契約成立
街へ戻ったボク達はセミファイナルの羽を届ける為ミーノスの錬金工房へ向かう。
すっかり日は傾いていて空はオレンジ色、夕飯の買い出しで商店街は人で溢れている、屋台からは美味しそうな匂いがこちらにも流れてくる。
「お腹空イタ~」
「我慢せい、これ届けたら好きなだけ食えば良かろう」
「早く持って行こ~」
商店街を抜け暫く歩くとミーノスの錬金工房が見えてきた、到着し大きな入口を入るとカウンターにお姉さんが座っていた。
「いらっしゃいませ~」
相変わらずなのんびりした声でお姉さんが話しかけてくる。
「依頼品のセミファイナルの羽を届けに来ました~」
「あらあらその前来てくれた子達ね~確認させて貰うわね~」
お姉さんが立ち上がるとボクは背中のリュックを下ろし中からセミファイナルの羽を出してカウンターに置いていく。
「ふむふむ、93枚ね~じゃあ少し上乗せして金貨一枚にしておくわね~」
「いいの?前も報酬増やしてくれたけど」
銀貨7枚も増やしてくれたので思わず聞いてみる。
「いいのよ~、実は錬金素材の依頼受けてくれる人あんまりいないから持ってきてくれると凄い助かるの~」
そうなのか、んじゃ素直に受け取っておこうかな。
「じゃあ金貨一枚で、ありがとう~」
金貨を受け取り財布にしまう。
「ああそうだわ~貴女達迷宮に行ってるのよね~?色々素材拾ってると思うんだけど何かあればアイテム作成するわよ~?」
アイテムの作成か~、そういや炎晶塊拾ったよね?もしかしたら...
「ふむ、炎晶塊があるんじゃが炎のネックレスは作れるかのぅ?」
フーワも同じ事を考えていたようだ。
「出来るわよ~、炎のネックレスって事は迷宮で使うのよね~?今ネックレス幾つ持ってる~?」
「まだ一つも無くてのぅ」
聞かれて頭をポリポリとかく。
「在庫が有るんだけどどうかしら~、一つで銀貨35枚だけど~」
「ほう、それはお得じゃな銀貨15枚も安いのか」
「ただちょっとお願いがあって~、それ込みになっちゃうんだけど~」
お願い?悪い話じゃ無さそうだけど。
「ふむ、聞こうかの」
「冒険者組合に錬金術で使う素材を依頼してるんだけど~冒険者ってランク上がると素材集めってあまりしてくれないのよね~セミファイナルの羽とか白い古木みたいな簡単のだと特に~」
あ~、そうだよね下層や近くの森なんて行かなくなるよね、上級の依頼受けるだろうし。
「確かにのぅ」
「そこで~定期的に素材を集めてきて欲しいの~週一程度でいいから~、無理な依頼もしないわ~報酬も弾むしどうかしら~?」
条件は悪くない、むしろかなり良い方だ、二人はどうかな。
「どうする?結構良いと思うけど」
「いいんじゃないかの、むしろ助かるぞい」
「さんセイ~」
どちらもボクと同じ意見のようだ、じゃあ頼んじゃおうかな。
「ではそれで」
「ありがとう~助かるわ~、工房に来てくれたら直接依頼するわね~、じゃあ契約成立ね~ネックレス作ってくるから炎晶塊を受けとるわね~、在庫も持ってくるから少し待ってて~」
リュックから炎晶塊を取り出しお姉さんに渡す。
「そういえば名前がまだだったわね~、私はミーノス、宜しくね~」
それから暫くして炎のネックレスが完成し、他二つも格安で購入、これで氷河地帯を進めるね。
外に出るともうすっかり夜、今日は解散して次の日に迷宮に行くことにした。
明くる日、ボク達は魔法陣で六層に降り立つ、うん寒くないむしろ少し暖かいくらいだ。
炎のネックレスがバッチリ効いてるね、よ~し頑張るぞ~




