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第四話 女神様と部活見学

 そして翌日。


「おはよう。高塚」

「ああおはよう」


 教室に入ると山本君に挨拶をされた。


「ちょっと雅夫さん。友達にはならないんじゃなかったんですか?」

「挨拶もしたら駄目なのかよ!」


 完全に束縛されてんじゃねえか。


「俺としたらお前とも友達になりたいんだぜ、長谷川さん」

「じゃあ、雅夫さんに飽きたら考えます」

「それじゃあしばらくは俺は必要なさそうだな」


 と、山本君は笑う。いい人すぎるだろ。マジで。うちの真里がマジですまん。


「じゃあ二人きりでお勉強しましょうか」

「お、おう」


 教室の中だと、二人きりではないんだがなあ。


「じゃあ、世界史のクイズでもしよ! ちなみに私は女神だから、カンニングし放題だから勉強する必要もないんだけどね。でも青春がしたいからさ!」

「ああ」


 相変わらずすぎるなあ。今日も真里は。


「さてと、イスラム帝国対唐の戦争の名前は?」

「タラス河畔の戦争」

「正解! なら、アッバース朝の全盛期の王は?」

「ハールーンアッラシード」

「物知りだね! 雅夫さん」

「まあ、教科書の範囲だからな」

「ふーん、そうなんだね。まあ私は女神だからなんでも知ってるけど」

「女神って自称するの痛くないか?」


 と、山本くんがきた。


「あ、また来ましたね。何回来ても雅夫さんは渡しませんから」

「そういうつもりじゃねえよ。ただ、女神って自分で言ってて痛くないのかなって」

「私は女神ですから別にいいんですよ」

「はあ?」


 うん、これどうみても痛いやつだ。


「……まあそういうことにしてやるよ」

「そういうことにしといてください」


 と、山本くんは去っていった。あとでうちの真里がすまんってメッセージ送らないとな。


「そういえば、この学校部活動あったよね」

「ああ」

「私やってみたいです」

「……そうか……」


部活か。考えたことなかったな。


「雅夫さんも協力してくれますよね」

「ああ、とはいえ何がしたいんだ?」

「何がしたいか……ですか?」

「だってそりゃあ部活動は何かやるもんだろ?」

「それは……決まってない……」

「決まってねえのかよ」

「でもきっと雅夫さんとだったらなんでも楽しいと思うしなんでもいいよ!」

「そういうもんじゃねえだろ……とりあえず二人で考えるか」

「わーい」


「とりあえずだな、この学校にある部活は日本文化部、演劇部、茶道部、生花部、将棋部、文芸部とかか?」


 と、部活動をまとめたパンフレットを真里に見せる。たまたま、新聞部が作っていたのがあって良かった。


「うーんどれもピンとこない」

「じゃあ新しい部活作る? なんか人気そうでここにないのは、歴史研究部、クイズ研究会、日本遊戯研究部とかか?」


 分からんけどメジャーっぽい部活をとにかく出す。とりあえず部活は楽しかったらいい。先生の認可が降りるかどうかは後で考えたらいいのだ。ちなみに運動部はだめだ。真里とは一緒にはできないし、そもそも俺は運動はしたくない!! 音楽系も同様の理由だ。


「じゃあ……日本文化研究会?」

「なんで疑問系なんだよ」

「まだ分かってないから」

「まあいいや、とりあえずそうとして、部活動は五人以上いなきゃならないんだ」

「え!?」

「そりゃあそうだろ。一人でも特例で出来る部活もないことにはないが、大体それだと、部活の必要はないよねってなるからな」

「そうなんだ。人間って大変だね」

「だから五人……俺たちには難しい問題だ……特に俺はコネクションがない」

「あ、ぼっちでしたね。そういえば」

「うるせえ」



古傷をえぐるな。


「感謝してください」

「ああ、ありがとう。それで本題に戻るぞ。俺たちにはコネクションとかがない。だからとりあえず、見学に行ってみないか?」

「部活を選ぶために?」

「ああ」

「わかりました」


 それにまだ五月。そこまで部活も本格化していないはずだ。となれば今参加しても除け者みたいなことにはならないだろう。


「じゃあ放課後どこの部活を見に行くかだな」

「どうします?」

「とりあえずお前が決めていいぞ」

「じゃあとりあえず全部見に行きますか!」

「おう」


 そして一日目は演劇部を見学することになった。顧問の先生から許可をもらい、見学できるようになると言った仕組みだ。


「お邪魔します」


 と、入って行った。そこにはおよそ一五人程度の部員がいた。演劇部にしてはそこまでは部員はいないようだ。とはいえ劇は十分にできるだろう。


「ようこそ!」


 と、歓迎された。その感じだと部員が欲しいというのは目に見えて取れる。とはいえ実際演劇と言うのは人数が必要と言うイメージはある。

 劇ではないが、ドラマなどにはかなりのエキストラが出ているのを知っている。それに劇の裏方もかなり必要だろう。


 軽く見積もっても、音響や演出、小道具、ほかにもいろいろな道具が必要になってくるだろう。


「今は短い五分から一〇分間の劇をやってるところなの」


 と、部長が言ってきた。


「その中で演技力を上げて、三月に一時間半程度の劇をするの。今はその準備っていう感じ」

「なるほど」


 一時間半。つまり映画分程度の長さはある。そこから考えると結構本気だということが分かる。


「今年は新部員が三人しか入らなかったから、もし入ってくれるのならうれしい!」

「まあ入ると決まったわけではないですけど」

「そんなことはいいからやってみたい!」


 と、真里がそんなことを俺の目をまっすぐに見ながら言ってきた。


「そう焦るなよ」

「えー。何か早く青春みたいなことをしてみたい」

「まあとりあえず今日する劇を決めることから始めるから」

「わかった」


 と、早速俺たちにとって初の部活体験が始まった。


「今日やる劇はこれね、王様だーれた。ジャンルとしてはホラー系だけど、結構お笑いもその中に入っている感じね。他のみんなも負けないように頑張ってね!」

「はーい

「わかった」

「負けないぞ」

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