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メインヒロインの視界に入ったら即死? ~ギャルゲーの背景キャラに転生したので、魔法を極めてログアウトを目指す~  作者: 沼口ちるの


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第12話:ギリギリを演出する技術(モブの矜持)

「マリアお姉ちゃん、手加減してね……!」


ミナが震えながら前に出る。 彼女の修行は「隠密」と「精密操作」に特化している。対するマリア会長は、学園最強のフィジカルエリートだ。



第一回戦:ミナ vs マリア

「行くわよ、ミナ!」 マリアが踏み込んだ瞬間、地面が爆ぜた。速い。 ミナは必死に風を操り、自分の体を軽量化して回避を試みるが、マリアの剣撃は風の動きすら切り裂く。


「ひゃぅっ!?」 数合も持たず、マリアの木剣がミナの喉元で止まった。


「……動きはいいけれど、体力が追いついていないわね。でも、ミナがここまで動けるようになるなんて!」 「うぅ……やっぱりお姉ちゃんには勝てないよぉ……」


ミナはあえなく敗退。だが、これでいい。ミナが勝ってしまったら、それこそ国家転覆レベルの騒ぎになる。


第二回戦:アリス vs マリア

「次は私ね。……『身体強化ブースト』!」 アリスが叫び、魔力を全身に巡らせる。 彼女の強化魔法は、実は「体内の水分圧力を操作して筋力を爆上げする」というえげつない代物だ。


ドォォォォン!! 木剣と木剣がぶつかり合い、衝撃波が周囲の草木をなぎ倒す。


「素晴らしいわ! Dクラスにこれほどのパワーファイターがいたなんて!」 「くっ……重たいわね、流石は生徒会長……!」


アリスは「ギリギリの接戦」を演出しながら、最後はスタミナ切れを装って、膝をついた。 「……そこまで。アリス、君の粘り強さには敬服するよ」 「はぁ、はぁ……負けちゃった。やっぱり……強いわね」


アリスは完璧な「惜敗」を演じきり、俺に目配せを送った。(あとは任せたわよ、という合図だ)


最終戦:ロラン vs マリア

さて、俺の番だ。 「身体強化」のみという縛り。だが、俺の強化は「全筋肉の収縮タイミングを分子レベルで同期させる」という、やはり変態的な効率化に基づいている。


「さあ、最後はロランくん。君からは、底知れない『静寂』を感じるわ。全力で行くわよ!」 マリアの剣が、神速の連撃となって俺を襲う。


(……一撃一撃が重いな。まともに受けたら「モブ」の殻が割れる)


俺はあえて、マリアの剣筋の「隙間」を縫うように動いた。 バチバチと火花が散る。俺は「必死に耐えている」風を装いながら、彼女の重心がわずかに浮く瞬間を待つ。


「はぁっ!!」 マリアの必殺の一撃。俺はそれを、紙一重でかわしながら――わざとらしく転びそうになりつつ、彼女の手首に軽く掌を当てた。 「おっと……!」


その瞬間、俺の魔力が彼女の「重心」をほんの少しだけ外側にずらす。 ガクッ、とマリアの体勢が崩れた。その隙に、俺の木剣が彼女の胸元に触れる。


「…………そこまで」 審判役のクラリス先生が、信じられないものを見るような声で宣言した。


「……私の、負けね」 マリア会長が、呆然とした後に、晴れやかな笑顔を見せた。 「すごいわ、ロランくん。最後の一撃、君の『転びそうになった動き』に完全に惑わされた。……君、本当はすごい実力者なんじゃないの?」


「いやいや! 運ですよ、運! ほら、足元にさっきのミナの風で飛んできた葉っぱが落ちてて、それで会長が滑っただけですから!」


俺は慌てて、地面の葉っぱを指差して誤魔化した。 「あはは……。じゃあ、俺、疲れたんで保健室行ってきますね!」


逃げるように去る俺たちの背後で、マリア会長とクラリス先生が何やら真剣な顔で相談し始めているのが見えた。 ……どうやら「ギリギリの勝利」は、逆に「一番怪しい」結果を招いてしまったらしい。



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