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四層目

石盤の魔法陣から転送され別の場所にボク達は着いた、見たところ洞窟の中だけど...


「あれ?まだ三層?」


「いや四層じゃな、あそこに魔法陣が別にある」


フーワが指差すと、そこにはボク達が転送された魔法陣の他にもう一つあった。

ということは地上からの転送用だろう、試しに乗ってみるも反応は無い。


「なんか見た目変わらないから三層かと思ったけど四層か」


「じゃが雰囲気が違うのう...陰湿というか...ああ、成る程のぅ、此処は墓場じゃな」


え?墓場?

言われて周りを見渡すと...何かあちこちに朽ちた石碑が建っている、近寄って見ると掠れているけど名前が彫られていた、これはお墓のようだ。


「墓場か...やたなぁ、こういうの苦手なんだけど...」


ボクは思わず身震いをしてしまう。


「アタシは何ともなイヨ」


「ワシもじゃ、ペタンは怖がりじゃな」


二人は笑って歩きだす、むぅ怖いものは怖いんだもん。

ボクは二人の後ろに付いていく。

てか墓場か...墓場といったらあれだよね、アンデッド。

幽霊に動く骨や死体、そういうのが生きてる人に襲い掛かって仲間にしてしまう、よくある話だ。

まあ実際そんなことあるわけ...


いや、あるんだよね...

ゴースト、スケルトン、ゾンビ。

これらの魔物は実際に生者を襲う、そして殺した相手を負の魔力で仲間にしてしまうのだ。

まあ実際に出てきて襲われるなんてことはまず起きない、余程その土地が不浄に満ちない限りは発生しない上にそこに死体が無ければアンデッドには成らない。

大昔の大戦時ならまだしも今は平和で戦争も起きていない、不浄な箇所は何処も浄化されているので漏れがないか何か原因がないとアンデッドは出てこないのだ。


―――そう、「原因」が無い限り。


歩いているボク達の周りの地面がボコボコと盛上る、そしてそこから手やら骨やらが出てきて何かが這いずり現れる。


アンデッドだ。


錆びた剣を持ったスケルトンに身体が所々腐り落ち腐臭を放つゾンビ、そして何処から現れたのか白い布に目と口のような穴が空いたゴースト、それ等にボク達は囲まれた。


「うわ...よりにもよって...う、ゾンビ臭っさ」


ゾンビから漂う腐臭に顔をしかめつつ、ボクは杖を構える。


「迷宮の魔力で生成されたということか、しかし参ったのう囲まれたか」


「どうしようカネ」


フーワとライムも武器を構え周囲を見渡す。


「取り敢えず蹴散らしながら下がるかの、ペタン、ゴーストには物理攻撃が効かんから魔法で頼む、ワシ達はスケルトンとゾンビを倒すぞい」


「宜しクネ~」


フーワとライムがそれぞれ攻撃を開始する、ボクはゴーストに集中して魔法を放つ。


「ファイヤー!!」


ふよふよ動き回るゴーストへ杖から放たれた火の塊が直撃する、本当は光の浄化魔法が一番効果的なのだけどボクは使えないので火の魔法で代用する、ゴーストくらいならこれでも問題無いはずだ。

怨嗟の声を残して消えていくゴーストを確認して次のにファイヤーを当てていく。


「やれやれ、臭くて堪らんのぅ...ふんっ!!」


「こっちは直グニ戻るカラきり無イネ」


ボクの後ろではフーワとライムがスケルトンとゾンビを相手にしている。

緩慢な動きのゾンビをフーワが躱しハンマーを叩きつけるとゾンビの身体は吹き飛び辺りに腐肉を撒き散らす。


「むう...後で洗わんと...」


汚れたハンマーを見ながらぼやくフーワ。


「フーワ、こいつそっチニ投げるカラ潰シテ」


「何?うおわっ!?」


スケルトンを身体て包んでたライムがグルグル回転してフーワ目掛けてそれを投げ飛ばす、身体から抜けたスケルトンはフーワに飛んで行き。


「だぁぁ!!何すんじゃ!!!」


叫ぶフーワがハンマーを真上に振り上げスケルトンに叩き付けると、バキバキと骨が音を立てて粉々に粉砕された。 


「だってナイフダト直ぐに戻るんだモン」


そう言いながら別のスケルトンを身体に取り込み始めるライム。


「お主またこっちに投げるつもりじゃな!?

だったらゾンビの相手せい!!」


「え~?ゾンビもナイフじゃあンマ効果無イシ、包んダラ臭いじャン」


そしてまたスケルトンを投げつける。


「だ~面倒臭い!!後で纏めて倒すからスケルトン全部足止めしとけぃ!!」


「ほ~イ」


迫るゾンビをハンマーで吹き飛ばすフーワと他のスケルトンを次々と取り込むライム、向こうは余裕そうだしボクはゴーストに専念しよう。

突っ込んでくるゴーストをファイヤーで倒しながら後ろに下がる、後方にはもう魔物は居なくなったので皆下がりだす。


「よし、このまま下がって迎撃を...む?」


前方に居る魔物達の後ろで地面がボコボコと盛上り、新たなスケルトンとゾンビが大量に這い出してくる、そしてボク達の後ろからは遠くからゴーストが群れて迫って来る。


「不味いのぅ...新たに沸いてくるか」


「これ以上はスケルトン抑えキレなイヨ」


近寄って来たゾンビを吹き飛ばすフーワと六体くらいのスケルトンを取り込んでるライム、ゴーストを三体ファイヤーで倒したけど次から次へと迫ってくる魔物達...


このままじゃ押しきられる...どうしよう...


考えろ、何か打開策は...

そのときボクは思い出した、そうだあれなら!?


「フーワ、あれ使って!!」


ボクはフーワに向かって指示を出した。


「あ、あれ!?あれって何んじゃ!!」


「穴、穴開ける奴!!それをゾンビ達の足元に使って!!」


「...そうか、あいつらを穴に落とすんじゃな!!」


「ライムはその後ボク達を穴の向こうに運んで、行ける!?」


「大丈夫、二人くらいナラ出来ルヨ」


「それじゃ宜しく!!」


ボクは後ろから来るゴーストを可能な限りファイヤーで押さえ込む、フーワは近くのゾンビを片っ端から叩き潰してライムは取り込んだスケルトンを別のスケルトンに投げ付ける、そして。


「よし今じゃ、ホール!!」


フーワが地面に大きな穴を空けるとそこにスケルトンとゾンビ達は落ちていく、獲物に対して真っ直ぐにしか歩かないので次から次へと落ち続け全部穴の中に収まった。

中では大量に蠢いているが穴の傾斜は直角に近く、這い上がっては来れないようだ。


「んじゃ渡ルヨ」


取り込んでたスケルトンを全部穴に投げ捨てるとライムはボクとフーワを包んで穴の向こうへと身体を伸ばす、そして移動するとボク達を離してライムも身体をこちら側に全て引き寄せ元に戻った。


「よし、後は任せて!!」


ボクは穴を越えてやってくるゴースト達を一つ残らず倒して、最後に穴の中に何発かファイヤーを打ち込んで焼いてやる。

中は真っ赤に燃え煙が立ち上るとパチパチと骨がはぜる音がする、ゾンビの呻き声は暫くするとしなくなった。

辺りには肉が焦げる臭いが立ち込めるが美味しそうではない。


それから程なくして魔物は全部焼けて灰となった。

冷えるのを待ってからライムが下に降りて魔導塊を回収している、結構な量になりそうだ。

ボクは魔力の回復ポーションを飲んで一息着いた。


「あ~~疲れた...」

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