26食目:ゆうようなしょくりょうしげん
「……で、グラナの実はお鍋の中で木べらで潰して、辛さは水で伸ばして調節。味付けは塩とハーブ。ハーブは好みのもので、っと」
「これもビブラの実みたいに天日干しして、カラカラのままになったのを保存しておけば、長期保存出来るんだって、あとグラナの実を辛くしている栄養は身体をあっためる力があるから、冬に食べるといいって、メルは言ってたよ」
ボクとコルザおねえちゃんは、あの後三つのベリーの他に、普段食べている野菜の中でも特に栄養、つまり魔力が取れる野菜を四つ教えてもらって、太陽が沈んでしまう前に持っていったバスケットにお土産をもらって帰ってきた。
コルザおねえちゃんは帰り道、メルに教えてもらった野菜をずっとブツブツ言いながら歩いていて、ボクも名前だけは覚えたけれど、まだどの名前の野菜が、どんな形や匂いや味をしているのかはわからないまま家に帰ってきた。
家に帰ったコルザおねえちゃんは、まずただいまを言うよりも先に、これから晩ごはんを作ろうとしていたサージおねえちゃんを捕まえると、メルに教えてもらった野菜をサージおねえちゃんへ一気に教えようとした。ボクもちょっとだけお手伝いをした。
サージおねえちゃんは、コルザおねえちゃんとボクが一気に話しただけで、全部の野菜を覚えてしまったみたい。いくつかは、お家の物置から出してきて、ボクとコルザおねえちゃんに見せてくれた。
それからコルザおねえちゃんが三つのベリーの話を始めると、サージおねえちゃんも最初はコルザおねえちゃんと同じように、三つのベリーは食べるものじゃないって言ったけれど、メルのお家で食べてきたケルンモチやハルトジャムの話をボクとコルザおねえちゃんから聞いて、メルに分けてもらったお土産を見せたら、段々とワクワクした顔になっていた。
気がついたら、サージおねえちゃんは、コルザおねえちゃんがしゅくだいで失敗した紙を持ってきて、三つのベリーを食べる方法を聞きながら、カリカリと文字を書いている。
たくさんの文字が書いてあると、まるでいつもサージおねえちゃんが読んでいる本みたいだ。
「なんでもじをかくの? ほんにするの?」
「本にはしないわよ。こうやって書いておけば、忘れないでいられるでしょう?」
「わすれない?」
「そう。三つのベリーが食べられるのはすごいけど、食べるための正しい方法取らないと、やっぱり危ない食べ物だから、安全に食べられる方法を忘れないようにするの」
「ふぅん」
忘れないようにするって聞いたぼくは良いことを思いついた。
「コルザおねえちゃん。こんどまたメルのおうちにおしえてもらいにいくときは、かみももっていこうよ」
「え?」
「だって、もじをかいたらわすれないでいられるんでしょう? そしたらきょうみたいに、わすれないようにって、ずっとやさいのなまえをいいながらかえらなくてもいいし、メルにもっとたくさんおしえてもらえるよ!」
「……馬鹿ね。紙は安くないんだから! そんな簡単に使えないの!」
「うぇ? でも、サージおねえちゃんはつかっているのに?」
「それは、失敗しちゃって先生に出せない紙だからいいの! とにかく、その時覚えられるだけ覚えたら帰るの! そうするの!」
コルザおねえちゃん、どうして怒っているんだろう。紙に書いたらもっとたくさん、簡単に覚えられると思ったのに。
「コルザ、ルカのアイディアはすごくいいと思うんだけど」
「おねえちゃんはっ! おねえちゃんは、何だって書けるから……あたしは、あたしはまだ、全然文字書けないんだもん」
「うぇ?」
「メルの教えてくれるやつ。名前もわかるし、やり方だってわかるけど、それを文字にするのは、できないもん。どうやって書けばいいのかわからないし、難しい言葉はまだ書き方覚えてないんだもん」
ぼくは知らなかった。コルザおねえちゃんは学校に行っているし、難しいしゅくだいだってやっているし、ぼくと違って本も読めるから、サージおねえちゃんみたいに、文字を書けると思っていた。
文字を書くって、もしかしたらすごく難しい事なのかもしれない。
「コルザおねえちゃん。ごめんなさい」
「……なんでルカが謝るのよ」
「だって」
「ねぇ、コルザ。わたしだって、コルザと同じ歳の頃は、全然文字は書けなかったのよ。それも、あのジョゼットに負けちゃうくらい」
「え?!」
「うぇっ?!」
あのジョゼットにも負けたと聞いて、ぼくもコルザおねえちゃんもびっくりした。
だって、あのジョゼットにだもん。
いつも無駄に偉そうで、いつもぼくたちに意地悪を言ってくるジョゼットに、ぼくたちのサージおねえちゃんが負けるなんて。
「でも、今のおねえちゃんはジョゼットにだって負けないでしょ?」
「さぁ、どうかしら。わたしは、学校へ行く……勇気がないから、自分で本を読んだり、母様から文字を教わったりして、書こうと頑張ってみたりはしていたつもり。だからね、コルザ」
サージおねえちゃんは今書いたばかりの紙をコルザおねえちゃんに渡して、優しく笑っている。
「コルザもいろいろ読んだり、書いたりしてみたら、きっと、もっとたくさんの野菜の名前をメルから教わって帰ってこられる。そしたら、わたしがその野菜で美味しいごはんを作るから」
コルザおねえちゃんはちょっと迷ったけれど、それでも手を伸ばしてサージおねえちゃんが差し出す忘れないための紙を手に取った。
「……ありがとう。おねえちゃん」
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「それにしても、三つのベリーが本当に食べられるなんて、全然知らなかった」
サージおねえちゃんはメルからもらってきたお土産を少しだけ味見して、本当に食べられることにとてもびっくりしている。
「どれも食べるための工夫は必用だけど、それさえしてしまえば、有用な食料資源。しかも栄養価も高いなんて……」
サージおねえちゃんがなんだか難しそうな言葉ばかりを話していて、ぼくはよくわからない。コルザおねえちゃんもよくわかってなさそう。
「ねぇ、やっぱりこれって、魔女の秘密なのかな」
サージおねえちゃんは不安そうにぼくたちに聞いてきた。でもそれには、ぼくもコルザおねえちゃんも首を大きくて横に振れる。
「コルザおねえちゃんもメルにきょういっぱいそれきいていたけど、メルはぜーんぶちがうよって」
「だからこれからあたしがみんなの前で三つのベリーを集めたり、それを使った料理を他のお家にも教えてもいいって」
「うーん……みんなに教えるのは、まず父様と母様に許可を取ってからの方がいいと思うわ。本来、この三つは食べられないって教えるのが普通だから、突然ルールを変えたら大人もびっくりすると思うの。それに、この三つを食べる為には正しい方法で料理をしないと、お腹を壊す人が出るかもしれない」
「……メルって、すごいね」
「メル?」
「おねえちゃんが多分そう言うと思うからって、お土産に全部持たせてくれたんだよ」
「あと、サンドイッチすごくおいしかったって、いってた。だからね、サージおねえちゃんにおかえしをしたいからって、ケルンモチとハルトジャムをもたせてくれたの。それとね、グラナのソースは、きっとサージおねえちゃんのすきなあじにしたいだろうからって、かわいたグラナのみと、ハーブもたくさん!」
「どうりで、バスケットからたくさんのハーブがはみ出ていると思ったわ」
サージおねえちゃんはメルからのお土産のハーブをひとつずつ匂いを嗅いでは、嬉しそうにしている。
ぼくは明日、そんなサージおねえちゃんの様子をメルに会ったら教えてあげようと思った。
「それじゃあ、準備をしましょうか」
「じゅんび?」
「何の?」
「何言っているの二人とも。晩ごはんの準備に決まっているじゃない」
サージおねえちゃんは、かまどの近くに引っ掛けてあった黒いフライパンを手に取ると、今日一番の笑顔を見せてくれた。
「町から帰って来て疲れている父様と母様のためにも、この三つのベリーのことを知ってもらうためにも、頑張るわよ。二人とも」
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それからぼくとコルザおねえちゃんは、たくさんお手伝いをした。
ぼくは井戸からたくさんお水を汲んできて、野菜を洗った。いつものサラダに使うレタスだけじゃなくって、今日はメルが教えてくれた野菜のラウケとプリリカも一緒に使う。
ラウケは濃い緑色の葉っぱが木を切るノコギリみたいなギザギザの形をしていてちょっとピリッとした匂いがする。葉っぱの真ん中の硬いくきってところだけがちょっと赤い。
プリリカはいろんな色があるランタンみたいな形の野菜。野菜だけど、ちょこっとだけ甘い匂いがするから、ぼくの好きな野菜でもある。今日は黄色とオレンジ色のを使う。サージおねえちゃんが「料理に彩りを添えるのよ」って言っていた。
ぼくはまだナイフが使えないから、レタスとラウケを手で千切ってお皿に入れるお手伝いをした。
コルザおねえちゃんはナイフが使えるから、サージおねえちゃんに言われて、プリリカを細く切ったり、スープに入れるおいもとたまねぎを切ったり、ぼくも嫌いなにんじんを隠したりしていた。
サージおねえちゃんは物置からガルバ鳥のお肉を持ってくると、フライパンでじゅうじゅう焼いてから、同じフライパンでメルに分けてもらった乾いたグラナの実で、あの辛いグラナのソースを作り始めた。
お肉を焼いた後のちょっと甘い脂の匂いが、辛いグラナの実の匂いと混ざって、美味しそうだけれど、ちょっと鼻がヒリヒリして痛くなりそうな匂いがしてきた。
「どうしておにくをやいたフライパンでつくるの?」
「ベーコンやソーセージが入っているスープを飲むと、ベーコンやソーセージが入ってなくても、ちょっとだけお肉の味がするでしょう?」
「うん」
「お肉の脂がスープに溶けているから、スープにもその味がするの。だからお肉を焼いたフライパンでソースを作れば、お水だけで作るよりも美味しくなるかなって思ったの」
「ふぅん」
「せっかくだから、今日メルからいただいたハーブも使いましょう。どれがいいかなぁ」
サージおねえちゃんが楽しそうにしている横で、コルザおねえちゃんはちょっと疲れた顔でスープを混ぜていた。
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おとうさんとおかあさんは、今日のサラダに入っているプリリカみたいなオレンジ色に近い黄色の月が、窓から見える頃にやっと帰って来た。
ちょっと疲れている顔でお家に帰ってきたおとうさんとおかあさんだけど、ぼくとコルザおねえちゃんがたくさんお手伝いして、サージおねえちゃんが綺麗に盛り付けをした晩ごはんを見て、びっくりした顔と一緒に、ちょっと元気な顔にもなった。
「すごいご馳走だなぁ!」
「本当、これ全部サージが用意してくれたの?」
「うぅん。サラダの野菜はルカが一生懸命洗って千切ってくれたし、スープは野菜を切るところから全部コルザが作ってくれたのよ」
「おねえちゃんが焼いてくれたからガルバ鳥はパリパリに焼けてると思うよ。それとね、父様と母様にはもっと頑張った素敵なソースが待ってるよ」
「まぁ、素敵なソース? 気になるわ」
ぼくは家族みんなの分のお皿とフォークとスプーンを出して、テーブルに並べる。
一番大きなお皿とフォークとスプーンは、お父さんのだから、一番大きな椅子が出ているところに置く。
二番目に大きなお皿とフォークとスプーンはおかあさんのだからおとうさんのすぐ横に並べる。
三番目の大きさのお皿とフォークとスプーンは三つある。サージおねえちゃんとコルザおねえちゃんとぼくの分だ。もともとは、もう一つ小さいお皿があったんだけれど、ぼくがたくさん食べるから、いつの間にかぼくの分もおねえちゃんたちと同じ大きさになった。
ぼくはおかあさんの隣に自分のお皿を置くと、残り二つを向かい側に置く。
おとうさんが真ん中で、ぼくとおかあさんがおとうさんの右側に座って、おねえちゃんたちは反対の左側に座る。
みんなが揃ったから、ぼくたちは両手をぎゅっと組んで、おとうさんのいただきますの挨拶を待つ。
「我々の生きる糧を与えてくださった精霊様たちへ、最大の感謝を込めて、この食事をいただきます」
「いだきます!」
コルザおねえちゃんが焼いたガルバ鳥をおとうさんとおかあさんのお皿に乗せると、そこへサージおねえちゃんがグラナの実で作った真っ赤なソースをかけていく。
サージおねえちゃんとコルザおねえちゃんもちょっとだけかけているけれど、ぼくはやめておいた。辛いのはまだ食べられない。
おとうさんもおかあさんも真っ赤なグラナのソースに驚いている。
「サージ、この赤いのはなんだ? トマトか?」
「いいえ、違うわ。父様」
「それじゃあベリー? この間ベリーを使ったソースがあるって本に書いてあるって、教えてくれたものね」
「そっか、そういう作り方もあったのね! でもね、母様。これは甘いベリーじゃないの。とにかく食べてみて!」
おとうさんとおかあさんはお互いに顔を合わせてから、ソースのかかったガルバ鳥を食べて、それから不思議そうな顔をしていた。不思議そうな顔はしているけれど、不味いとは思っていないみたい。
おかあさんは味を確かめるように、ゆっくりと噛んでいる。おとうさんは辛いのが気に入ったのか、もう一口食べて、それからコップに入った“おさけ”って飲み物をくいっと飲む。
「サージ、そろそろ教えてくれないか? この赤いソースは何を使ったんだ? 胡椒、じゃないよな?」
「そうね。胡椒とは違う香りと辛味がするし、胡椒は真っ赤じゃないもの。何を使ったの?」
サージおねえちゃんも、コルザおねえちゃんも、それからぼくも、おとうさんとおかあさんをびっくりさせられそうなのがわかって、ちょっと楽しくなってきた。
「このあかいやつは、きょうメルからおしえてもらったやつでてきたソースなんだよ!」
「メルっていうと、薬売りさんのところのお孫さんか」
「メルはすごいのよ! ハーブや野菜の名前をたくさん覚えているし、それの使い方だって知っているし、それにあたしたちじゃ思いつかないような食べ物を食べる方法だって知ってるんだから!」
「へぇ、どんな食べ物?」
「今、父様と母様が味わっている赤いソースよ。父様、母様、驚いて食べるのをやめないでね。その赤いソースは、グラナの実で出来ているの」
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おとうさんもおかあさんもグラナのソースにびっくりしたけど、おとうさんはメルみたいに辛い味がクセになるって言いながら、お肉だけじゃなくって、パンにもソースをつけて食べていた。
それからコルザおねえちゃんが水がめの中で冷やしておいたケルンモチも出して、ハルトジャムをたっぷりかけてみんなで食べた。
ぼくとコルザおねえちゃんはメルのお家で食べたからちょっとだけ、食べるのに慣れて、飲み込むのも早くなったけど、おとうさんたちはいつ飲み込めばいいのかわからなくて、ちょっと困っていた。
だけど甘いハルトジャムを気に入ったおかあさんは、珍しくおかわりをしていた。
「これが全部、三つのベリーから出来ているなんて、信じられないわね」
「あぁ。ただ、食べるのに少し苦労はするみたいだが」
「その価値はあるでしょう? 父様」
「そうだな。特にこのグラナソースは気に入った。塩だけの肉料理とはまるで違う味わいで、酒とよく合うのがいい」
「ハルトジャムもプラムやイチゴのジャムとは違うまろやかな味ね。あんなに硬い木の実の中に、こんなに甘い実が詰まっていたなんて、知らなかったわ」
「父様、母様、この三つのベリーのこと、他の子にも教えてあげてもいいでしょう?」
「うーん……」
「魔女の秘密でも、なんでもないのよ?」
「だがなぁ……」
おとうさんは腕を組んで唸りながら困っている。たぶん、晩ごはんの前にサージおねえちゃんが言っていたのと同じことを考えているのかもしれない。
サージおねえちゃんもそれがわかっているんだと思う。だからサージおねえちゃんは、すごく緊張しながら、それでもおとうさんにお願いをしようと口を開いた。
「父様。たしかに、この三つは食べられない物として、子どもたちへ教えているかもしれません。だけど、工夫すればこうして食べられることは、食べた父様にもわかるかと思います。ちゃんと食べられて、それに栄養もある。この三つを教えれば、これまで拾っていた木の実に加えて、さらに食べられるものが増えます。村の為にもなる、有用な食料資源だと思います。ぜひ、子どもたちに教えるべきだと、わたしは考えます」
おとうさんはちょっと驚いた顔をしたけれど、すぐになんだか嬉しそうに笑うと、おかあさんの方を見た。
おかあさんは優しい笑顔で、サージおねえちゃんを見ながら、ゆっくり縦に頷いた。
「いいだろう。三つのベリーを集めてもいいことにしよう」
「本当?!」
「あぁ。グラナソースに、ハルトジャム。これは他のみんなにも味わって欲しい。話を聞くに、両方とも長期の保存も効くようだしな」
あれ?
グラナソースと、ハルトジャムだけ?
「おとうさん。ケルンモチは?」
ぼくはおとうさんがケルンモチのことを忘れちゃったのかなって思って聞いてみた。
「ケルンモチはやめといた方がいい」
「うぇ?! なんで?」
「これは作るのが難しい。ケルンの実を何度も何度も水にさらさないいけないし、失敗すればおそらく渋いままになるのだろう?」
「たぶん……メルはケルンの青いところが渋い元だって言っていたから」
「ケルンの実は渋いから食べられない。と言うのもあるのだけれど、その渋さでお腹を壊してしまうから、食べてはいけないって教えているのよ」
「そうなんだ……」
「それにケルンモチは食感が独特でしょう? 飲み込むタイミングを間違えたりしたら、喉に詰まって危ないかもしれない。だから、これをみんなに広めるのはやめた方がいいと思うわ」
おとうさんとおかあさん、二人がダメだと言うのだから、ケルンモチはダメなんだろう。
ぼくはちょっとだけ残念な気持ちになった。
「でも、三つのベリーは集めていいって言ったよね? ケルンモチがダメなら、集めていいのは二つだけになっちゃわない?」
「各家庭でケルンモチを作るのは危険だが、正しい作り方を知っている家で作る分には問題ないだろう」
「どういうこと?」
「薬売りさんのお家でケルンモチを作ってもらう分には問題ない。ということだ。だから、子どもたちが集めて、薬売りさんのお宅へ持ち込んで作ってもらったり、食べ方を教えてもらうのは構わない。……そうすれば、うちの村に優秀な薬売りさんがいることが村中に伝わるし、薬売りさんが、恐ろしい魔女ではないこともわかるだろう」
ぼくもコルザおねえちゃんも、メルのことも、メルのおばあちゃんのことも、怖いとは思っていないけれど、他の人は違う。
サージおねえちゃんだって、三つのベリーのことは魔女の秘密なんじゃないかって、ちょっと怖がっていた。
きっとメルのことを何も知らない子が、急に三つベリーのことを聞いたら、魔女の秘密だと思って、メルとおばあちゃんを怖がるかもしれない。
「三つのベリーとその食べ方を教えてもいい。ただし、必ず薬売りさんのお孫さん、そのメルという子を通して、教えなさい」
それが三つのベリーを“ゆうようなしょくりょうしげん”として集めるために守る約束になった。




