにひらりと身をかわす。彼女にとっては日常の回避運動だが、デスサイズにはそれが「未来予知を伴う究極の歩法」に見えていた。


「(……ロランくん、あの人、一人で空振りしてて疲れちゃったみたい……)」 ミナが風を少し操って、デスサイズの足元を「お掃除」感覚で払う。


「ぐわぁぁっ!? ……な、なんだこのプレッシャーは……! この少女すらこれほどの怪物……。ならば、あのホウキを持って平然と構えている少年は、一体どれほどの……ッ!」


デスサイズが俺を見た。 俺はただ、「早く掃除終わらせて帰りたいな」という虚無の表情で、ホウキのゴミをパッパと払っていた。


「……ッ!? あ、あれは……! 掃き捨てる動作一つで、俺の存在そのものを『塵』として定義しているのか!? おのれ、怪物どもめ! 覚えていろー!!」


精神的に限界を迎えたデスサイズは、一太刀も浴びせることなく、恐怖のあまり異次元へと逃げ帰っていった。


祭り上げられる「沈黙の賢者」

「……終わったか。よし、掃除再開だな」


俺がホウキでサッサと地面を掃き始めた、その時だった。


「……見たか! あの少年がホウキを一振りしただけで、最強の四天王が逃げ出したぞ!」 「なんと神々しい……。殺気すら見せず、ただ『掃除』という日常の動作で魔族を排斥するとは……!」


瓦礫の陰で隠れて見ていた騎士団や生徒たちが、一斉に飛び出してきた。


「ロラン殿! 貴方こそ真の救世主! 汚れなき『沈黙の賢者』だ!!」 「ロラン様の掃いた後の道には、魔が寄り付かないというのか……! 拝ませてくれ!」


「いや、ただの掃除だって! 寄るな! 拝むな! モブに構うなぁぁ!!」


俺の必死の拒絶も、「謙虚さの極み」として解釈され、翌日の新聞には【掃き清められた絶望:謎の少年ロラン、四天王を塵として扱う】という特大の見出しが躍ることになった。

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