14食目:お昼ごはんにサンドイッチ
次の日も朝ごはんを食べたら、果樹園へ行ってお手伝いをする。
かふんが入っている壺を持っている間は、大きな声でお話ができないから、ぼくはお昼の休憩になるまで我慢したけど、お昼になったらカールおじいちゃんたちに昨日のジョゼットの事を話す。
「……それでジョゼットがぼくをぶたっていうんだ! ぼくはぶたじゃないのに! だいたい、ぶたのけはぼくみたいなあかいろじゃない。もっとしろいじゃないか! けのいろだけでいったら、ジョゼットのほうがぶたみたいだ!」
ぼくがすごく怒っているのに、果樹園のおばさんやおじさん、カールおじいちゃんたちもみんな笑ってばかりいる。
ぼくはサンドイッチにかぶりついて、それが口から出ちゃわないように口をグッと閉じていないといけなかった。
「まぁ、シュヴァインとこの娘っ子は、昔から気ぃばかり強くってなぁ。町に行くようになってから、つい意地の悪いことばっかり言っちまう癖がついちまったんじゃろ」
カールおじいちゃんはニシシと笑うけど、ぼくと、それにおねえちゃんたちからしてみれば、笑っていられない。
「自由に動けないとなると、バカにしてくる奴ぁごまんといる。町でバカにされないようにするためにも、余計に強いことを言う癖が付いたんじゃろ。それが良いか、悪いかは別としてな」
「ぼくにはすっごくわるいことだとおもうけど。サージおねえちゃんにもいっつもいやなこというし」
そんなサージおねえちゃんは、今日のサンドイッチにぼくの苦手なモノを入れているみたい。
ぼくはそれがなるだけ入っていなさそうなところを探す。
「ジョゼットちゃんだって、あの事故の前はサージちゃんとも仲が良くて、よく一緒に森へ行っていたのにね」
おばさんの話にぼくはびっくりして、サンドイッチを落としてしまうところだった。
「サージおねえちゃんが、もり? それほんとうのおはなしなの?」
サージおねえちゃんは森が怖い。
ぼくが生まれた時からそれはずっとで、コルザおねえちゃんが森へ行く日には必ず、無事に帰ってこられるようにと、風の精霊様のおまじないをしているし、ぼくが五歳になるまで森へ行けないのも、サージおねえちゃんが反対しているからだ。
本当なら、サージおねえちゃんだって学校へ行ってお勉強ができるのに、それをしないのも森を通らないと町へ行くことができないから、学校へ行かないことも知っている。
そんなサージおねえちゃんが森へ行っていただなんて、ぼくには信じられない。
でもカールおじいちゃんたち大人は、今の森へ行こうとしないサージおねえちゃんの方が不思議みたい。
「本当の話さ。サージ嬢ちゃんは、今のルカ坊くらいの歳の頃には、毎日森へ行ってばかりだった」
「ほとんど、ジョゼットちゃんが引きずり回していたようなものだけどもね」
カールおじいちゃんもおばさんもその頃を思い出して懐かしそうな気持ちになって、目を細めている。
「同じ年に、同じ月、しかも女の子同士だったもの。家も近かったし、一緒に居たくなるものでしょう」
「本当は、あの事故の原因だって……まぁ、今言っても仕方がないわな」
おじさんが頭を掻きながら、お話をやめた。
おばさんたちも、それまでしていたお話をやめて、別のお話に戻す。
「それにしても、今年の花粉付けはいつもより早く終わりそうだわ。坊ちゃんのおかげね」
「どの木の、しかもどの花に花粉を付けていたか覚えているだなんて、物覚えがよくって、賢いのねぇ」
おばさんたちがわしゃわしゃとぼくの髪の毛を撫でて褒めてくれる。
おばさんたちはぼくの事をすごく何かを覚えるのが得意だと思っているみたいだけど、ぼくは別にどの木のどの花に花粉を付けていたかを覚えているわけじゃない。
ぼくにわかるのは、壺の中の花粉の匂いと、木についている花の匂いの違いだ。
ぼくの鼻は、頑張れば犬だった時のように利く。
初めてそれがわかったのは、サージおねえちゃんの七歳の時の誕生月のお祝いの時だ。ジョゼットがサージおねえちゃんを怖がらせて、お祝いの広場から出て行ってしまったのを探しに行ったのが最初。
次は、ぼくの誕生月のお祝いの次の日だった。家の物置の中にまだツッカバオムケーキが残っているのかを知りたくて、ドアの前で鼻を動かしていた時だった。
鼻が犬のように鋭く利く時は、ぼくのお腹の中がポカポカと暖かくなって、それから身体中にそのポカポカが広がると、人間の鼻でも犬だった時と同じようにたくさんの匂いを拾えるようになる。
ただこうやって犬の時のように鼻を利かせると、困った事に何故だかいつもよりもお腹が減る。特に今日みたいに、朝からお昼までずっと鼻を利かせっぱなしにすると、すごくお腹が減る。
それなのに、
「……スヴェンおじさん。きょうもほしぶどうのパン、もってない?」
「持ってるぞ。なんだい昼飯足りんのか?」
「あのね、サンドイッチとパンこうかんこしてほしいの」
「わかったぞ。またにんじんとたまねぎが入ってたんだろ」
「……そう、きらいなやつ」
にんじんと生のたまねぎはぼくの敵だ。
にんじんの青臭い草の臭いと、生のたまねぎのツンとくる臭いは、どうあってもぼくが飲み込めない食べ物の臭いだ。それなのに、サージおねえちゃんは「身体にいいから」と言って、ごはんに混ぜてくる。
今日のは、その中でも一番酷いやつ。お酢に漬けたにんじんとたまねぎだ。
「いいのか? 昼のサンドイッチはサージ姉ちゃんのお手製なんだろう?」
「でも、にんじんとたまねぎはどうしてもいやなんだもん」
こればっかりはぼくにも譲れない。
お願いの目でぼくはスヴェンおじさんをみる。
「しゃあねぇな。ほれ、交換だ」
「おじさんありがとう!」
ぼくはおじさんから干しぶどうのパンをもらって、食べかけのサンドイッチと交換する。
「これたべて、このあともしっかりおてつだいするからね!」
「おう、期待してんぞ」
「そうだ、ルカ坊ちゃん。パンだけじゃ足りなかろ? これも食べるかい?」
「ニワトコジュースもあるよ」
「いただきます!」
ぼくは干しぶどうのパンに、おばさんが作ったたまごのタルトと、ジャガイモとベーコンの挟まったパンを食べて、ニワトコジュースを飲み干してから、午後のお手伝いを頑張った。
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サクランボの花に花粉を付けるお手伝いはすぐに終わってしまった。
「実が出来始めたら、次は大きな実がなるように、選んで育ててやるだけじゃ。その頃には、リンゴの花たちにも花粉を付けて周ってやらにゃならんから、忙しくなるぞぉ」
「リンゴの花粉付けも、ルカ坊ちゃんが手伝ってくれるとおばちゃんたちも嬉しいわ」
「うん、ぼくいっぱいてつだう!」
「おう、おう。嬉しいなぁ。坊、たくさん手伝ってくんな。そしたら、サクランボの実が付いた時に、一番いい初物を採らせてやろうなぁ」
一番いいはつもの。つまり、とっても美味しいモノだってことだ。
ぼくは嬉しくなって、目が大きく開くのがわかる。
「ほんとう、カールおじいちゃん!」
「おう、ルカ坊のおかげで今回のサクランボの花粉を付けは早く終わったからな。坊には、ご褒美をもらう権利がちゃんとある」
「じゃ、じゃあ、リンゴのおてつだいをしたら、リンゴも? サージおねえちゃんはリンゴがすきだから! それに、ツッカバオムも!」
「あぁ、いいぞ。実りの精霊様に誓って、約束してやろう」
わしわしと、カールおじいちゃんがぼくの頭を撫でてくれる。
ぼくはカールおじいちゃんの約束が楽しみで仕方がない。
「ねぇ、つぎのおてつだいはいつぐらい?」
「そうだなぁ、次の月の色が変わったら、だな」
「つぎは、ごのつきだから、えっと……」
「緑色じゃよ。育った草木が、夏を目指す色さ」
見上げたカールおじいちゃんの優しそうに笑う目は、よく見ると深い緑色をしていた。
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カールおじいちゃんと同じ深い深い緑色に月が輝いてすぐに、
カールおじいちゃんは死んでしまった。
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果樹園にあるカールおじいちゃんのお家から、真っ黒な箱、ひつぎが出て来た。
黒は、夜の色。
夜の精霊様が、死者のたましいを見つけられるように、箱は黒くないといけない。サージおねえちゃんが本を読んでくれながら、ぼくにそう教えてくれた。
夜の精霊は、夜を運んで、連れて帰る。夜を連れて帰ると、朝が来る。
夜を連れて帰る時に、一緒に死者のたましいも連れていってくれる。
だからひつぎに入ったあと、次の朝が来るまでの間が、最後のお別れの日になる。
カールおじいちゃんが入ったひつぎは、大人の男の人たち四人が担いで村の広場に持って来た。
広場にはカールおじいちゃんのひつぎを置く場所の他に、誕生月のお祝いの時のように、テーブルが並んでいて、そこにはたくさんの食べ物が置いてある。
集まっている人たちは、みんな何か黒いものを付けている。ぼくは黒いリボンをシャツの上から首に巻いている。男の子や男の人はみんな、首に付けるか、腕に付けるかしている。
サージおねえちゃんやコルザおねえちゃんたち女の子は髪の毛にリボンを付けている。おばさんたちは、黒い布を頭に巻いて被っている。
小さい子たちはどうして集まっているのか、あんまりわかっていない。みんな広場のテーブルの上にある食べ物を食べようと、椅子によじ登ったり、追いかけっこを始めたりしている。
ぼくも誘われたけど、カールおじいちゃんが動かないで、ずっとひつぎの中に寝ていて、起きてこないことが、寂しくて、悲しくて、混ざろうという気持ちになれない。
女の子たちは、森へ行って花を摘んできて、テーブルだけじゃなくって、カールおじいちゃんが寝ているひつぎの中にもお花を入れていく。
ぼくもサージおねえちゃんに言われて、そのお花を手に取ってカールおじいちゃんのひつぎの中に入れに行く。
渡されたお花からは、ツッカバオムに似ているぼくをおいで、おいでと呼ぶ匂いがする。
「……サージおねえちゃん、このおはな、なに?」
「プリブリューテ。精霊様が好きなお花で、この花の蜜からできるはちみつをお祝いやお葬式の時に使って、パンや料理を作るの」
「ねぇ、サージおねえちゃん。カールおじいちゃんは……どうしちゃったの?」
「……カールおじいちゃんは、死んでしまったの」
「どうして?」
「さぁ、詳しくは、わからない。……ただカールおじいちゃんは、この村の中でも歳を取っていたから、急に死んでしまうこともあるって、母様が」
「でもカールおじいちゃん、このまえもげんきだったよ。ごのつきになったら、リンゴのはなにかふんをつけて、サクランボもしゅうかくするんだっていってた。いそがしくなるって。ぼくいっぱいおてつだいしたから、サクランボもリンゴも、ツッカバオムも、いちばんいいはつものをくれるって、……やくそく、したのに」
サージおねえちゃんはそれから何も言わなかった。黙って、カールおじいちゃんが寝ているひつぎの中に、プリブリューテのお花を入れると、ぼくにもそうするようにって背中を押した。
ぼくはプリブリューテのお花を、カールおじいちゃんのしわしわの手の側に入れた。カールおじいちゃんの手が大好きだから。
ひつぎの中のカールおじいちゃんの顔は、苦しんでいそうでも、辛そうな顔でもなかった。静かに眠っているような顔だった。
「カールおじいちゃんは、にじのはしのふもとへいくの?」
「そうなるように、夜の精霊様がカールおじいちゃんをちゃんと見つけられるように、わたしたちに出来ることは、お葬式をして、きちんとお別れすることよ。そのためにも、ルカはごちそうを食べてね。精霊様は、人間が料理をしたものが好きだから、たくさん食べていればその匂いにつられて、きっとカールおじいちゃんを見つけてくれる。そうしたら、魂をきちんと連れていってくれるから」
サージおねえちゃんはぼくをギュッと抱きしめてから、カールおじいちゃんのひつぎから離れて、お別れのためのごちそうを作っているおかあさんたちの方へ歩いて行ってしまった。
ぼくはもう一度カールおじいちゃんの顔を見てから、他の子たちとごちそうが並び始めたテーブルの方へ走って行った。
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カールおじいちゃんとの最後のお別れの日、ぼくや他の七歳にならない子どもたちは、お日さまが隠れてしまったらお家へ帰らないといけないと言われて、大きい子たちに連れていかれて、カールおじいちゃんのひつぎがある広場から離れることになった。
七歳になる前の子どもは、まだ精霊様の近くにいる。だから精霊様が間違ってその子のたましいを持って行ってしまわないように、七歳になる前の子どもは最後のお別れの日の夜は、お家の中に入って静かにしていないといけないのだと言われた。
お家へは広場のごちそうを持って帰っても行けないし、お家の中でごはんを食べるのもダメだと言われた。
ぼくはちょっと物足りないお腹と、コルザおねえちゃんと一緒にお家へ帰る。
「なんでたべちゃだめなの?」
「えーと、広場のごちそうは精霊様のためにあるものでしょ。それだって、獣の精霊様がいたずらをしないようにって、お肉は並べない。それなのにごちそうが家にあったら、精霊様がやってきて、まだ三歳のルカは間違えて連れて行かれちゃうかもよ?」
「……つれていかれちゃう」
もし、間違って連れて行かれちゃったら、カールおじいちゃんと一緒に虹の橋のふもとへ行けるのかな。
でも、まだぼくは、
「まんぞく、してないもん」
「何か言った、ルカ?」
「……うぅん。なんでもないよ」
虹の橋のふもとで、知らない人はぼくに言った。
『満足したならば。帰って来なさい』って。
でもまだ、まだまだぼくは満足していない。
まだまだぼくは、食べたいものがたくさんある。家族とも一緒にいたい。
ぼくはお家へ帰って、盥のお風呂に入ったら寝間着に着替えて、すぐに子ども部屋にある自分のベッドへ潜った。
子ども部屋の窓から緑色に輝くお月さまを見る。
カールおじいちゃんと同じ目の色のお月さま。だからきっと夜の精霊様はカールおじいちゃんを見つけてくれる。だって月の色を変えているのも、夜の精霊様なんだから。
そう思っているうちに、ぼくは眠っていた。
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カールおじいちゃんと最後のお別れをした日からだいぶ経った。
カールおじいちゃんがいなくても果樹園の木は花を咲かせるし、実も付ける。だからぼくは、そのお手伝いに毎日のように行った。
カールおじいちゃんは、たくさんお手伝いをすれば、一番いい”はつもの”をくれると約束してくれた。カールおじいちゃんがいたら絶対に約束を守ってくれる。だからぼくは、カールおじいちゃんがいなくても約束を守りたいと思った。
ぼくは、リンゴの花の花粉付けを手伝って、サクランボの実が大きくいっぱい付くように取って分けるお手伝いをした。
ツッカバオムの木にもお手伝いが必要なのかと思ったけれど、ツッカバオムは精霊様が見守っている特別な果物だから、人間のお世話は必要ない。だけど、何故だかツッカバオムは人間の側に生えている方がよく育つのだとスヴェンおじさんが教えてくれた。
だからぼくはなるだけ、ツッカバオムの側にいるのがお手伝いだと思って、おばさんやおじさんと一緒にする果樹園のお手伝いがない時は、ツッカバオムの側に座って果樹園の木を見るようにしている。
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気が付けば、サクランボの実が赤くなってきていて、ツヤツヤに輝くのはもうすぐの頃になっていた。
ぼくはカールおじいちゃんが教えてくれた、果樹園で一番良い実がなるって言われていたサクランボの木のところへ歩いていく。
この木のサクランボの実は、他の木になっているやつよりも、ずっと酸っぱいけど甘くていい匂いがするから、誰かが教えてくれなくても、これが一番いいやつだってわかる。
ぼくはその木にもたれかかって休憩する。
『実りの精霊様に誓って、約束してやろう』
「カールおじいちゃん。やくそく、したのに」
木が急にガサガサと揺れて、上から葉っぱが何枚か落ちてきた。
「とり?」
果樹園だけじゃなくて、畑にもよく鳥は来る。
美味しいモノを食べたいのは、人間だけじゃない。鳥だって、他の動物だって食べたい。犬だった時のぼくがそうだったように。
特に鳥は果樹園に生る果物を狙いに来る。ちょっと持っていかれるだけなら、鳥が精霊様へ果物を届けてくれるから放っておいていいと大人たちは言うけど、ぼくとしては、ぼくや家族、村の人たちの食べる分が減るから、できれば追い出したい。
どんな鳥が来ているんだろうと、木を見上げたぼくの顔に、ポトっと、何か硬い物が落ちてきた。
何が落ちて来たんだろうと思って顔をこすったぼくの手にあったのは、サクランボの種だった。
鳥がサクランボを食べる時は、実も種も丸ごと食べてしまうから、種はお尻から出て来るのだと、カールおじいちゃんが言っていた。
木の上に、何、じゃない。誰、かがいる。
木の上にいる誰かは、泥だらけの足をプラプラさせながら、枝の先に生っている赤いサクランボを乱暴にちぎっては、口に入れている。
「んー……ちと早かったにゃあ。まだ甘くにゃい」
誰かは口をもごもごさせると、プッと口をすぼめてまたサクランボの種を飛ばす。
灰色のボサボサの髪に、ボロボロのワンピースみたいな服に、ぼくが着ているようなズボンを履いている。服の上からおとうさんが森へ行く時にするようなベルトみたいなお守りの刺繡がしてあるリボンを巻いている。
どれもこれも、村で見たことがない姿だ。
「だれ、だれだ! ここはカールおじいちゃんの、むらのたいせつなかじゅえんで、それはこのむらのサクランボだぞ!!」
「へぇ。カールじぃさんってにゃあ、たいした腕だにぃ。こんにゃ美味いサクランボ、初めて食ったにゃ。ま、食べるにゃまだちと早かったけどにゃ」
そう言うと木の上の知らない子は、もう一個サクランボを取ろうとする。
「実りの魔法かにぃ? よく育っている。そのじぃさんに会ってみたいもんだにゃ」
「……カールおじいちゃんは、もういないよ。さいごのおわかれをしたもん」
「ふぅん。そりゃ残念だにぃ」
木の上の知らない子は、ヒョイっと木の上からぼくの隣に降りてきた。あんなに高い木の上から降りて来たのに、その子は転んだり、倒れたり、尻もちもつかずに、ぼくの隣に真っ直ぐに立っている。
ボサボサの短い灰色の髪の毛の中から見える青い目は、ちょっと意地悪そうに吊り上がって、ぼくを見ている。
「キミはだれ? むらのこじゃないの?」
「そういうおみゃあは、ここにょ果樹園の子どもじゃにゃさそうだにぃ」
知らない子はぼくの周りをくるりと回りながら、青い目でジロジロと見てくる。
嫌な視線に、ぼくは思わずその子を睨みつける。
「ぼくはおてつだいにきているの。それにここのむらのこどもだもん。でも、キミはみたことない。どこからきたの? なまえは?」
「んー……そうだにぃ。おみゃあが、にぃを捕まえられたら教えてやってもいいにゃ」
そう言うと知らない子はぴょんとジャンプしただけで、またサクランボの木の上に登っていた。
ぼくはびっくりして、固まってしまった。
「それじゃあ、またにゃあ、村の子豚ちゃん。あ、口くらい閉じた方がいいにゃ、間抜けに見えるから」
それだけ言うと知らない子は、ぴょん、ぴょんと木から木へと飛び移って、森の方へ行ってしまった。
行ってしまってから、ぼくは大声で返事した。
「ぼくは! ぶたじゃ! なあい!!!」
新キャラ登場です。
どうもレニィです。
春にんじんの美味しい季節ですね。
お酢と油があれば、キャロット・ラペは簡単に作れるし、
作り置きおかずとして、結構長持ちするので、
ラペサンドはオススメお弁当メニューです。
꒰ ՞´・ﻌ・`՞ ꒱<ぼくは嫌いだ。
次は追いかけっこが始まります。
そんな感じです。
どうぞよしなにー!!!




