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狐の嫁入り 二部〜機械ノ音〜  作者: 杉崎 朱


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十五話 狐の嫁入り〜機械ノ音〜

狐の嫁入り〜鈴の音〜の続き、第二章。

鈴の音で登場した”イッセイ”を主人公とした物語。

舞台は、”カナン”が帰った後のお話。

「・・・鍵なら抜けばいい。・・・引き金なら折ればいい」



「どうした?イッセイ?」


「鍵なら引き抜けば良い、引き金なら折ればいい」

「もう一回言うぞ、どうしたイッセイ?」

おじいちゃんの質問に、イッセイはつらつらと答え始めた。


「発動条件である”鍵”は『自身が異世界人と言う認識、自認、自覚』。何度かこの世界の人間だと訴えるたびにピアスから静電気みたいなノイズみたいなものが発生してたんだ」

「わしも見た」

「それが段々大きくなってった。この認識こそが魔法発動の鍵ならば、その鍵を外してはどうだ?一度発動した魔法はそのまま発動し続けるのか、条件を”満たし続けている事が条件”なのかわからない。鍵である『認識、自認、自覚』が無くなれば魔法が止まる可能性もあるかもしれない」

「あんだけ説得して今更どうやって?」

「【自分が異世界人だという認識、自認、自覚】がない状態になれば良いんだよ」

「だからどうやってじゃ!」

「意識が逸れるぐらいじゃ意味ない・・・」


イッセイが考えていると神風が挙手をした。

「寝てもらうのは…?」

「太郎!!この状態で寝れるかい!」

「いや、それも手かもしれない」

「イッセイ本気?!」

「この状況では普通は寝れないからね。怖いから。だから魔法が発動し続ける。1時間なんてあたふたしてたらすぐだよ。一瞬の思い込みならさっきみたいな完全な魔法の発動じゃなくてノイズの発生だけで終わる。あのピアスおかしいと思ったんだ。子供の耳には大きすぎる宝石と付属の飾り、魔法を発動させたのは宝石の方、宝石に魔法が掛けられてるんだと思う。脳波か何かがシンクロしてるか情報を盗み取ってる状態だよ。ピアスに繋がってるタイマー付きの本体には源動力がないから、魔法が発動した宝石の力が原動力となって動いてる。だから、宝石から発生してる魔法の発動が止まれば爆弾も止まる。…という一つの仮説だね」


「では、最初に宝石を破壊すれば良いのでは?」

イッセイの説明に、リリ救出への希望の兆しが見えた気がした最上が案を出す。

「原動力が突然途切れることと魔法が止まるのは一緒とは限りません。魔法が発動中に宝石を破壊したらタイマー関係無しに事が起こるように仕組まれている可能性があります。破壊をするなら魔法が止まってからの方がまだ安全です」


「じゃぁやっぱり寝かせるのが一番っつー事かえ?」

「しかし、どう寝かす?」

「普通にしてたら寝れないでしょう。じいちゃん、あの、首トンってするヤツは?」

「乱暴は…!」

首の頸動脈へ衝撃を与えて気絶させようという案を出したイッセイに、最上が止めにかかった。

「そうだな、おじいちゃんがやると、この通りスーパーマッチョだから首の骨を折りかねない!よって、お前さん自分でやるといい。まぁ、イッセイの仮説が当たって魔法とやらが止まるかどうかはわからんけどな」

そういって、おじいちゃんは最上の肩を”っぽん!”と叩いた。


「眠らせる発明とかないのか?」

「わし、自ら寝ない事あっても寝れない事とかないから」

「副交感神経操作の機械はあるけどこの状況じゃ効きずらいだろうなぁ」

イッセイも首への衝撃以外の眠り方を考えるが、この事態、この興奮状態では、リラックスして眠るなんて事はまず出来ない。

そんな時に、部屋の中からリリの声がした。



「ねぇ!!」



大人たちは一斉に部屋に戻った。


「ねぇ!あとこの表示されてる時間ちょっとしかないけど、これ止まったりするの?」

「あとちょっと?」

おじいちゃんが疑問に思って聞き返す。

「これ残りの時間でしょ?あとちょっとじゃない」

リリ本人からタイマーは見れない。おばあちゃんが持っていた鏡で文字を見ている。反対に写っているから見間違えているのではないだろうかと思うイッセイ。


イッセイは自分のアナログ時計の秒針の進みを見た。

アナログ時計の秒針と、リリの耳のタイマーの秒数であろうところの進み具合は見たところ同じである。

タイマーはデジタル式の表示であるが、時・分・秒の並び具合はこの世界のデジタルとほとんど一緒である。


リリにも自分のアナログ時計を見せた。


「この等間隔で動いている針を、”秒針”と言います。秒針が1つ動くことを”1秒と言います。

 秒針が一周で”60秒”そして、60秒になると一回りするので単位が変わります。秒から分になります。

”60秒”は”1分”です。


このタイマーは、この世界での時間で言うと、残り何周分?何分?」


捲し立てるように言ってしまったが、今は残りの時間がわからない事には対処ができない。リリの理解力が高いことと、計算が早い事を期待してイッセイが聞く。


「・・・ならあと3分」

「はぁ?!」

おじいちゃんは自分の予測していた60分が大きく外れて驚く。予定ならまだ30分はあるはずだ。

「時間の読みを間違えたか」

最上はまたも顔を青白くさせた。

「どうすれば?!」

神風も焦る。

「もうやるしかない、とりあえずやる」

イッセイは決心して、首への衝撃を自分が与えるしかないと考えていたその時、


「時間、減りが時々早かったの!!残り50分?くらいからいきなり数十分分も減ったり・・・!」

リリがとんでもないことを言った。

「その時点で言わんかい!!!」

「だってまだイッセイが部屋にいる時からだったから、皆んなわかってるんだと思ってあっ!また減ったあと1分しか」

「1分!!!!!無理じゃわい!!!!!」

おじいちゃんが破顔した。






その瞬間、神風がリリの首に手刀を落とした。






「すみません・・・最上さん」

言って、気を失ったリリを支えた。上司である最上の娘に、圧をかけたり言い負かして大泣きさせたり、拳銃を向けたり、発砲した挙句に手刀だ。もうこれ以上罪悪感を彼に感じさせたら可哀想なほどである。



リリが気を失ったのをイッセイが間近で確認をした。そして、耳元のタイマーの秒数の進みを見る。

仮説が外れてタイマーは止まらないか?思った矢先、進みがゆっくりになった。そして、数秒もしないうちにタイマーが止まった。

そしてタイマー表示自体が消えたのである。


その隙に、イッセイが現在の”宝石”と”タイマー”の関係を見る。

宝石からの原動力の供給がされてない。宝石から、飾りの部分へ流れていた何か・・魔法の動力の流れが機械で感知できない。つまり



「取り外すなら今だ・・・!!」



リリからピアスを外す事、また、ピアスの宝石と、タイマーを外す2工程をしなければならない。

しかし、イッセイがどの工具を使ってもピアスが外れない。


この世界では一般的な作りであるピアスのように、針を受け止める金具がついていない上に、針部分はあまりにも太く、境目もない。つまり、”元々外す気などない、外れない仕組み”であった。


「イッセイ!切断しろ!壊せ!壊せ!」

おじいちゃんが破壊命令を出す。

「だめだ!ピアスが耳に近すぎるし、針が太過ぎてどの工具も切断機も入らない!!!」


そうこうしている内に、リリが身動ぐ(みじろぐ)。

「目覚ますの早くねぇか?!まずい!イッセイ!起きそうじゃ!」

言っている時に細かいノイズが発生した。

「起きたらタイマー動くぞ!」

おじいちゃんから催促されるが、切れない、壊れないものは仕方ない。何か、何か他に方法は・・・とイッセイが考えていた時、先ほどは焦っていたから見逃していたのか、宝石の中に核を見つけた。

ピアスの角度によって核が見えなくなる。そして、その核からノイズが発生しているのが見えた。


「宝石の中に核みたいなのがある!!核だけでも壊せればもしかしたら止まるかも・・・!!」


またリリが身動いでノイズが発生した。

「早く壊せ!何がいい!?道具は何がいい?!何を取ってくる?!」

「どの工具も、こうも耳と接触されてたら何も使えない・・・!!」


しかし、時は止まらず刻一刻と迫る。次にリリが身動いだ時には、ノイズがさらに大きく出て、その瞬間だけタイマーがまた浮き出てきそうになった。

「一部だけを狙える、耳を傷付けない工具・・・何か、何か」




イッセイが何か手はないかと独り言を言っている横で、神風は意を決した。




「もう無理じゃぁあーーー!!!」

おじいちゃんが次のノイズを見て叫んだ時、神風がリリを抱え直した。

しゃがみ込み、左腕一本でリリの頭を抱え込んだのである。


「皆さん、耳を塞いで!!!」

「なんじゃ?!太郎?!」

「神風。どうし」


最上が神風に問いかけたその時だった。





《パァアアーーーーーーーン》




右手に拳銃を持った神風がリリに向けて発砲したのである。



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