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無期懲役 執行猶予なし

 下戸だし、嫌煙家だ。


 そして少食で、夫に買い与えられたエアロバイクを漕いでいる。


 高卒で学がないコンプレックスを埋めようと、資格取得の勉強をしたり、栄養バランスのよい食事を心がけている。


 心身共に良い生活を普段から心がけていると、一体どんなことが起こるか?


 最大のデメリットは健康診断で不調が見つかった際に、一切の猶予なく投薬治療に突入することである。


 身をもって知った。


 それは、高血圧で引っかかってしまった時のことだ。


 私はかかりつけ医に必死に訴えた。

 この結果は偶然だ。職場の健康診断の会場が階段を上がった4階だったせいだと。


 普通なら、とりあえずお酒やタバコを減らしましょうとか、運動して体重を落としてみましょうとか、ワンクッションがあるはずなのだ。


 不健康の最大のメリットは執行猶予があることだ。


 ところが、非の打ち所がない生活をしていると、もうまるで打つ手なしと言った感じで、医師は「とりあえず、弱いお薬から始めてみましょう」と告げた。


 その事態は、私の健康管理の努力に相応しくない、理不尽な構造を呈していた。


  その日、私は下戸でベビースモーカーの夫に真剣に相談した。「執行猶予」を手に入れるためにはどうするべきか。


 手っ取り早いのは、食生活における堕落ではないかと、私は主張した。


 挙げ句の果てに、以前夫が、私が痩せたら世界を占める私の割合が減るなどと惚気ていたのを持ち出した。


 興奮気味の私に、夫が「血圧上がるよ」と呟く。


 健康というゴールから外れないために、不健康を装おうと興奮し、その結果、高血圧という現実を悪化させるという、この上なく本末転倒な状況に陥っていた。


 これもう、四捨五入したら不健康なのでは?


 私は、今後飲み続けるあろう「弱いお薬」を静かに見つめた。


 当面の目標は「弱いお薬」を「もっと弱いお薬」にすることだった。


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