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<イースラー:王子視点>昔から兄ちゃんが大好きだったんだよ

開いて頂きありがとうございました。

<イースラー視点>

 頭が付いて行かない。

「姉様を連れて行かないで……」

 僕は大好きな姉様が連れて行かれる事に怖くなって、泣いていた。

 姉様は僕の頭を一撫でして、父様に向かって伝えた。


「お父様、お父様が家族を愛してるように、私もお父様達を、家族を愛しています。

私のためにお断りして立場が悪くなってしまうのは悲しいですから」


 大好きな姉様が行ってしまう。


「王家からの使いですが、セシリア嬢はおられますか?」

 来てしまった。僕は使いの兵士を睨み付ける。

「キーン様に良く似た立派な兄弟と、ミル様に良く似たお美しいお嬢様ですね」

「ああ、自慢の家族だ」

「では、セシリア様、行きましょう」

 姉様を連れて行こうとする兵士。まだ子供の僕は何の力も無い。

 そして目を閉じて自分の無力さに震えていると……

 その兵士は僕の手を掴んだ。

「しかし、ミル様に本当にそっくりでお美しいですね」

「え……?」

 何を言っているのかが理解できなかった。

 姉様も兄様も。家族全員が呆けたような顔をしている。

「え……?ちょ、ちょっと、僕は違うよ」

「申し訳ありません、王命なのです」


 なぜか僕を姉様と勘違いしたまま、馬車に乗せられてしまった。

 普通の男の服を着た僕とドレスを着た姉様でなんで僕を選ぶの?


 王城に着いた僕は、

「セシリア嬢、その男装も美しいのですが、今回は王も参加されますのでドレスを用意しております」

 そう言って、女性だらけの侍従達に着かえさせられる。

「噂によると、セシリア様はまるで男性のような方とお聞きしましたが、とても可愛らしいですわね」

「男装されているからかしら?でも男装もお似合いですわね」

 可愛い、可愛い、と言われ僕のSUN値がガリガリと削られていく。


「セシリア嬢がご到着されました」

 兵士が声をはりあげ、入室を促される。

 謁見の間に通された。そこには王様と王妃様、そして王子様が居た。

「おお、彼女か。リスカが気に入ったという令嬢は」

「まあ、母親にそっくりね、ミルとは同じ学園生だったのよ。昔を思い出すわ」

 王と王妃に何やら言われたが、緊張で言葉がうまく出ない。


 王子と目が会うと、王子は不機嫌そうな顔をしていた。

 ごめんなさい、姉様じゃなくてごめんなさい……。

 そして王子に手招きされる。

 近くによると、ボソボソと耳打ちされる。

「えっ?」

 聞き取れなかったので聞き直した。

 しかし、王子はボソボソと喋っていて良く聞き取れない。

「……兄ちゃんなんだろ?」

 兄ちゃん……?やっぱり僕が男って気付いてる?

 良かった、誤解が解けそう。

「う、うん。そうだよ!」

 人違いだって解ってくれて本当に良かった。

「良かった、どうしようかと思ってたんだよ」

「大丈夫だから、心配しないで」


 そういうと、王子は……。


<リスカ王子視点>

「セシリア嬢がご到着されました」

 そして、現れた令嬢は……。

「し、失礼します」

 そこに現れたのは、俺好みの外見をした美しい少女だった。

 良兄ちゃんとはどう見ても別人だった。


「まあ、ミルにそっくりね、ミルとは同じ学園生だったのよ。昔を思い出すわ」

 そう母上が言う。母似という事は、間違いないのだろう。

 俺が見た写真と家名が違う……?

 姉妹か……?だが俺が見た資料には娘は一人と書かれていた。


 そして俺は推測する。

 今の俺も王子様の容姿になっている。

 良兄ちゃんも、綺麗になっていたって不思議はない。

 良兄ちゃんに会いたくて幻覚を見た?それともこの令嬢は良兄ちゃんで、

 転生者は写真が元の姿に見えるとか……?

 

 俺は写真とは違うセシリア嬢を手招きをする。

 俺の傍に伏し目がちで近づくセシリア嬢。

 真っ白な綺麗な肌の大きな目をした柔らかそうな雰囲気の美少女だった。

「……転生したのか?」

「えっ?」

 セシリア嬢は目を見開いた。

 なぜそれを知っているのか?という表情だ。

「俺、近所に住んでた悪がきなんだけど……兄ちゃんなんだろ?」

「う、うん。そうだよ!」

 すごく嬉しそうな顔を浮かべるセシリア嬢。いや、良兄ちゃん。


「良かった、どうしようかと思ってたんだよ」

 そう言うと、セシリア嬢……いや、良兄ちゃんは嬉しそうに笑って胸を撫で下ろした。

 俺も気付いたら王子だった。どれだけ不安だったかは俺も解る。

 良兄ちゃんを支えて行こう。

「大丈夫だ、心配しないで」

 

 そして俺は陛下……父に向って伝える。

「彼女が……彼女が好きなのです。私は彼女とでなければ、誰も迎える気はありません」


 驚いているセシリア……良兄ちゃん。


 陛下……父は俺が初めていった我儘に、嬉しそうな顔をした。

「解った、ビュリ侯爵に、お前の気持ちを伝えておこう。まずは婚約からだな」

 セシリア嬢……良兄ちゃんを見ると青ざめていた。

「俺はね、昔から兄ちゃんが大好きだったんだよ」

 そう、今まで伝えたかった告白をして、俺は良兄ちゃんに微笑みかける。

 良兄ちゃんはますます青ざめた顔をしていた。


 青ざめた顔の良兄ちゃんも可愛いなぁ、と俺は柔らかく微笑んだ。

読んで頂きありがとうございました!

兄ちゃんを、

「よお、そこの兄ちゃん」

みたいな「兄ちゃん」ニュアンスと受け取れるイースラーの少しずれた感性は狙ってるんです。

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