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お風呂でさっぱり

なんとか宿に戻って来たボクは部屋に入り風呂場へ向かう。

表面は乾いてきてパキパキになっていたが服の中や下着は未だぬるぬるべとべと、ぱぱぱと全部脱ぐと浴室の隅にまとめて置いてまずは身体を洗う。

蛇口を捻ると暖かいお湯がシャワーから噴き出す、この宿のお風呂は常にお湯を沸かしているらしく何時でもこうやって入れるのだ。


シャワーで粘液を落とし、備え付けの石鹸で身体や髪を洗い始める。

石鹸の良い匂いがお風呂に広がっていき、ほのかに柑橘の香りが含まれていて身も心もリフレッシュされる。

全身丁寧に洗い終えて泡を流しきると次に服、下着、中身を取り出したリュックを洗いにかかる。

これらに石鹸を付けて洗濯板で次々に洗っていく、粘液が染み込んでしまって中々落ちなかったが何とか洗い終えて全部部屋のベランダから外に干す。

ただ、このまま干すだけだと時間が掛かるし替えが無いので別の方法で早く乾かすことにする。


洗濯物に右手をかざして魔法を発動させる。


「ドライヤー!」


目の前に現れた薄赤い光の球から洗濯物に向けて熱めの温風が勢いよく吹き付ける、火と風の複合魔法で見た通り指向性の温風が吹くそれだけの魔法。

殺傷能力がある訳でもなく戦闘で使うことも無いのだが、こうやって物を乾かしたり寒い日に暖房代わりに使ったりと何かと重宝する魔法だ。

一時間くらいは勝手に温風を出し続けるのでボクはお風呂に戻り浴槽にお湯を張ると、置いてあった入浴剤を入れてゆったりとしたバスタイムを味わうことにする。

薄緑色の入浴剤が森林の匂いを放ち気持ちを安らげる、身体の疲れが取れていくようだ。


さて、今日はもう日もかなり傾いて夕方に近いし迷宮は明日にするとしよう。

ラージトードのせいで一層目しか制覇出来なかったし次はもっと進んでみたい、修行も積んで冒険者のランクも上げて何れは迷宮の完全攻略だ。


それから小一時間くらいゆっくりとお風呂に入り、お風呂から上がってドライヤーで身体や髪を乾かす。

洗濯物もすっかり乾いたようで中に取り込み着替えるとボクは部屋を出て階下の酒場に降りて行く、中に入ると既に客席は半分くらい埋まっており、適当に空いている席へ座ると近くに居た給仕のお姉さんに注文を頼む。


置かれた冷水を飲みながら周りを見ると冒険者らしき人が何人か座っている、荷袋を持っている人は宿に宿泊していない外から食べに来た人達だろう。

そうこうしていると先程の給仕さんが食事を運んできた。


「お待たせ致しました、こちらハンバーグセットでございます。

鉄板が熱いのでお気をつけ下さい、ではごゆっくりとどうぞ」


目の前にそれと伝票を置いてお辞儀をすると他の客が食べ終えた食器類を片付けにそちらへ歩いて行った。


さて、それでは頂こう。

鉄板の上ではじゅーじゅーと音を立てる大きな丸いハンバーグ、付け合わせに人参のグラッセ、ブロッコリー、コーンが横に乗っている。

そして皿に乗った白い米飯と陶器のコップに入ったスープ。


まずはハンバーグからだ。

フォークとナイフで一口サイズに切り分けると中からたっぷりの肉汁と溶けたチーズが溢れてくる、それをハンバーグに掛けられたソースと絡めて口の中に運ぶ。

柔らかくジューシーなハンバーグは中で直ぐにほぐれチーズとソースと一体になり溶けていく、次は人参のグラッセ。

適度な大きさにカットされたグラッセをフォークで刺し噛る、甘く調理されており野菜の旨みが染み渡る。


米飯を頬張り、茹でられた歯応えの残るブロッコリー、バターの効いた甘いコーン、ハンバーグ、グラッセと食べ進めて行き、気がつけば全てを胃に収め塩気のあるコンソメスープで締める。


「あ~美味しかった~」


昨日食べたカレーライスも美味しかったがハンバーグも実に美味だ、ここの料理に外れは無さそうだね。


それから追加で頼んだ苺のシャーベットが運ばれて来て舌鼓していると、隣の席に座っていた二人の冒険者の会話が聞こえてきた。


「そっちは何処まで進んだ?こっちは九層目の途中で大量のシルバーウルフの群れに出会っちまって何とか逃げ帰って来たとこだが」


「うちは運良く十層目に到達したんだがあそこはヤバい、やたら広い部屋に魔物が一匹だけ居たんだが馬鹿みたいに強くてよ、俺以外全員病院送りだ、生きて帰れたのが不思議なくらいだぜ...」


「マジかよ、んなとこ通過してった奴等はどんだけ強いんだよ...」


どうやらボクよりもかなり下層を進んでいるようだ、シルバーウルフは名前の通り銀色の毛並みをした魔物だ。

深い森の中で群れを作っていてとても狂暴、見境なしに襲い掛かってくる、集団で襲われた日には中級の冒険者でも手を焼くだろう。


そして、それよりも危険そうな魔物が居る、一匹でそんなに強い...ボクは迷宮を踏破出来るのかな...


そんな事を思いながらシャーベットを食べ終えお金を払うとボクは部屋に戻って行った。

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