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紅の森と枝

今日も朝からボク達は冒険者組合で依頼を品定めしていた。

あれから何件かこなしたものの、目標の金額には届いていない、後ちょっとなので出来れば今日中に到達したいところ。


「これなんてどう?」


掲示板に貼られている依頼書の一枚を取り二人に見せる。


「どれどれ...白い古木の採取、場所は(くれない)の森、と」


「紅の森ナラ街から近イネ、魔物も弱イシ」


紅の森、文字通り紅色の木葉が生い茂る森で街からでも見える所にある。


「内容の割には報酬がよいの、これでよかろ」


「分かった、じゃあこれにするね。

今回は指定された場所に依頼品を持って行くみたいだね、場所は近くの工房か」


「ちゃちゃット終わらセヨ」


ボクは受付のカウンターで依頼書の手続きを済ませると皆で紅の森へ出掛ける、迷宮の少し先に有るので大して時間も掛からず昼より大分前に到着した。

人の手がかなり入ってるようで、ある程度舗装された土の道が森の奥へと続いている、入口には木の看板が立っていて「この先魔物に注意」と書かれていた。


「さて、目的の白い古木は森の中央にある泉付近じゃな」


「依頼書に詳しく書いてあって助かったね、この道を進めばあるらしいから迷いもしないね」


この森、結構大きいので場所が分からなかったら探すのに苦労しただろう、依頼主に感謝だ。


「うむ、それでは泉に向かうとしようか」


看板を通り過ぎて森の中に入っていく、道の左右は紅の木々が密集しており奥は遮られ見えない、真っ直ぐ伸びた道を進んで行くと時折何か鳥の鳴き声が聞こえてくる。


歩き始めて暫くすると大きな泉が見えてきた、周辺には白い枝がちらほら落ちている、これが白い古木みたいだ。

拾い上げるとそれは大きさの割りにずしりと重い、爪先で軽く叩くと金属の様な音がする、これ木の枝だよね...?


「よし、どんどん拾うぞい。あればあるだけ集めるって話じゃったな」 


「うん、この辺の全部持っていこう」


「ほ~イ」


ボク達は手分けして枝を拾い集める、数本だけでも結構重いのでこまめにボクのリュックに入れていく。

こういうとき魔法の袋は便利だ、沢山詰めても重くならないからね。

たまに寄ってくるポヨポヨを蹴散らしながら枝を集め、周辺に落ちている物はあらかた終わった。


「ふ~こんなもんかな~」


最後の枝をリュックに詰めて背負う、100本くらいは拾ったと思う。


「そうじゃな、もう落ちておらんし帰るとするか」


「あイヨ~」


ボク達は元来た道を辿って街に戻り、依頼主の工房へと歩いていく、昼も過ぎて街中は行き交う人々で賑やかだ。


「この辺だよね~」


依頼書に書かれた住所を頼りに辺りを見回す、道具屋と八百屋は過ぎたのでそろそろのはず...


「あれじゃナイ?」


ライムが指差すとそこには赤い屋根の2階建て、店らしき立派な建物がある。

入口付近には色とりどりの花が活けられた綺麗な空色のプランターが置かれ、扉には「ミーノスの錬金工房」と書かれた看板とその上に四角い鈴が一つ付いている、どうやら此処らしい。

工房の扉を開けると鈴がカランカランと鳴り響く、中に入るとカウンターがあるがそこには誰も居ない。

留守かなと思い周囲を見ていると、カウンター横にある部屋の中から女性が慌ただしく出てきた。


「ごめんなさいね~、今錬金中で忙しくてそっちに居られなくて~」


あまり忙しそうには思えないのんびりとした口調でボク達に話し掛けてくる。

青いオーバーオールを着ていて桃色のサイドテール、頭から牛の耳と角、腰の辺りに尻尾が生えている、どうやらミノタウロスみたいだ。


ミノタウロスは男と女で見た目が変わる、男は半牛半人だが女は人間とあまり変わらない。

背丈はかなり大きく男で3M半、女でも2M半を軽く越える。

そして女は胸がやたらでかい、両腕でも回りきらないくらいでかい。

目の前の彼女も例に漏れずそれはそれはでかかった。

入口の扉が妙に大きかったのは彼女がミノタウロスだからだろう。


「えっと、依頼の白い古木を持ってきたんですけど」


「あらあら~依頼を受けてくれたのね~早速拝見するわ~」


ボクはリュックを降ろして中から古木をどんどん取り出し床に置いていく、そして全て出し終わるとミノタウロスのお姉さんが数を数える。


「全部で120本ね~こんなに沢山集めてくれて助かるわ~報酬は弾んでおくわね~」


お姉さんはカウンターに置いてある小型金庫から革袋に銀貨を入れていき紐で袋の口を絞めるとボクにそれを手渡した、袋はずしりと重い、かなり上乗せしてくれたようだ。


「また何かあったら宜しくね~」


入口の外で帰るボク達に手を振る、こちらも振り返し工房を後にした。


さ~てこれで氷のネックレスが買えるぞ~

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