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パーティーを組もう

迷宮から戻って来て翌日のこと、三層の蝙蝠達をどうにかしなければいけないので、相談の為にボクは冒険者組合に来ていた。


組合のカウンターにはこの前のツルツルおじさんが居て、相談を聞いてくれている。


おじさんは顎に手を当てながら。


「成る程、一人じゃどうにもならなかったって訳だなふむふむ」


「何とかならないかな~」


ボクの悩みにおじさんさんは少し考え。


「そうだな...じゃあパーティーを組むのはどうだ?」


「パーティー?」


「一人で無理なら複数で行けばいい、そうすれば何とかなるだろう?」


腕を胸前に組んでおじさんはニカッと笑う。


「そっか、それからいけそうだね。

でもボクと組んでくれる人居るかな?」


「ちょっと待ってな、うちに登録してる奴等のリストを持って来る」


そう言うとおじさんは奥に行くと一冊の本を持ってきてカウンターに置いてページをペラペラ開いていく。


「そうだな...お、丁度良さそうなのが居るな、階級はポヨポヨクラス、お嬢ちゃん同様最近冒険者になったばかりだ。

戦士と盗賊、バランスも良いと思うが、どうだ?歳も同じくらいだ」


ボクと同じ階級で冒険者になりたてで歳も大差なく戦士と盗賊、う~ん。

ちょっと考えたけど多分これだけ条件が整うこともないはずだ、これにしよう。


「それでお願いします」


「あいよ、じゃあ向こうの席で待っててくれ、何時もこの時間に顔出すからな、そろそろ来るだろ」


「は~い」


おじさんに言われて酒場の席に移動してそこに座り、給仕のお姉さんにジュースを頼む。

そして運ばれて来たジュースを飲みながら待つこと暫し、カウンターの方から二人がボクの元に歩いて来た。


「お主がパーティーを組みたいという子じゃな?

ワシはフーワじゃ宜しくのぅ」


「アタシはライムダヨ、宜しクネ」


フーワと名乗る子はドワーフで茶色のポニーテール、白くて凄い髭がお腹まで届いている。

髭は生えているけど女の子のようだ、ドワーフは男女とも髭が生えているのだ。

磨かれた鉄の胸当てを付け、背中には彼女よりも大きな金属製のハンマーを二本も抱えていた。


ライムはスライム、ショートカットで身体は全身薄緑色、全部半透明で後ろが透けて見える。

動くと少しプルプルしている、腰には皮ベルトに小型ナイフの鞘が三つ付けられていた。


二人とも背丈はボクとあまり変わらないようだ。


「こちらこそ宜しくね」


ボクは席を立つと二人に握手をした、初のパーティー結成だ。


それから冒険者組合を後にするとボク達は話をしながら迷宮に向かって行った。


「ところでお主達は何層目まで進んどる?ワシは三層目じゃ」


「アタシも三層目ダヨ」


「ボクも同じ」


どうやら皆同じらしい、であれば全員あの蝙蝠達で足止めされているのかな。


「ふむ、成る程のぅ、ではさっさと三層を抜けるとしようかのぅ」


フーワの意見にボクとライムはコクコク頷く、そんなこんなで歩いていると迷宮入口に辿り着いた。


「よ~しそれじゃあ行こっか!!」


ボクはそう言うと迷宮に入ろうとする、とそのとき。


「ん?何じゃ?一層目から行くのか?」


フーワに呼び止められて振り返る。


「え?どういうこと?」


ボクの疑問にフーワが答える。


「もしかして知らぬのか、ほれあそこに小屋があるじゃろう?あの中に転移用の魔法陣があっての、それで一度入った階層に飛べるのじゃ」


フーワが指差す方に小さな小屋があり、そこに他の冒険者達が何人も入って行くのが見えた。


「し、知らなかった...」


「特に用も無いなら三層目に飛ぶがよいかの?」


道中に用事も無いので頷いて小屋に入る、真ん中には魔法陣が一つ描かれていた。


「行ったことのある階層を思い浮かべながら乗れば階層入口の横にある魔法陣に飛べるぞい、では行こうかの」


あの横にあった反応しない魔法陣ってそういうことだったのね。

最初にフーワ、次にライム、そして最後にボクが魔法陣に乗り皆は三層目に飛ばされて行った。


さあ、三層目に再挑戦だ!!

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