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メインヒロインの視界に入ったら即死? ~ギャルゲーの背景キャラに転生したので、魔法を極めてログアウトを目指す~  作者: 沼口ちるの


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第28話:騎士の道は、暴力の先にある(嘘)

「兄様……。私、やはり1位になれる気がしません。昨日の夜も、どうすれば団長の首を『効率的に』獲れるかシミュレーションしたのですが、あと一歩が届かないのです……!」


裏山で、フィオナが真剣に暗殺の……もとい、下克上の計画書を俺に見せてきた。その内容は「地形を崩壊させて埋める」だの「食事に禁忌の魔導書を混ぜる」だの、もはや騎士の戦いではない。


俺はこのままでは騎士団が、あるいは王国そのものが妹の手で「更地」にされると確信した。


「……フィオナ。お前がなぜ、あと一歩で1位になれないか、その理由が分かったぞ」


俺は腕を組み、いかにも「すべてを見通した賢者モブ」の風貌で告げた。フィオナは、神の啓示を待つ信者のような目で俺を仰ぎ見る。


「えっ!? 理由……ですか? やはり魔力出力の同期率が……?」


「違う。……フィオナ、お前に足りないのは『強さ以外のすべて』だ」


「……強さ以外の、すべて?」


俺は深く頷いた。


「いいか、騎士団はただの格闘集団じゃない。部下を導く人望、貴族との交渉術、市民からの信頼、そして……『あいつについて行きたい』と思わせるカリスマ性。それらすべてを兼ね備えて初めて、1位という椅子に座る資格が得られるんだ。暴力だけで座る椅子は、ただの『針のむしろ』だぞ」


フィオナは雷に打たれたような顔をした。


「……そ、そうだったのですね。私は、倒すことばかり考えて……。人望……交渉……市民への愛……。それらがないから、私は5位で止まっている……!」


「そうだ。だからフィオナ、今すぐ騎士団に戻り、強さではない『騎士の在り方』を学んでこい。剣を振る時間を半分にして、茶会に出たり、市民の猫を探したり、事務仕事を手伝ったりするんだ。それができたら……お前は本当の意味で1位になれる」


「分かりました、兄様! 私、学びます! 『最強のカリスマ』になって、全騎士と全市民の心を、逃げ場のないほど完璧に掌握してみせます!」


「(……いや、掌握じゃなくて、交流してほしいんだけどな……)」


フィオナは「カリスマの習得」という新たな、そして恐らく間違った解釈の目標を胸に、猛烈な勢いで騎士団寮へと帰っていった。


数日後。 騎士団から流れてきた噂によると、フィオナは「笑顔の練習」と称して、すれ違う騎士全員を**「(恐怖で)動けなくなるほどの殺意ある微笑み」**で釘付けにし、事務仕事では「(効率が良すぎて)全員の仕事が消える」という事態を引き起こし、市民の猫探しでは「(気配を察知しすぎて)街中の野良猫をすべて一箇所に集める」という奇行に走っているらしい。


「……ロラン、あんた。あの子に『人道』を教えようとして、逆に『全知全能の支配者』への道を歩ませてない?」 「……うん。フィオナちゃんが通るたびに、騎士たちが『聖母が現れた……!』って涙を流してひざまずいてるって聞いたよ。……物理的な暴力よりタチが悪いかも……」


アリスとミナの冷ややかな言葉が、俺の胃をキリキリと痛めつける。 俺のモブ生活を守るための「時間稼ぎ」は、着々と妹を「世界の女王」へと進化させていた。



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