表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メインヒロインの視界に入ったら即死? ~ギャルゲーの背景キャラに転生したので、魔法を極めてログアウトを目指す~  作者: 沼口ちるの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/40

第34話:聖母の嫉妬、影を暴く

「……兄様、少し耳を貸してください。最近、あの影の薄い小娘ミナが、王国の裏社会で『白き影』などと持て囃されているそうですね?」


裏山でパンを食べていた俺の背後に、氷点下の殺気を纏ったフィオナが立っていた。その手には、諜報部員が落としたと思われる「ミナ様・隠密教本(極秘)」が握りしめられている。


「フィオナ、落ち着け。ミナはただ、お昼寝の場所を確保しようとして諜報部に絡まれただけなんだ」


「……兄様の影は、この私だけで十分です。それなのに、あんな頼りない風使いに『影の頂点』の称号を奪われるなど、モール家の名が廃ります」


フィオナの瞳に、兄への独占欲とライバル心が混ざり合った、かつてないほど危険な火が灯った。 彼女はそのまま、王家直属諜報部「影のカラス」の本部へと、正面から堂々と(物理的に壁を壊して)乗り込んだ。


諜報部本部:静寂の蹂躙

「止まれ! ここは王国の最重要機密——」


「……うるさいです。私の兄様の影に相応しいのは誰か、分からせてあげます」


フィオナが軽く指を鳴らすと、本部全域に「強制可視化」の魔力が吹き荒れた。 隠れていたスパイたちの光学迷彩が剥がれ、天井裏や床下に潜んでいた手練れたちが、次々とボロボロと畳の上に転がり落ちる。


「なっ!? 我が部隊の究極隠密が、ただの魔圧で……ッ!」


「隠れるから見つかるのです。存在そのものを『無』として定義しなさい。……例えば、こうです」


フィオナがその場から消えた。 ミナのような「気配の遮断」ではない。彼女は自らの存在を周囲の認識から「最初からいなかったこと」として強制的にキャンセルしたのだ。 隊長が冷や汗を流しながら辺りを見渡すが、フィオナの姿はどこにもない。だが、彼の首筋には冷たい剣の感触が。


「……気づきましたか? これが私の『影』です」


「(……ロラン、あの子。ミナに対抗して、自分の魔力を『認識阻害』に特化させ始めちゃったわよ。もう誰も勝てないわ、あの身内喧嘩)」 アリスが遠くから望遠鏡で眺め、呆れ果てたようにヤカンを置いた。


ミナ、困惑の「影の頂点」

「……あの、フィオナちゃん。私、別に影の頂点になりたいわけじゃなくて……。お昼寝がしたいだけなんだけど……」


そこに、諜報部員に「隠密の極意(ただの昼寝術)」を教えていたミナが、おどおどしながら現れた。


「ミナ。あなたには負けません。兄様の隣で、誰よりも目立たず、かつ誰よりも完璧に不届き者を消すのは、この私です!」


「……えぇ……。じゃあ、私は二番目でもいいよ……?」


「それも許しません! 二番目ということは、私が油断した隙に兄様に近づく可能性があるということでしょう!」


(……理屈がめちゃくちゃだよ、フィオナ……!)


結局、諜報部は「気配遮断の天才ミナ」と「認識改竄の怪物フィオナ」という二大巨頭の板挟みに遭い、その日のうちに組織の体制が崩壊。 部員たちは「隠密とは何か」という哲学的な迷宮に迷い込み、全員が修行のために山へ籠もるという事態に発展した。


俺の平穏を守るための影たちが、お互いを意識しすぎるあまり、王国の裏社会を完全に更地にしてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ