五層目
依頼をこなし目標の金貨一枚と銀貨五十枚が貯まり三人分の氷のネックレスを購入したボク達は、再び五層目に降り立った。
あれ程暑かったこの場所も今は何ともない、熱がネックレスの魔力で相殺されているみたいだ。
「うん、大丈夫だね、汗一つかかないや」
「身体も溶けなイヨ」
「うむ、効果バッチリじゃな、では進むとしようかの」
至るところで溶岩がボコボコと沸く中、黒く硬い道を歩き始める。
「しかし見た目からして危なそうな所じゃの...さっさと抜けて下層に降りたいが...そう簡単にはいかんようじゃな」
フーワが背中から二本のハンマーを取り出し構える、前から魔物がやって来たのだ。
ぷるぷるぽよんぽよんと跳ねているそれはポヨポヨのようだが色が溶岩の様に赤い。
「こやつはポヨポヨラーヴァじゃな、火山地帯に生息しとるんじゃが成る程、溶岩地帯じゃし居てもおかしくはないの」
これがポヨポヨラーヴァか、ポヨポヨには色々種類があるって聞いた事があるけど初めて見た。
「油断するでないぞ、ポヨポヨより遥かに強いし炎も吐いてくる」
目の前のポヨポヨラーヴァは五体、左右に跳ねてこちらを牽制している様にも見える。
「先手必勝、一気に片付けるぞい!!」
フーワが走り出して左の一体に右手のハンマーを振りかぶり真横に凪ぎ払う、だがそれは真後ろに跳ね退きそれを避けた。
「小癪な真似を!!」
「プルプル加減ジャ負けなイヨ」
ライムは右に居るポヨポヨラーヴァを相手している、距離を取り両手にそれぞれ持った短剣を振り回しているのだが、普通では届かない範囲でもライムは腕を長く伸ばし鞭のようにしならせ高速で斬りつけている。
何処までも伸びてくる攻撃にそいつは避けきれず切り刻まれていく。
ボクは真ん中三体を相手にすることにする、杖を構え意識を集中させ魔法をポヨポヨラーヴァに撃ち放つ。
「アイスボール!!」
高速で飛んでくる魔法に当たり粉々に粉砕されるポヨポヨラーヴァ達、残り一体。
再び魔法に集中しようとしたが、残った奴は震えると炎を吐き出してきた。
「うわっと!!」
咄嗟に横に避け炎は真っ直ぐボクの後ろへと飛んでいく、危ない危ない、あんなのが直撃したら大火傷だ。
「甘いわ!!」
フーワが相手をしているのが、突っ込んだ彼女目掛けて炎を連続で吐き出す、がフーワはそれをハンマーで吹き飛ばす。
「せいやっ!!」
そして勢いを殺さず間合いを詰めるとハンマーを、振り上げて粉々に叩き潰した。
「残りはペタンの奴だけか...と思ったらあっちも終わったようじゃの」
フーワがポヨポヨラーヴァを倒した直後、ボクも最後の一匹をアイスボールで砕いていた。
「これで全部かな?」
辺りを見渡しても残っているのは居ない。
「アタシも終わっタヨ」
「ワシもじゃ」
二人が此方に集まって来る。
「なんとかなったね」
「油断しなければそこまでではないからのう、数もおらんかったしの」
多数から一斉に炎を吐かれたら流石にやっかいだ、相手に攻撃される前に一気に倒した方が良さそうだね。
「そうイヤこんナン出タヨ」
ライムが手に持ったものを見せてくる、赤くて透き通った四角い石で中で焔みたいのがゆらゆらと揺れている。
「お~、炎晶塊か、こいつはラッキーじゃな」
「珍しいの?」
「珍しいという訳ではないんじゃがの、属性を付与する材料になってな、こいつだと火の属性じゃな。
結構な値段じゃし工房に持って行けば割安で作成してくれるじゃろ」
安いのでも金貨何枚もするって言ってたし安く済むなら有り難いね。
「よ~し、この調子で先を目指すぞい」




