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行間を読む殺人事件

作者: みなもとあるた

「さて、この屋敷のご主人が殺害されたのは昨日の夜8時頃ということが判明したわけですが、その時皆さんが何をされていたか、アリバイを確認させていただいても?」


「夜8時といえば、私達家政婦はちょうど夕食の片付けをしていた頃だと思います」


「全員が同じ部屋にいらっしゃったんですか?」


「いえ、一部の若い者は、旦那様の命令で…その、夜のお世話を…」


「あっ、家政婦さんはそういうお仕事も…」


「あと、私たちのアリバイとはあまり関係がないのですが、昨日の夜8時くらいですと、旦那様にお客様が見えていたかと思います。噂によると旦那様には奥さん以外にも、その…」


「ああ、そういう関係の方が…」


「その方はこの屋敷の合鍵を持っていますので、裏口から入って廊下を通っていけば、誰にも見つからずに旦那様の部屋へたどり着くことができると思います」


「そうですか。仮に外から何者かが侵入していたとしたら足音が聞こえたのではないかと思いますが、何か不審な物音を聞いた方は居ませんか?」


「私達夫婦はずっと部屋に二人でおりましたので、残念ながらアリバイを証明することは難しそうです。ただその…仮に廊下で物音がしていたとしても、おそらく1時間くらいは気付けない時間帯があったかなと…」


「ああ、なるほど、そういうことですか…」


「僕はアリバイを証明できると思いますよ。ずっと知人の男性と電話していましたからね」


「その男性の連絡先を教えていただいても?」


「あー…それは構いませんが、彼と通話するなら、まずは組の事務所の若い衆に繋ぐ必要があって…」


「あっ…でしたら連絡先は結構ですよ」


「俺にもアリバイはあるぞ!被害者の死亡推定時刻には、俺は友人と一緒に浦安のテーマパークに居たんだからな。ほら、この写真にも写ってるだろ?俺達の隣にミッ…」


「あっ、それ以上は結構ですよ。よくわかりました。ところでご友人というのは、その男性一人だけですか?」


「まあ、な。俺とそいつで、昨日から今朝までずっと一緒に…」


「あっ、そういうことでしたか。では、他にこの事件に関係していそうな人物にどなたか心当たりはありませんか?」


「それなら例の旦那様のところにいらっしゃっていたお客様のことなんですが、彼女はいつも専属の運転手を連れてこの屋敷に来ているみたいなんです」


「なるほど…その運転手の特徴は分かりますか?特に髪型とか」


「えっと…髪型は短髪…といいますか髪型が無いと言いますか、地肌が見えるくらい短い髪型をされているというかなんというか…」


「あっ…そうですか…」


「そういえば、その運転手が都内のとある事務所に入っていくところを家政婦の一人が先日目撃したそうですよ」


「えっと、事務所というのは、先ほど話の出た、どこかの組の…?」


「いえ、亡くなった先代の社長の行動が最近大問題になってる、あの有名なアイドル事務所の…」


「あっ…」


「でも、その事務所ってさっき話が出た組の事務所とも裏で繋がってるんじゃなかったか?」


「ああっ…」


「じゃあその運転手の男って、やっぱりその組と繋がっているんじゃないですか?確か昔に違法な植物の栽培をして捕まったことがあると聞いたことがありますし…」


「ああ…」


「とある中古車販売店で修理代をぼったくられたとか騒いで警察沙汰にもなってましたっけ…」


「あー…」



「えーと、とりあえず私の方でいろいろと推理したところ、大体真相がわかりましたので報告しますね。今回の事件は、被害者と『関係のあった女性』が合鍵を用意し、それを使って『髪型が特徴的な運転手』が屋敷の裏口から侵入し、『ご夫婦が物音に気付けなかった時間帯』に廊下を通り、『夜のお世話』が終わった後の被害者と『植物』の取引をしようとしていたところ口論になり、被害者を殺害したあと『とある組の事務所』と『あのアイドル事務所』の力を借りて証拠を隠滅しようとし、さらにはこの屋敷に来るときに乗っていた車も『例の中古車販売店』に売ることで痕跡を消そうとした、と…まあそんな感じの事件だったわけですね」


「すごいな探偵さん。いつの間にそこまでの調査を進めることができたんだ?」


「それはまあ…行間でうまいことやりましたので…」



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― 新着の感想 ―
[良い点] タイトルと内容が絶妙で声を出して笑いました。
[良い点] 「あっ」と察する部分がとにかく笑えました [一言] いいですね テンポも落ちも良くて素直に笑えました
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