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冒険者組合

翌朝、酒場で朝食を済ませた後、支度を終えて宿のカウンターで一泊分の銅貨五枚をラミアのお姉さんに渡して外に出る。

宿は良い感じだし酒場の料理も美味しい、これなら長期滞在してもいいだろう、戻ったらお姉さんに伝えよう。


さて、今日の目的は冒険者組合だ。

何でも旅をする者は組合に入るらしい、理由は色々あるけど一番はお給料が貰えること。

また、組合に入ってくる依頼をこなしていくと昇級してお給料がアップしていくらしい、と母さんから聞いていた。

というわけで組合を目指して歩きだす。


昨日見た地図では宿から外壁沿いに北にあるみたいだ、街並みを眺めながら暫く歩いていると北側の関所近くに二階建ての立派な建物が見えてくる、ここが組合みたい、二人くらい余裕で通れる入口の横に冒険者組合と書かれた看板が付いている。

入口を潜ると中は人で一杯、幾つか椅子とテーブルがあり、何人かが朝からお酒か何かを陽気に飲んでいる。

どうやら酒場も兼ねているみたい。

奥には貼り紙が沢山ある掲示板と、正面にカウンターが何ヵ所かある、あれが受付だろう。

左右のカウンターでは冒険者らしき人達が会話している、真ん中が空いていて他に並ぶ人も居なそうなのでそちらに行く。

が、カウンターには誰も居ない、ちょっと待ってみるも来る気配が無いのでボクはカウンター前に置かれたベルを鳴らす。

御用の方は鳴らして下さいと書いてあるのでこれで来てくれるだろう。

すると奥の方から身体の大きな頭がツルツルで筋肉が凄い人が現れた。

タンクトップ一枚に長ズボン、なんというか作業現場が凄い似合いそう、そんな感じ。


「お、見ない顔だな。嬢ちゃん冒険者証は持ってるかい?」


言われてボクは首を横に振る。


「王都に来るのは初めてで、まだ組合に入っていません」


するとツルツルのおじさんは笑いながら。


「そうかそうか、じゃあ登録してやるからこっちの紙に名前と出身地を書いてくれ、終わったら冒険者証を発行してやろう」


渡されたペンで紙に名前と出身地を書いておじさんに渡す。


「ふむふむ、名前はペタン、出身地は...ほ~、嬢ちゃんあの村の出か、ってことはサキュバスだな」


サキュバスの村と言われてボクは驚いた。


「おじさんはボクの村知ってるの?」


思わず聞いてみるとおじさんは答える。


「あぁ、昔にもここで冒険者になったサキュバスが居てな、そいつも同じ村だったのさ」


へ~、ボクの村に冒険者になった人が居たんだ、どんな人だったのかな。

と、そんな事を思っていると。


「登録はこれで完了、これが冒険者証だ。

もし無くした場合は再発行に代金貰うから気を付けな」


冒険者証を受取り、見るとボクの名前が書かれている。

通行手形と同じく金属製、銅で出来ていて端には穴が空いている。これも後で紐を通しておこう。


「さて、嬢ちゃんも晴れて冒険者の仲間入りだが冒険者には階級がある、嬢ちゃんは一番下のポヨポヨクラスだ。

基本的にそこの依頼を受けて達成すれば稼いだポイントによって昇級出来る、昇級しても一定期間何もしなかったりすると下がるから気を付けな。

また、週に一度給金を渡している、ポヨポヨクラスは銅貨20枚、依頼によっては追加の報酬も出るからな。

で、依頼をこなす以外にも方法がある、迷宮攻略だ。

街の外を暫く行くと迷宮があるんだが、国王がやたらと御執心なようでな、国をあげて冒険者を募って送り込んでいる。

一定の深さまで攻略すると都度昇級、さらには最下層を攻略した者には莫大な報酬を与えるってんで迷宮は冒険者で一杯だ」


へ~迷宮か~、後で行ってみようかな。


と、おじさんはちょっと険しい顔で更に続ける。


「一見美味しい事だらけだが気を付けな、迷宮には大量の魔物や罠が至るところに仕掛けられている、下層に降りれば降りる程顕著でな、命を落とす奴も少なくない。

それに迷宮は広大でな、下が何処まで続いてるのかは未だに判明していない、くれぐれも気を付けな」


そうか、迷宮ってそんなに危険なんだね、覚えておこう。


「ま、浅い層なら嬢ちゃんみたいな初心者でも大丈夫だ。

試しに行ってみな、いい経験にもなるぜ」


笑顔に戻ったおじさんはボクの頭をポンポンしてくる。

手続きも全部終わりおじさんに手を振るとボクは組合を後にした。


「よし、迷宮に行ってみようかな」


街中で食料等をリュックに一杯詰め込んでボクは迷宮に向けて歩き出した。

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