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第九話 将棋部2

 部長はくせ毛なのだろうか、髪の毛が跳ねている眼鏡だった。この中で将棋が一番強そうな見た目をしている。これは真里にとって強敵になることは間違いないだろう。


「部長は将棋対局アプリで五段の実力……部長に勝てたら長谷川さん本物ですね」

「そんなに強いんですか?」

「ええ、俺は奨励会に入ってもやれると思っています」

「奨励会?」

「はい、プロ棋士育成機関みたいなものです。そこで四段になれたらプロに入れますからね」

「なるほど……」


 つまり、彼に勝てたら真里は本格的に強いという訳か。


「彼女にはぜひうちの部活に入ってもらいたいね。君からも行ってもらえませんか?」

「いいけど……あくまでもそれを決めるのは真里だからなあ」

「そう言えばあなたの意思とかって」

「ああ、まあ俺は真理の楽しそうな顔を見るのが好きだから」

「……好きなんですか? 彼女のことが」

「いや、それはわからない。けど……」


 好きかどうかなんてあまり考えていなかったな。今のところ真里に振り回されてばっかりだし。


「うーん」


 分からん。


「まあ、とりあえず、入部お願いしますよ」

「ああ。考えておく」


 とはいえ、確かに尾根くんの言う通り幸せそうな顔だ。本当にこの部活が真里の入るべき部活だったのかもしれないな。


 と、対局の方はどうなっているんだ?


 と、ふと盤の方を見る。よくわからない。たっだ、駒がかなりぶつかっている。この様子を見るに、激しそうだということが初心者の俺にも分かった。


「なあ、この局面はどっちのほうがいいんだ?」


 と、尾根さんに聞く。


「これは……よくわからない局面だ。長谷川さんが桂損をしているけど、部長は歩切れ。長谷川さんの方が楽しみな手はあるけど、部長の方が玉が固い。それをどちらか優勢と取るか」


 なるほど尾根さんでもこの局面……どちらが優勢かわからないのか。


「まあでも、俺は真里を応援するだけだから」

「僕は悪いけど、部長を応援させてもらうね」

「まあそれはこちらとしてはどちらでもいいんだが」


 まあどちみち尾根くん的に部長じゃない人を応援するなんてことはそもそもないと思ってたし。しかし、本当に将棋のルールを知っててよかった。そうじゃなければこの局面の子とは全く分からなかったし、全く面白くなかっただろう。まあとはいえ、初歩的なことしか知らないから、そこまで面白く見れているわけではないのだが。


「負けました」


 と、結局部長が投了した。その瞬間部活内から歓声が上がった。


「長谷川さんすごいよ、部長に勝っちゃうなんて」


 と、まず、尾根くんが褒めた。そして……


「やはりすごいな……君は」


 と、武藤さんが真里をほめ……


「まいった。強いんだね。まさか負けるとは思っていなかったよ」


 と、部長が言った。


「もし、君が入ってくれたら、我が部は全国大会に行けるかもしれない。どうか、入ってくれないか?」


 と、部長が勧誘を始めた。


「基本的にうちはその日に行われたプロの対局の寄付並べ、詰め将棋を作った人の詰め将棋を解く、あとは対局と言った感じだ。今日は寄付並べはやってはいないが、これから毎回やっていくつもりだ。入ってくれないか?」


 と、再び。


「それに君はまだ一年生だ。頑張ればプロキシになれるかもしれないし」


 と、さらに念を押す


「考えさせてください」


 と、真理は保留と言う選択をした。




「それで結局将棋部には入るのか?」

「うーん。入らないかな」

「なぜだ?」


 良い雰囲気だったのに。


「だって雅夫さん弱いじゃん。だったら一緒に楽しめないし……」

「俺のことは気にしなくてもいいんだぞ」


 そもそも真里のために部活に入るようなものだし。


「いや、私は雅夫さんと一緒に楽しめる部活に入りたいの」

「そうか……ならいい。じゃあ明日の文芸部で決めるつもりか?」

「うん。それも含ま手考える。それは置いといて、昨日の約束忘れてはないよね」

「ああ、映画を見に行くっていう話だろ。ちゃんと覚えているさ」

「ならよかった。じゃあ行こ!」


 と、早速映画館に向かった。


 うちの家の近くの映画館と言えば、このショッピングモール内の映画館が有名だ。この映画館はショッピングモールと連携していて映画を見ることで割引などの恩恵を受けられもする。まあ今回は買い物するつもりはないけど。


「それで今回何の映画を見るんだ?」

「それはこれ!」


 その映画は『一夜の秘密』と言う、大人向けの小難しい恋愛映画だった。その内容は知らないが、どう考えてもラブコメとかではなく、大人の恋愛だ。当然キスシーンとかも出てきそうな映画だ。


「マジでこれ見るの?」


 女神が地上に来て一番目に見る映画じゃないだろう。これはさすがに。

そしてすぐに、レビューを軽く調べる。評価は高いようだ。だが、結局きわどいシーンがあるのには変わらない。


「お前って純粋か?」

「何の話ですか?」

「大人の恋愛って行けるのか?」

「たぶん行けますけど。何が大人の恋愛かは知りませんけど」


 やばいこいつにはこれ見せたらだめなやつだ。どうするか……まあ見えたらいけない理由なんてどこにもないのだが……最初は小中学生向けの恋愛…とかラブコメとかのほうがいいと思う。だが、それをどう伝えるか……ティアの意思も大事にしたいところでもあるし。よし、


「なあティア」

「何?」

「結構大人向けだから、もう少し対象年齢の低い人間の文化から始めるのがいいと思うが、ティアはどう思う?」

「うーん。私はちゃんとしたリアルのやつも見たいけど、そう言うんだったら雅夫さんのおすすめでお願い」


 と、大人向け映画は何とか避けられたようだ。


「じゃあこれなんてどうだ?」


 と、映画、『ミルクレープのラブソング』を選んだ。これは週刊雑誌の漫画で、恋愛漫画だ。とはいえ、かなりリアルだと有名でもある。これならば高校生レベルの恋愛を学べるだろう。それに実際観に行きたいとも思っていたしな。


「これ面白そうだね」


 と、この映画に決まりとなった。


「あ、でも、座席が空いているかどうかだな」

「あ、確かに」

「早速空いてるか調べとくわ」


 と、調べたところ、十八時半からのが開いていた。


「良かった。空いてたみたいだ」

「なら早速予約して!」

「ああ」


 と、予約ボタンを押せた。


「さて、十八時半までまだ二十分くらいあるな」

「じゃあさ、ゲームセンターに少し寄ろうよ」

「またか?」

「いいじゃん。また別でしたい奴があるの」

「まあとはいえ、そんなに時間はないから十分だけな。ポップコーンも買わなきゃだめだし」

「ポップコーン?」

「ああ、映画のお供だ」

「へー、まあすぐに終わらせるね」


 と、ゲームセンターに急いで向かった。


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