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初の専属医師


 異変に気づいた護衛や王が急いで駆けつけてきたが、獅子(しし)のような身体にむき出しの牙をもつその魔獣は、侍女を押さえつけていた片足のみが消え、それ以外は生命の源ともいえる核が消滅した状態で倒れている。




 むぅ、やっぱりまだ魔力が少ないのね。本当なら存在そのものを消すつもりだったのに……


「これは……それより、リアっ!! 無事か!?」


「王女様!!」


 王はすぐに私を抱きしめる。踏みつぶされそうになった侍女も、怪我はしているものの気を失っているだけのようだ。


 別に、お世話係を助けようとか、そんなつもりはないんだけどね、まぁ、足が先に消滅したのは……きっと偶然だわ。この私が人間を助けるなんてありえないもの。



「申し訳ありませんっ、このような魔獣がここまで襲ってくるとは……」


「早急に警備体制の見直しをしろ。だがそうだな。こいつは強力なエネルギーに反応して食するタイプの魔獣だ……知能こそ低いが、その素早さは一級だ。狙われた者は、その存在に気づいた時には既に食べられるほどの素早さと聞くが……」



 皆、一体魔獣に何が起こったのか分からないようだ。


「とりあえず、王女様の安全を確保しろ。この死体は、宮廷監査官にまわしておけ」


 護衛たちが騒ぎを片付けているのに対し、王はただ黙って私を見つめる。


「リア……まさか、いや、まさかな……」



 あ、まずいわ……この身体ではやっぱり負担が強かったみたい、眠気が……


 王に抱かれたまま無防備になるのは悔しいが、そのまま深い眠りに落ちる。







「ん……」


 もう朝なのね。朝食は何かしら、ようやく食事らしいものが最近出されるようになったから、目覚めも良いものだわ。そうね、フルーツって気分かしら。さぁ、人間!! 私に甘いフルーツを捧げなさい!!


「あぁ、リア起きたか。おはよう」


「ぶっ!?」


 そう言ってその男は軽々と抱っこをする。なんであなたが……王がここに!?


「あうえっ!? あうあ!!??」


 「おぉ!! パパと言ったのか!!!! なんということだ、ついに我が娘が……パパと……」



 全く違うわ!! どんだけ都合の良い頭しているのよっ!! まったく……昨日は確か、この身体に生まれて初めて魔法を使ったのよね……そしたら急に睡魔が襲ってきて、まさか一緒に寝ただなんて……なんてこと、無防備なところを襲うチャンスだったっていうのに……


「ハハハ、何を難しい顔をしている。はっ、それとも昨日のトラウマか!? 何ということだ……もしそうならすぐに医者を……誰か!! 誰かすぐに医者を連れてまいれ!!」


 落ち着きなさいっ!! あんな小物を私が怖いなんて思うわけないでしょう!? 


 だが、すぐに駆り出された医師による問診で、朝食時間が遅れることになってしまった。


「……どうだ!? 娘は心に大きな傷が出来てしまってはいないだろうか!?」


「…………」


「深刻なのかっ!?」


「…………」


「我に言えぬほど大きな問題を抱えているのかっ!?」


「陛下、落ち着いて下さい……診察が出来ません」


「む…………」



 朝食が遅れたことは残念だけど、この男を黙らせたのは悪くないわね。でも、この医者? とかいう男、医者のわりに歳がそんなにとっているようには見えないわね……人間のできる医者って、もっと歳をとっているイメージだったわ。


 医者と呼ばれる男は、実際王と歳が近いように感じる。少し長めの髪を後ろでくくり、眼鏡をかけている。静かに座る私をいくつか触診したあとは、何か考えらようにこちらを見つめている。


「……見たところ、王女様は特に精神的ショックを受けているようには見えません。ですが、年齢に対して少し、いえ大分ずれた印象がございます」


 この男っ!? 私の正体に気づいた!?


「ずれているとは、どういう意味だ!?」


「いえ、まだ初対面ですので一時的な人見知りという可能性もありますが……」


「なるほど、初見では断言できないということだな」


「恐れながら……」


「分かった、ではお前がリアの専属主治医となれ」


「はい……え?」


「もうすぐで1才になる。ちょうどリアの環境を変えようと思っていたところだ」

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