うねうね触手
蝙蝠の群を倒して洞窟を進んでいると行き止まりにたどり着いた、途中に分かれ道も無く一直線だったんだけど...おかしいな。
「ここが迷宮の一番奥?」
「いや違うのぅ、何処かにスイッチか何かがあるのじゃろ、手分けして探すぞい」
「アタシはこっち探スヨ」
三人でそれぞれ違う場所を探し出す、ん~スイッチスイッチ...
探し始めて数分後、ボクは壁に丸い石が付いてるのを見つけた、周りと色が微妙に違うしこれかな?
「それっぽいのが有ったよ~」
「お、それじゃ押してくれんかの」
こちらを振り返ったフーワに言われてスイッチを押すとカチッと音がする、すると壁が分かれて道が現れた。
「それでは先に...む、ちょっと待て、何かおるの」
フーワの静止にそちらへ目を向けると、壁があったすぐ先にそれは居た。
緑色の円筒状で身体から八本の細長い触手が生えて目は無く頭に小さな口が有る魔物、ローパーだ。
攻撃的で、その長い触手で相手を絡め取ったり叩いてくる。
近所のお姉さんがこいつをペットとして飼っていたのを思い出す、仕込めば掃除をしたり他にも色々してくれるとか何とか。
只、本来人になつくような魔物では無いので魅了したのだろう、何時もお姉さんに付き添っていたし。
まあそれはさておき、そのローパーが六体此方に近寄って来る、移動速度が遅いので大した事はないけれどやたらと伸びる触手が厄介、この距離はあいつらの射程内だ。
「ちと近すぎるの、距離を離したいところじゃが...そうはさせてくれんようじゃの!!」
ローパーが触手を振り回して攻撃してきた、フーワとライムはそれぞれ避けながら武器で触手を捌く。
ボクも杖で防ぎつつ下がりながら間合いを離すも数が多い、防戦一方だ、魔法を放つ隙も無い。
「こいつは厳しいのぅ、ライム、何とかならんか!?」
「はいはい任セテ」
ライムが答えるとボク達の前に立ち、身体がブワっと大きく広がるとローパー達を包み込んだ、ライムの中でローパーがもがいている。
「フーワ、アタシ毎叩き潰しちゃッテ」
「よ、よし、いくぞ!!」
少し驚きつつもフーワはライム毎ローパーを二本のハンマーで次々と潰して行った。
程なくして全てのローパーを潰し終えるとライムは元の姿に戻る。
「ライムってこんなことも出来るんだね...」
驚きながらライムに声を掛ける。
「スライムだかラネ、変形は得意ダヨ」
言いながら右手をハンマーや剣、鍵へと次々に変えていく。
「便利なもんじゃのう、物理的な攻撃は効かんのか?」
「どんダケ細かくされテモ戻ルヨ、バラバラに隔離されルト面倒だけドネ。後、火トカ氷結には弱イヨ、まあそレハ誰デモ同じだケド」
スライムって凄いな...
「それジャ行こウカ」
ローパーから魔導塊を回収して歩きだす、ずっと一本道が続き襲ってくる蝙蝠やローパーを倒しながら進んでいく、なんか一度に出てくる数が段々と増えてる気がするなぁ...
と、またもや行き止まりだ。
壁の前には何やら石の台座がある、近寄って見てみると三つの紋様が上に刻まれていて、その下には六つのそれぞれ違う色の石が嵌まっている。
赤青黄緑白黒だ。
「う~ん?何だろねこれ」
台座を見ながら首を傾げる。
「何かの操作盤のようじゃが...」
「取り敢エズ触ってみタラいいんじゃナイ?」
ふ~む、言われて適当に触ると紋様の一つが光った。
「成る程、この石を触るとその色に光る様じゃな」
フーワも石に触れるとそれぞれ紋様が光だす。
「あれ?でも三つ以上触っても変わらないね」
赤黄白青黄黒と順に触れたのだが、各々の色に紋様が光るも後半三つを触れても色は変わらない、今度は逆の順に触れてみると光は消えていった。
「...成る程分かったぞ、石の組み合わせ三つが鍵なんじゃな?さて問題はその組み合わせじゃが...」
フーワが腕組して考えるとこと暫し。
「...ふむ、こうじゃな?」
赤青緑の順に触れて紋様を光らせる、すると石板の後ろに光る魔法陣が現れて紋様の光は消えた。
「よく分かったね!?」
「うむ、白い光というのは赤青緑三つの光を合わせると出来てな、紋様が三つだったであろう?それでもしやと思ったんじゃ」
へ~、そういう風になってるんだ知らなかった。
覚えておこう。
「さて、これで進めるじゃろ、あの魔法陣で先に進むぞぃ」
フーワが魔法陣に乗って転送されて行く、ボク達もそれに続いて魔法陣で移動した。




